金田一と高遠が入れ替わってしまったら
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そうえば俺が事件で怪我した時に助けてくれた。医者をしてる人がいたなぁ~その人に頼んでみるかなぁ〜」
一は独り言のように言った。
「本当ですか?」
「おう!!もちろんだぜ!!」
「金田一君、、お願いします!!!」
高遠は深々とお辞儀をした。
「ああっまかせろよ!!」
一はニッコリ笑い親指を立てた。
「あの〜ところで、一つ聞いてもいいでしょうか?」
「ん?なに?」
「あなたは私のことを恨んでいるんじゃないんですか?」
高遠は不安そうな顔で聞いた。
「私には、、あなたに謝りきれないほどの罪があるんですよ?」
「だから何だ。犯罪者でも病気で苦しむ奴を見捨てるほど俺は人間できてねぇーよ」
「それにお前は悪いことなんて何もやってねーじゃねえか?」
「えっ?」
「ただ病気だっただけだろ?病気なのは別にお前が悪いわけじゃないんだし、病気が理由で誰かを傷つけたり殺したりしたのか?」
「いえ、、」
高遠は何も言わなかった。
「殺人は許せないが、、、とにかく病気ではお前は悪くなんか無いんだ、病気を治すのは助ける、、、当たり前の事だよ」
一の言葉を聞き高遠の目からは涙が流れた。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
高遠は再び深く頭を下げた。
「よしっ!そうと決まれば早速行動開始するぞ!」
「はい!」
一は医者に電話した。
「もしもし?俺だけど、ちょっと頼みがあってさ、今からそっちに行っても良い?」
「うん、全然大丈夫だよ!待ってるから早く来てね」
一は高遠を連れて病院に向かった。
「こんにちわ」
高遠は緊張しながら挨拶をした。
「はい、こんにちは」
中に入ると白衣を着た優しそうな男性が出迎えてくれた。
「はじめまして、小善です」
「高橋です」
高遠は指名手配犯なため、偽名で名乗った。
「今日はどうしたんでしょか?」
「実はこいつのことで相談したいことがありまして、、」
一は高遠を指差して言った。
「えっと、彼は一さんの友達とかなんですか?」
「違います」
一は首を横に振った。
「そうですか」
「それで要件は何かな?」
「この人の病気を診てあげて欲しいんです」
一は高遠を紹介した。
「病気?どんな症状なのか教えてくれる?」
「はい、私は持病がありまして小さい頃からずっと入院を繰り返してきました」
高遠は自分が持病を持っていることを話し始めた。
「そうだったんだね」
「はい、でも最近になって病状が悪化してしまい、このままだと私は死んでしまうかもしれないんです」
高遠は悲しげな表情を浮かべながら答えた。
「それは大変ですね、、」
「そこで、私はどうしても生き続けたくて、、だから先生に相談したんです」
高遠は真剣な眼差しを向けた。
「な、なるほど、分かりました。
でもどうして僕に?他にも医者がいると思うんだけど、、」
小善はうつむきながら黙ってしまった。
「なぁ、あんた医者なんだろ?だったら高遠を助けてやってくれよ!!」
一は必死に訴えた。
「お願いします!!どうか助けてください!!」
高遠も大きな声を上げて言った。
「う~ん、、分かった。診察しようか」
小善は渋々了承してくれた。
「ありがとうございます!!」
「それじゃあ、まずはレントゲン写真を撮ろうか」
「はい、お願いします」
「じゃあそっちの部屋で着替えてきてね」
「わかりました」
「じゃあ、僕は外で待ってるから終わったら呼んでね」
「はいっ!」
二人は部屋を出た。
「金田一君、本当に良いんですか?」
「ああ、もちろんだぜ!!」
「気にすんじゃねぇーよ!俺はお前を助けたいんだよ!お前が俺にしたことなんてどうでもいいんだ!とにかく病気で苦しんでいる奴を見捨てることなんかできねえ!」
一の言葉を聞き高遠の目からは涙が流れた、、、
「ありがとうございます、ありがとうございます」
高遠は深々とお辞儀をした。高遠は色々な検査をされた。
そしてその結果が伝えられた。
「残念だけど、、高橋さんはもう長くないよ」
小善は申し訳なさそうに言った。
「そんなっ!!どうにかならないんですか!?」
一は悔しそうな顔で聞いた。
「ごめん、、こればかりは、、」
小善は頭を下げた。
「くそっ!何でだよ!やっと病気を治せると思ったのに!ふざけんなっ!!!」
一は怒りで震えた。
「高橋さん、君はどうしたい?」
小善は高遠の意思を確認した。
「私は死にたくないです!もっと生きていたいです!!」
「そうか、わかった」
「高橋さん、君の病気を治すことはできる」
「本当ですか?」
「うん」
「そ、そんなことできないです!!」
「大丈夫だよ、きっと上手くいくはずだ」
小善は自信満々な様子だった。
「でも、もし失敗したら、、」
高遠は不安げだった。
「失敗しないさ」
小善は優しく微笑んだ。
「それにこれは君のためでもあるんだ」
小善は自分の考えが正しいと思っているようだった。
「わ、分かりました、、」
高遠はしぶしぶ承諾した。
小善は注射器を取り出して高遠の腕に刺した。
すると高遠は苦しみ始めた。
「うぐぅ、あぁ、、」
高遠の顔色はどんどん悪くなっていった。
「高橋さん、頑張ってくれ!!」
一は必死に声をかけた。
しかし返事はなかった。
「はい、終わりましたよ」
「これでいいんですよですね?」
「えぇ、もちろんですよ」
小善はとても満足そうな表情をしていた、、、
一は高遠が苦しんでいる姿を見て、小善は高遠を殺そうとして毒を打ったかもしれないと思った。
「何でこんなことを!!」
「偽名を使っているがこいつは殺人鬼の高遠遙一だろ?」
「な、何を言ってるんだ!!お前は医者じゃないのかよ!!人を殺すなんて!!」
「復讐さ、、、、、俺の娘を殺したこの男へのな!!」
「娘?あんた結婚していたのか?」
小善は指輪を見ながら言った。
「ああそうだよ!俺には妻と子供が居たんだよ!なのにこいつのせいで全てを失った!
だから俺は高遠に復讐しようかと思っていた時に、、、君たちが来たんだ!!ちょうど良かったよ!!」
小善は苦しんでいる高遠を睨みつけながら言った。
「お前だって俺と同じだろう!お前も俺と同じように幸せを奪われた!それなら俺の気持ちが分かるはずだ!!」
小善は声を荒げた。
「確かに、、そうかもしれねえけど、、」
一は少し考えてから答えた。
「じゃあどうしてそんなやつを助ける必要がある!?」
小善は怒鳴った。
「それは、、」
一は何も言えなかった。
「もういい、、早く殺してください、、」
高遠は弱々しい口調で小善に頼んだ。
「ああ、そうする」
小善は高遠に近づいていった。
「待ってくれ!」
一は小善を止めた。
「何だよ、邪魔をするな!!」
小善は一を殴ろうとした。
「ぐっ、」
一はその拳を避けようとしたが避けきれず頬を殴られてしまった。
「痛ってー」
口の中を切ったようで血が出ており唇からも出血している。
「大丈夫ですか!?」
高遠は心配そうにしている。
「大丈夫だよ」
一は高遠に向かって笑みを浮かべた。
「何だよ、まだ何かあるのか?」
小善は不機嫌そうだった。
「高遠を殺さないでくれ、、」
一は小善を真っ直ぐ見つめた。
「そんなことできるわけないだろ!こいつは人を殺しているんだぞ!それに病気なんだ、どうせ長くは生きられないさ」
「それでも頼む!!」
一は頭を下げた。
「金田一君、、、、どうしてそこまで、、」
高遠は驚いている。
「高遠は殺人鬼だけどさ、でも、、」
一は言葉に詰まった。
「でもな、、、、俺は、、」
一は涙目になっていた。
「くそぉ!!」
小善は舌打ちをした。そしてポケットからナイフを取り出した。
「おい、まさかそれで刺すつもりかよ?」
一は驚いた様子だった。
「そうだ!お前が止めるからだ!!」
小善は自分の行動を止める一に対して腹を立てていた。
「ふざけんなよ!!お前が殺すなんておかしいだろうが!!
お前は医者だろうが!!人を救える立場にいる人間が命を奪うなんて間違ってるだろうが!!
お前の娘さんだってきっと悲しむはずだ!!だからやめてくれよ!!お願いだからよ!!俺が代わりに死ぬ!!だから頼む!!」
一は必死に訴えかけた。
「うるさい!!黙れ!!」
小善は一の言葉が気に入らないようだった。
「お前はただ高遠を恨んでるだけだろ!!お前の妻と子供もきっと、、、」
「うるさい!!うるさい!!うるさい!!」
小善は叫びながら走って高遠の元へ行った。
「ちくしょう、、」
一は涙目になると、小善の白衣を掴んだ。
「何だよ、離せよ」
小善は冷たく言い放った。
「嫌だね」
一も負けじと言い返した。
「何だよそれ?意味わかんねぇんだけど?」
「わからないなら教えてやるよ」
一は小善の腕を振り払うと、今度は胸倉を掴み、そのまま背負い投げをして床に叩きつけた。「ぐはっ」
小善は倒れた。
「大丈夫ですか!?金田一君!」
高遠は慌てて一の元に駆け寄った。
「ああ、なんとかな、、」
一は口元を手で拭いながら答えた。
「それより早く毒をなんとか、、、」
「わかってる」
一は小善を担ぎ上げようとした。
「待ってくれ!私を置いて行かないでくれ!!」
高遠が呼び止めた。
「大丈夫だよ、すぐ戻ってくるから」
一は高遠を安心させようと笑みを浮かべた。そして小善を担いで部屋を出て行き、隣の部屋の床の上に小善を置いた。
「なぁ、小善」
一は小善に声をかけた。返事はなかった。
「小善、、、ごめんな、俺がもっとしっかりしていたらこんなことにはならなかったかもしれないのによ、、」
「あのさ、、俺もさ、高遠がを憎んでいるんだぜ」
一は涙を流しながら笑みを浮かべた。
「でもさ、高遠には高遠なりに辛いことがあったってわかったよ、、」
一は小善に高遠の過去の話をすることにした。
「高遠は昔、父親から虐待を受けていたんだよ、、」
一は話し始めた。
「そのせいで高遠の心と体はボロボロになってさ、」
「酷いですね、、」
「ああ、本当に酷え奴だ」
一は怒りを抑えているのか震えていた。
「そんな時に出会ったのが近宮玲子っていう女性だったんだ、、」
「あぁ、あの死んだマジシャンの女か」
「そうだ。高遠はその女に救われたみたいでな、それからは高遠は変わった、、その人と同じマジシャンになるのが夢だったらしい、、でも、、、」
一は顔を歪めた。
「近宮玲子がマジック中の事故に見せかけて殺されて、、それでも高遠は夢を諦めなかった、、、実はそのマジシャンは高遠の母親だったんだ。つまり実の母親なんだ。病気の治療費を出してくれていたらしい、、、だから余計に許せなかったのかもしれねえ、、」
一は拳を強く握りしめて歯ぎしりをした。
「高遠は復讐のために殺人鬼になった、、俺はさ、高遠を止められなかったよ、、」
「気持ちがよくわかるんだ、、大切な人が殺される苦しみを知っているからこそ、殺したくなるほどの憎しみが生まれることも知っている、、だからこそ高遠を止められなかった、、」
一の目からは涙が流れ落ちた。一の言葉を聞いた小善は何も言わずにただ黙っていた。
「俺はあいつを助けたい、、」
一は呟くように言った。
「助けるだと?お前に何ができるというのだ?」
「それは、、わからないけどよ、、」
一は俯いた。
「ふん、お前のようなガキが高遠を救うことなどできるわけがない」
小善の言葉が一の心に突き刺さった。
「確かにそうかもしれねえ、、だけど、、」
一は拳を強く握りしめた。
「だけど、、」
一の目から涙がこぼれた、、、
「アイツは病気なんだよ!!ずっと苦しんできた、、一人で抱え込んで生きてきた、、」
一は泣き崩れた。
「俺はさ、高遠のために何かしたかったけどよ、、結局は何もできなくて、、」
一は涙声になっていた。
「でもよ、あいつにも事情があったんだよ、、高遠は人殺しだけどさ、それでもあいつだって人間なんだ、、だからよ、許してくれよ、、小善、、頼むよ、、」
一は泣き崩れてしまった。
小善は壁を思いっきり殴っていた。
「ちくしょう!!」
小善の目からは涙が流れ落ちていた。
「俺は何故、泣いているんだ!アイツは俺の妻と子供を殺すのを手助けした野郎だろう!?なのになんでこんな感情になっているんだ!」
小善は自分の心がわからなくなっていた。
「なぁ、小善、、」
一は顔を上げて立ち上り、小善の顔を真剣に見つめながら言った。
「あんたがどんなに奥さんや子供を大事に思っていたのかは知ってるつもりだ、、それにあんたは優しい男だよ、、きっとあんたならわかってくれると俺は信じてるぜ、、」
一は小善に微笑みかけた。
小善は涙を流していた。
そして小善は立ち上がり部屋から出て行った。小善は自室で考えていた。
「金田一君、君は一体何を考えているんだ、、私はどうしたらいいんだ、、」
小善の心の中には迷いが生じていた。
「高遠は私の大切な人達を殺した奴なのだぞ、、それなのにどうして、」
小善は頭を抱え込んだ。
「クソッ、、」
小善の声が部屋に響いた。
「高遠、、、俺にできることってないのかよ、、」
一は一人呟いていた。
一は小善が高遠に打った毒の解毒薬を探した。
「あった、これだよな」
一は小瓶を手に取った。
「これを高遠に飲ませれば、、」
一は急いで高遠の部屋に向かった。
「高遠、起きてるんだろう?」
一は高遠に声をかけるが返事はなかった。
「高遠、大丈夫なのか?」
一が高遠の肩に触れると高遠は目を覚ました。
高遠は一を見ると驚いたような顔をしていた。「どうして」
「戻って来るって言っただろう」
一は解毒剤を見せた。
「これは?」
「解毒剤だ。お前に打つために探してきたんだ」
一は解毒剤を高遠の腕に注射しようとした。
「やめてください」
高遠は一の腕を掴んで止めた。
「なぜ止める?このままだとお前死ぬんだぜ」
高遠は首を横に振った。
「私はもう長くありません。この体は限界です」
高遠は一の顔を見て微笑んでいた。
「私にはわかっていたんです。自分の体が壊れていくのがわかるんですよ」
高遠は悲しそうだった。
「そんなことねえよ、きっと助かるよ」
一は高遠の手を振り払おうとしたが、高遠は一の手を離さなかった。
「あなたは優しい人ですね」
高遠は一の目を見た。
「私のことは放っておいてもらえませんか」
高遠は一の目から視線をそらした。
「嫌だね」
一は高遠の言うことを聞かず、高遠の手に持っていた解毒剤を奪い取って高遠の体に無理やり打とうとした。
「やめて!!」
高遠は必死になって抵抗したが、力の差がありすぎて一を止めることができなかった。
一は高遠に解毒剤を打った。
「これでよしっと」
高遠は苦しんでいる様子はなく、落ち着いているように見えた。
「ありがとうございます」
高遠は悲しそうに一にお礼を言った。
「高遠、俺はさ、、」
一は高遠を説得する言葉を考えていた。
「あなたの気持ちはわかりますよ」
高遠は一の言葉を遮るように話し始めた。
「でも、無理ですよ。どうせ、、」
高遠はそこで言葉を詰まらせた。
「どうせ、なんだっていうんだよ」
一は高遠の態度にイラついていた。
「どうせ、、」
高遠は一に背を向けた。
「毒で死ななくてもどうせすぐに終わりが来て死んでしまうから、、、」
高遠の声は震えている。
「高遠、、、」
一は何も言えなかった。
「それに、、」
高遠は一の方を向いた。その目からは涙が流れ落ちていた。
「私は殺人鬼だ!!何人も殺しているんだ!」
高遠は自分の両手を見つめた。
「だから、、私が死んでも誰も困らない」
高遠は涙を流しながら一に笑いかけた。
一はその姿を見て胸を痛めていた。
「小善の奥さんと子供は、、、私が、、殺してしまった、、あの人は、、私のせいで、、」
高遠は声を殺して泣いている。
「高遠、、」
「私と関わった人間はみんな私が不幸にしてしまうんですよ」
高遠は自嘲気味に笑う。
「高遠、それは違うぜ」
一が口を開いた。
「えっ?」
高遠は驚いて顔を上げた。
「高遠、お前のせいじゃない。お前のやった事は間違ってる。絶対に許せないことだ。だけどな、お前が幸せになるのが一番いいんだ。俺がお前を救ってやる。俺を信じろ」
一は高遠に真剣に語りかけていた。
「金田一君、、」
高遠は一の顔を見て笑った。
「私は、、」
高遠は何かを言いかけて口を閉じた。
「高遠、、」
一は高遠の顔を見て不安になった。
「なんでもありません」
高遠は首を横に振っている。
「あなたは本当に優しい人ですね」
高遠は一の目を見た。
「私には、、あなたのような人が必要なんです。あなたなら、、」
「私をいつか助けてくれるかもしれない」
高遠は一から目をそらした。
「わかったよ。約束だ」
一は小指を出した。
「なんですか?これ、、」
高遠は不思議そうにしている。
「知らないのか?これは小指って言って、こうやってお互いの小指を結んで誓うんだよ」
一は高遠の手を取って自分の小指を結んだ。
「これでお前はもう大丈夫だ」
一は高遠に笑顔を見せた。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうな顔をしていた。
「さあ、行こうか」
一は立ち上がった。
「はい?」
驚きながら高遠も立ち上がる。
「行くぞ」
一は高遠の腕を引っ張ると小善がいる部屋に向かった。
「金田一、、え?何故、ここに戻って来たんだ?!」
小善は二人を見ると驚いた表情をした。
「小善、高遠の病気を治してくれ」
一は小善に頭を下げた。
「な、なんだと!?」
小善は動揺している。
「頼むよ」
一はもう一度深くお辞儀をする。
「高遠の病気を治せる医者なんて、この辺りにはいないはずだ。それに、高遠は今まで何度も病院に行って検査を受けている。それでも原因がわからなかったんだ」
「、、、、でも、、、そいつは俺の大事な妻と娘を、、殺した奴だ」
小善は拳を握って震えている。
「そうだとしても、、このままじゃ、こいつは死ぬしかないじゃないか。小善だって本当はわかってるんだろう。こいつも苦しんでいるんだ。だから、、小善、お願いします。高遠を助けて下さい。小善さんしか頼れる人が居ないんだ」
一は再び小善に深く頭を下げる。
「くっ、、」
小善は唇を噛んでいた。
「あんたが高遠のことを憎んでいる気持ちはよくわかる。俺だってそうだ。だけど、高遠が苦しんでるのは見ていられない。高遠が助かるんだったら、どんなことでもする。だから、高遠を助けてくれ」
一は再び深々と頭を垂れて頼み込んだ。
「私からもお願いします」
一の隣にいた高遠が一歩前に出て小善に近づいた。
小善は高遠を見て驚いている。
「な、何を言っているんだ!お前は!」
小善は高遠を睨んだ。
「お母さんが殺されて私は大事な人を失う哀しみを知っています、、、なのに、、、、私はあなたを私と同じ目にあわせて合わせてしまった、、、本当に申し訳ありませんでした」「やめろ、謝るんじゃねえ」
一は高遠の言葉を止める。
「許せないかもしれませんが、、どうか、、私の体を救ってください」
高遠は小善に頭を下げていた。
「お前が、、お前が言うのか?お前のせいで、、妻は死に、、子供まで、、」
小善は涙を流し始めた。
「ごめんなさい、、、、」
高遠の目にも涙が浮かび始める。
「高遠、もういい」
一は高遠の肩に手を置いた。
「小善、俺は高遠を許さない。でも、俺は高遠のことも救いたいんだよ」
一は小善の顔を見る。
「お前は、、お前は、、」
小善は言葉が出ないようだった。
「頼むよ」
一は小善に再び頭を下げる。
「わかった」
小善は一と高遠を見るとため息をついた。
「ただし、条件がある」
小善は高遠を見た。
「なんですか?」
「俺に治療をして欲しかったら、一に危害を加えないでくれ」
「小善、、、」
一は驚きながら小善を見つめていた。
「一は俺の大切な人だ。これ以上失いたくない」
「ありがとうございます。約束します」
高遠は小善に頭を下げた。
「金田一君、私のことを恨まないのですか?」
「恨むさ」
一は高遠の問いに即答した。
「でも、今はそんなことより、お前を助けたいんだ」
一は高遠に微笑みかけた。
「君は不思議な子ですね」
高遠も微笑み返した。
「小善さん、頼むよ」
一は小善の目を真っ直ぐに見据える。
「ああ、わかったよ」
「これから高遠は俺の病院に入院して貰う。それで良いな」
小善は観念するように言った。
「はい」
高遠は嬉しそうにしている。
「それでは、よろしくお願いします」
高遠は一と小善に向かってお辞儀をした。それから高遠は小善の病院に入院して治療を受けることになった。
数日後、一は高遠の見舞に病院を訪れた。
「調子どうだ?」
病室に入ると高遠はベッドに座って本を読んでいた。
「まあまあです。これで私の病気も治りますね」
高遠は本を閉じて一に笑顔を向けた。
「そうだな」
一は少し複雑な気持ちになっていた。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもねえ」
一は首を横に振った。
「高遠、お前、元の体に戻ったら何したいんだ?やっぱり、やりたいことがあるんだろ」「あります」
「なんだ?」
「私はもう一度舞台に立ちたいんです」
高遠は窓の外を見ながら答えた。
「またマジシャンになるつもりなのか」
「ええ、あの時、私はとても楽しかったから」
高遠は遠い目をしていた。
「でも、、、私には無理なのかもしれない、、だって、、」
高遠は俯いて黙ってしまった。
「高遠、、」
「私は、、人を騙すことしかできない人間だから、、きっと、元に戻っても同じ過ちを繰り返してしまう、、、私なんかが生きてても仕方がない」
高遠は一の顔を見て涙を流し始めた。一はその涙を見ると胸が痛くなった。
「高遠、、」
一は何も言えなかった。
「金田一君、、私がもし、元の体に戻れたら、、私のことは忘れてください」
高遠は再び泣き出した。
「私は殺人鬼として生きるのはもう嫌、、でも、、それでも、、誰かを傷つけずにはいられない、、」
「高遠、お前は悪くない」
一は高遠の肩に手を置いた。
「いいや、悪いよ」
高遠は首を振ると笑っていた。
「高遠、、」
一は言葉が出なかった。
「ごめんなさい、変なこと言って、、」
「金田一君が私のことを心配してくれているのはわかっています。でも、私は大丈夫ですよ。金田一君のおかげで病気も良くなりました。もうすぐ退院できます」
「良かったじゃねえか」
一は高遠を元気づけようと明るく振る舞おうとした。
「はい、本当にありがとうございます」
高遠は一に頭を下げた。
「高遠、俺はお前のことを絶対に許さない。でも、、お前が苦しんでいるのは見ていられない。俺がお前を救ってやる。お前がどんな罪を犯そうと、俺がお前を救ってみせる」
一は高遠の目を見つめた。
「金田一君、、」
高遠は一の言葉を聞いて驚いているようだった。
「お前が罪を犯したとしても、俺はその度に必ず助け出して見せる。俺は探偵だからな」一は高遠の肩をポンッと叩いた。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうに微笑んだ。
「金田一君、君は優しい人ですね」
「そんなことねえよ」
「いえ、君は優しくて強い人です」
「買い被りすぎだよ」
一は照れ臭くなって頭を掻いていた。
それから数日後、高遠は無事に退院した。
「高遠、これからどうするつもりだ?」
「そうですね、とりあえず、しばらく旅に出ます」
高遠は空を見ながら言った。
「そうか、気をつけて行けよ」
一は高遠に手を振った。
「はい、それではまたいつか会いましょう」
高遠は一に頭を下げると病院を出て行った。
「さようなら」
高遠は後ろを振り向かずに小さく呟きながら歩いていった。
一は独り言のように言った。
「本当ですか?」
「おう!!もちろんだぜ!!」
「金田一君、、お願いします!!!」
高遠は深々とお辞儀をした。
「ああっまかせろよ!!」
一はニッコリ笑い親指を立てた。
「あの〜ところで、一つ聞いてもいいでしょうか?」
「ん?なに?」
「あなたは私のことを恨んでいるんじゃないんですか?」
高遠は不安そうな顔で聞いた。
「私には、、あなたに謝りきれないほどの罪があるんですよ?」
「だから何だ。犯罪者でも病気で苦しむ奴を見捨てるほど俺は人間できてねぇーよ」
「それにお前は悪いことなんて何もやってねーじゃねえか?」
「えっ?」
「ただ病気だっただけだろ?病気なのは別にお前が悪いわけじゃないんだし、病気が理由で誰かを傷つけたり殺したりしたのか?」
「いえ、、」
高遠は何も言わなかった。
「殺人は許せないが、、、とにかく病気ではお前は悪くなんか無いんだ、病気を治すのは助ける、、、当たり前の事だよ」
一の言葉を聞き高遠の目からは涙が流れた。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
高遠は再び深く頭を下げた。
「よしっ!そうと決まれば早速行動開始するぞ!」
「はい!」
一は医者に電話した。
「もしもし?俺だけど、ちょっと頼みがあってさ、今からそっちに行っても良い?」
「うん、全然大丈夫だよ!待ってるから早く来てね」
一は高遠を連れて病院に向かった。
「こんにちわ」
高遠は緊張しながら挨拶をした。
「はい、こんにちは」
中に入ると白衣を着た優しそうな男性が出迎えてくれた。
「はじめまして、小善です」
「高橋です」
高遠は指名手配犯なため、偽名で名乗った。
「今日はどうしたんでしょか?」
「実はこいつのことで相談したいことがありまして、、」
一は高遠を指差して言った。
「えっと、彼は一さんの友達とかなんですか?」
「違います」
一は首を横に振った。
「そうですか」
「それで要件は何かな?」
「この人の病気を診てあげて欲しいんです」
一は高遠を紹介した。
「病気?どんな症状なのか教えてくれる?」
「はい、私は持病がありまして小さい頃からずっと入院を繰り返してきました」
高遠は自分が持病を持っていることを話し始めた。
「そうだったんだね」
「はい、でも最近になって病状が悪化してしまい、このままだと私は死んでしまうかもしれないんです」
高遠は悲しげな表情を浮かべながら答えた。
「それは大変ですね、、」
「そこで、私はどうしても生き続けたくて、、だから先生に相談したんです」
高遠は真剣な眼差しを向けた。
「な、なるほど、分かりました。
でもどうして僕に?他にも医者がいると思うんだけど、、」
小善はうつむきながら黙ってしまった。
「なぁ、あんた医者なんだろ?だったら高遠を助けてやってくれよ!!」
一は必死に訴えた。
「お願いします!!どうか助けてください!!」
高遠も大きな声を上げて言った。
「う~ん、、分かった。診察しようか」
小善は渋々了承してくれた。
「ありがとうございます!!」
「それじゃあ、まずはレントゲン写真を撮ろうか」
「はい、お願いします」
「じゃあそっちの部屋で着替えてきてね」
「わかりました」
「じゃあ、僕は外で待ってるから終わったら呼んでね」
「はいっ!」
二人は部屋を出た。
「金田一君、本当に良いんですか?」
「ああ、もちろんだぜ!!」
「気にすんじゃねぇーよ!俺はお前を助けたいんだよ!お前が俺にしたことなんてどうでもいいんだ!とにかく病気で苦しんでいる奴を見捨てることなんかできねえ!」
一の言葉を聞き高遠の目からは涙が流れた、、、
「ありがとうございます、ありがとうございます」
高遠は深々とお辞儀をした。高遠は色々な検査をされた。
そしてその結果が伝えられた。
「残念だけど、、高橋さんはもう長くないよ」
小善は申し訳なさそうに言った。
「そんなっ!!どうにかならないんですか!?」
一は悔しそうな顔で聞いた。
「ごめん、、こればかりは、、」
小善は頭を下げた。
「くそっ!何でだよ!やっと病気を治せると思ったのに!ふざけんなっ!!!」
一は怒りで震えた。
「高橋さん、君はどうしたい?」
小善は高遠の意思を確認した。
「私は死にたくないです!もっと生きていたいです!!」
「そうか、わかった」
「高橋さん、君の病気を治すことはできる」
「本当ですか?」
「うん」
「そ、そんなことできないです!!」
「大丈夫だよ、きっと上手くいくはずだ」
小善は自信満々な様子だった。
「でも、もし失敗したら、、」
高遠は不安げだった。
「失敗しないさ」
小善は優しく微笑んだ。
「それにこれは君のためでもあるんだ」
小善は自分の考えが正しいと思っているようだった。
「わ、分かりました、、」
高遠はしぶしぶ承諾した。
小善は注射器を取り出して高遠の腕に刺した。
すると高遠は苦しみ始めた。
「うぐぅ、あぁ、、」
高遠の顔色はどんどん悪くなっていった。
「高橋さん、頑張ってくれ!!」
一は必死に声をかけた。
しかし返事はなかった。
「はい、終わりましたよ」
「これでいいんですよですね?」
「えぇ、もちろんですよ」
小善はとても満足そうな表情をしていた、、、
一は高遠が苦しんでいる姿を見て、小善は高遠を殺そうとして毒を打ったかもしれないと思った。
「何でこんなことを!!」
「偽名を使っているがこいつは殺人鬼の高遠遙一だろ?」
「な、何を言ってるんだ!!お前は医者じゃないのかよ!!人を殺すなんて!!」
「復讐さ、、、、、俺の娘を殺したこの男へのな!!」
「娘?あんた結婚していたのか?」
小善は指輪を見ながら言った。
「ああそうだよ!俺には妻と子供が居たんだよ!なのにこいつのせいで全てを失った!
だから俺は高遠に復讐しようかと思っていた時に、、、君たちが来たんだ!!ちょうど良かったよ!!」
小善は苦しんでいる高遠を睨みつけながら言った。
「お前だって俺と同じだろう!お前も俺と同じように幸せを奪われた!それなら俺の気持ちが分かるはずだ!!」
小善は声を荒げた。
「確かに、、そうかもしれねえけど、、」
一は少し考えてから答えた。
「じゃあどうしてそんなやつを助ける必要がある!?」
小善は怒鳴った。
「それは、、」
一は何も言えなかった。
「もういい、、早く殺してください、、」
高遠は弱々しい口調で小善に頼んだ。
「ああ、そうする」
小善は高遠に近づいていった。
「待ってくれ!」
一は小善を止めた。
「何だよ、邪魔をするな!!」
小善は一を殴ろうとした。
「ぐっ、」
一はその拳を避けようとしたが避けきれず頬を殴られてしまった。
「痛ってー」
口の中を切ったようで血が出ており唇からも出血している。
「大丈夫ですか!?」
高遠は心配そうにしている。
「大丈夫だよ」
一は高遠に向かって笑みを浮かべた。
「何だよ、まだ何かあるのか?」
小善は不機嫌そうだった。
「高遠を殺さないでくれ、、」
一は小善を真っ直ぐ見つめた。
「そんなことできるわけないだろ!こいつは人を殺しているんだぞ!それに病気なんだ、どうせ長くは生きられないさ」
「それでも頼む!!」
一は頭を下げた。
「金田一君、、、、どうしてそこまで、、」
高遠は驚いている。
「高遠は殺人鬼だけどさ、でも、、」
一は言葉に詰まった。
「でもな、、、、俺は、、」
一は涙目になっていた。
「くそぉ!!」
小善は舌打ちをした。そしてポケットからナイフを取り出した。
「おい、まさかそれで刺すつもりかよ?」
一は驚いた様子だった。
「そうだ!お前が止めるからだ!!」
小善は自分の行動を止める一に対して腹を立てていた。
「ふざけんなよ!!お前が殺すなんておかしいだろうが!!
お前は医者だろうが!!人を救える立場にいる人間が命を奪うなんて間違ってるだろうが!!
お前の娘さんだってきっと悲しむはずだ!!だからやめてくれよ!!お願いだからよ!!俺が代わりに死ぬ!!だから頼む!!」
一は必死に訴えかけた。
「うるさい!!黙れ!!」
小善は一の言葉が気に入らないようだった。
「お前はただ高遠を恨んでるだけだろ!!お前の妻と子供もきっと、、、」
「うるさい!!うるさい!!うるさい!!」
小善は叫びながら走って高遠の元へ行った。
「ちくしょう、、」
一は涙目になると、小善の白衣を掴んだ。
「何だよ、離せよ」
小善は冷たく言い放った。
「嫌だね」
一も負けじと言い返した。
「何だよそれ?意味わかんねぇんだけど?」
「わからないなら教えてやるよ」
一は小善の腕を振り払うと、今度は胸倉を掴み、そのまま背負い投げをして床に叩きつけた。「ぐはっ」
小善は倒れた。
「大丈夫ですか!?金田一君!」
高遠は慌てて一の元に駆け寄った。
「ああ、なんとかな、、」
一は口元を手で拭いながら答えた。
「それより早く毒をなんとか、、、」
「わかってる」
一は小善を担ぎ上げようとした。
「待ってくれ!私を置いて行かないでくれ!!」
高遠が呼び止めた。
「大丈夫だよ、すぐ戻ってくるから」
一は高遠を安心させようと笑みを浮かべた。そして小善を担いで部屋を出て行き、隣の部屋の床の上に小善を置いた。
「なぁ、小善」
一は小善に声をかけた。返事はなかった。
「小善、、、ごめんな、俺がもっとしっかりしていたらこんなことにはならなかったかもしれないのによ、、」
「あのさ、、俺もさ、高遠がを憎んでいるんだぜ」
一は涙を流しながら笑みを浮かべた。
「でもさ、高遠には高遠なりに辛いことがあったってわかったよ、、」
一は小善に高遠の過去の話をすることにした。
「高遠は昔、父親から虐待を受けていたんだよ、、」
一は話し始めた。
「そのせいで高遠の心と体はボロボロになってさ、」
「酷いですね、、」
「ああ、本当に酷え奴だ」
一は怒りを抑えているのか震えていた。
「そんな時に出会ったのが近宮玲子っていう女性だったんだ、、」
「あぁ、あの死んだマジシャンの女か」
「そうだ。高遠はその女に救われたみたいでな、それからは高遠は変わった、、その人と同じマジシャンになるのが夢だったらしい、、でも、、、」
一は顔を歪めた。
「近宮玲子がマジック中の事故に見せかけて殺されて、、それでも高遠は夢を諦めなかった、、、実はそのマジシャンは高遠の母親だったんだ。つまり実の母親なんだ。病気の治療費を出してくれていたらしい、、、だから余計に許せなかったのかもしれねえ、、」
一は拳を強く握りしめて歯ぎしりをした。
「高遠は復讐のために殺人鬼になった、、俺はさ、高遠を止められなかったよ、、」
「気持ちがよくわかるんだ、、大切な人が殺される苦しみを知っているからこそ、殺したくなるほどの憎しみが生まれることも知っている、、だからこそ高遠を止められなかった、、」
一の目からは涙が流れ落ちた。一の言葉を聞いた小善は何も言わずにただ黙っていた。
「俺はあいつを助けたい、、」
一は呟くように言った。
「助けるだと?お前に何ができるというのだ?」
「それは、、わからないけどよ、、」
一は俯いた。
「ふん、お前のようなガキが高遠を救うことなどできるわけがない」
小善の言葉が一の心に突き刺さった。
「確かにそうかもしれねえ、、だけど、、」
一は拳を強く握りしめた。
「だけど、、」
一の目から涙がこぼれた、、、
「アイツは病気なんだよ!!ずっと苦しんできた、、一人で抱え込んで生きてきた、、」
一は泣き崩れた。
「俺はさ、高遠のために何かしたかったけどよ、、結局は何もできなくて、、」
一は涙声になっていた。
「でもよ、あいつにも事情があったんだよ、、高遠は人殺しだけどさ、それでもあいつだって人間なんだ、、だからよ、許してくれよ、、小善、、頼むよ、、」
一は泣き崩れてしまった。
小善は壁を思いっきり殴っていた。
「ちくしょう!!」
小善の目からは涙が流れ落ちていた。
「俺は何故、泣いているんだ!アイツは俺の妻と子供を殺すのを手助けした野郎だろう!?なのになんでこんな感情になっているんだ!」
小善は自分の心がわからなくなっていた。
「なぁ、小善、、」
一は顔を上げて立ち上り、小善の顔を真剣に見つめながら言った。
「あんたがどんなに奥さんや子供を大事に思っていたのかは知ってるつもりだ、、それにあんたは優しい男だよ、、きっとあんたならわかってくれると俺は信じてるぜ、、」
一は小善に微笑みかけた。
小善は涙を流していた。
そして小善は立ち上がり部屋から出て行った。小善は自室で考えていた。
「金田一君、君は一体何を考えているんだ、、私はどうしたらいいんだ、、」
小善の心の中には迷いが生じていた。
「高遠は私の大切な人達を殺した奴なのだぞ、、それなのにどうして、」
小善は頭を抱え込んだ。
「クソッ、、」
小善の声が部屋に響いた。
「高遠、、、俺にできることってないのかよ、、」
一は一人呟いていた。
一は小善が高遠に打った毒の解毒薬を探した。
「あった、これだよな」
一は小瓶を手に取った。
「これを高遠に飲ませれば、、」
一は急いで高遠の部屋に向かった。
「高遠、起きてるんだろう?」
一は高遠に声をかけるが返事はなかった。
「高遠、大丈夫なのか?」
一が高遠の肩に触れると高遠は目を覚ました。
高遠は一を見ると驚いたような顔をしていた。「どうして」
「戻って来るって言っただろう」
一は解毒剤を見せた。
「これは?」
「解毒剤だ。お前に打つために探してきたんだ」
一は解毒剤を高遠の腕に注射しようとした。
「やめてください」
高遠は一の腕を掴んで止めた。
「なぜ止める?このままだとお前死ぬんだぜ」
高遠は首を横に振った。
「私はもう長くありません。この体は限界です」
高遠は一の顔を見て微笑んでいた。
「私にはわかっていたんです。自分の体が壊れていくのがわかるんですよ」
高遠は悲しそうだった。
「そんなことねえよ、きっと助かるよ」
一は高遠の手を振り払おうとしたが、高遠は一の手を離さなかった。
「あなたは優しい人ですね」
高遠は一の目を見た。
「私のことは放っておいてもらえませんか」
高遠は一の目から視線をそらした。
「嫌だね」
一は高遠の言うことを聞かず、高遠の手に持っていた解毒剤を奪い取って高遠の体に無理やり打とうとした。
「やめて!!」
高遠は必死になって抵抗したが、力の差がありすぎて一を止めることができなかった。
一は高遠に解毒剤を打った。
「これでよしっと」
高遠は苦しんでいる様子はなく、落ち着いているように見えた。
「ありがとうございます」
高遠は悲しそうに一にお礼を言った。
「高遠、俺はさ、、」
一は高遠を説得する言葉を考えていた。
「あなたの気持ちはわかりますよ」
高遠は一の言葉を遮るように話し始めた。
「でも、無理ですよ。どうせ、、」
高遠はそこで言葉を詰まらせた。
「どうせ、なんだっていうんだよ」
一は高遠の態度にイラついていた。
「どうせ、、」
高遠は一に背を向けた。
「毒で死ななくてもどうせすぐに終わりが来て死んでしまうから、、、」
高遠の声は震えている。
「高遠、、、」
一は何も言えなかった。
「それに、、」
高遠は一の方を向いた。その目からは涙が流れ落ちていた。
「私は殺人鬼だ!!何人も殺しているんだ!」
高遠は自分の両手を見つめた。
「だから、、私が死んでも誰も困らない」
高遠は涙を流しながら一に笑いかけた。
一はその姿を見て胸を痛めていた。
「小善の奥さんと子供は、、、私が、、殺してしまった、、あの人は、、私のせいで、、」
高遠は声を殺して泣いている。
「高遠、、」
「私と関わった人間はみんな私が不幸にしてしまうんですよ」
高遠は自嘲気味に笑う。
「高遠、それは違うぜ」
一が口を開いた。
「えっ?」
高遠は驚いて顔を上げた。
「高遠、お前のせいじゃない。お前のやった事は間違ってる。絶対に許せないことだ。だけどな、お前が幸せになるのが一番いいんだ。俺がお前を救ってやる。俺を信じろ」
一は高遠に真剣に語りかけていた。
「金田一君、、」
高遠は一の顔を見て笑った。
「私は、、」
高遠は何かを言いかけて口を閉じた。
「高遠、、」
一は高遠の顔を見て不安になった。
「なんでもありません」
高遠は首を横に振っている。
「あなたは本当に優しい人ですね」
高遠は一の目を見た。
「私には、、あなたのような人が必要なんです。あなたなら、、」
「私をいつか助けてくれるかもしれない」
高遠は一から目をそらした。
「わかったよ。約束だ」
一は小指を出した。
「なんですか?これ、、」
高遠は不思議そうにしている。
「知らないのか?これは小指って言って、こうやってお互いの小指を結んで誓うんだよ」
一は高遠の手を取って自分の小指を結んだ。
「これでお前はもう大丈夫だ」
一は高遠に笑顔を見せた。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうな顔をしていた。
「さあ、行こうか」
一は立ち上がった。
「はい?」
驚きながら高遠も立ち上がる。
「行くぞ」
一は高遠の腕を引っ張ると小善がいる部屋に向かった。
「金田一、、え?何故、ここに戻って来たんだ?!」
小善は二人を見ると驚いた表情をした。
「小善、高遠の病気を治してくれ」
一は小善に頭を下げた。
「な、なんだと!?」
小善は動揺している。
「頼むよ」
一はもう一度深くお辞儀をする。
「高遠の病気を治せる医者なんて、この辺りにはいないはずだ。それに、高遠は今まで何度も病院に行って検査を受けている。それでも原因がわからなかったんだ」
「、、、、でも、、、そいつは俺の大事な妻と娘を、、殺した奴だ」
小善は拳を握って震えている。
「そうだとしても、、このままじゃ、こいつは死ぬしかないじゃないか。小善だって本当はわかってるんだろう。こいつも苦しんでいるんだ。だから、、小善、お願いします。高遠を助けて下さい。小善さんしか頼れる人が居ないんだ」
一は再び小善に深く頭を下げる。
「くっ、、」
小善は唇を噛んでいた。
「あんたが高遠のことを憎んでいる気持ちはよくわかる。俺だってそうだ。だけど、高遠が苦しんでるのは見ていられない。高遠が助かるんだったら、どんなことでもする。だから、高遠を助けてくれ」
一は再び深々と頭を垂れて頼み込んだ。
「私からもお願いします」
一の隣にいた高遠が一歩前に出て小善に近づいた。
小善は高遠を見て驚いている。
「な、何を言っているんだ!お前は!」
小善は高遠を睨んだ。
「お母さんが殺されて私は大事な人を失う哀しみを知っています、、、なのに、、、、私はあなたを私と同じ目にあわせて合わせてしまった、、、本当に申し訳ありませんでした」「やめろ、謝るんじゃねえ」
一は高遠の言葉を止める。
「許せないかもしれませんが、、どうか、、私の体を救ってください」
高遠は小善に頭を下げていた。
「お前が、、お前が言うのか?お前のせいで、、妻は死に、、子供まで、、」
小善は涙を流し始めた。
「ごめんなさい、、、、」
高遠の目にも涙が浮かび始める。
「高遠、もういい」
一は高遠の肩に手を置いた。
「小善、俺は高遠を許さない。でも、俺は高遠のことも救いたいんだよ」
一は小善の顔を見る。
「お前は、、お前は、、」
小善は言葉が出ないようだった。
「頼むよ」
一は小善に再び頭を下げる。
「わかった」
小善は一と高遠を見るとため息をついた。
「ただし、条件がある」
小善は高遠を見た。
「なんですか?」
「俺に治療をして欲しかったら、一に危害を加えないでくれ」
「小善、、、」
一は驚きながら小善を見つめていた。
「一は俺の大切な人だ。これ以上失いたくない」
「ありがとうございます。約束します」
高遠は小善に頭を下げた。
「金田一君、私のことを恨まないのですか?」
「恨むさ」
一は高遠の問いに即答した。
「でも、今はそんなことより、お前を助けたいんだ」
一は高遠に微笑みかけた。
「君は不思議な子ですね」
高遠も微笑み返した。
「小善さん、頼むよ」
一は小善の目を真っ直ぐに見据える。
「ああ、わかったよ」
「これから高遠は俺の病院に入院して貰う。それで良いな」
小善は観念するように言った。
「はい」
高遠は嬉しそうにしている。
「それでは、よろしくお願いします」
高遠は一と小善に向かってお辞儀をした。それから高遠は小善の病院に入院して治療を受けることになった。
数日後、一は高遠の見舞に病院を訪れた。
「調子どうだ?」
病室に入ると高遠はベッドに座って本を読んでいた。
「まあまあです。これで私の病気も治りますね」
高遠は本を閉じて一に笑顔を向けた。
「そうだな」
一は少し複雑な気持ちになっていた。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもねえ」
一は首を横に振った。
「高遠、お前、元の体に戻ったら何したいんだ?やっぱり、やりたいことがあるんだろ」「あります」
「なんだ?」
「私はもう一度舞台に立ちたいんです」
高遠は窓の外を見ながら答えた。
「またマジシャンになるつもりなのか」
「ええ、あの時、私はとても楽しかったから」
高遠は遠い目をしていた。
「でも、、、私には無理なのかもしれない、、だって、、」
高遠は俯いて黙ってしまった。
「高遠、、」
「私は、、人を騙すことしかできない人間だから、、きっと、元に戻っても同じ過ちを繰り返してしまう、、、私なんかが生きてても仕方がない」
高遠は一の顔を見て涙を流し始めた。一はその涙を見ると胸が痛くなった。
「高遠、、」
一は何も言えなかった。
「金田一君、、私がもし、元の体に戻れたら、、私のことは忘れてください」
高遠は再び泣き出した。
「私は殺人鬼として生きるのはもう嫌、、でも、、それでも、、誰かを傷つけずにはいられない、、」
「高遠、お前は悪くない」
一は高遠の肩に手を置いた。
「いいや、悪いよ」
高遠は首を振ると笑っていた。
「高遠、、」
一は言葉が出なかった。
「ごめんなさい、変なこと言って、、」
「金田一君が私のことを心配してくれているのはわかっています。でも、私は大丈夫ですよ。金田一君のおかげで病気も良くなりました。もうすぐ退院できます」
「良かったじゃねえか」
一は高遠を元気づけようと明るく振る舞おうとした。
「はい、本当にありがとうございます」
高遠は一に頭を下げた。
「高遠、俺はお前のことを絶対に許さない。でも、、お前が苦しんでいるのは見ていられない。俺がお前を救ってやる。お前がどんな罪を犯そうと、俺がお前を救ってみせる」
一は高遠の目を見つめた。
「金田一君、、」
高遠は一の言葉を聞いて驚いているようだった。
「お前が罪を犯したとしても、俺はその度に必ず助け出して見せる。俺は探偵だからな」一は高遠の肩をポンッと叩いた。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
高遠は嬉しそうに微笑んだ。
「金田一君、君は優しい人ですね」
「そんなことねえよ」
「いえ、君は優しくて強い人です」
「買い被りすぎだよ」
一は照れ臭くなって頭を掻いていた。
それから数日後、高遠は無事に退院した。
「高遠、これからどうするつもりだ?」
「そうですね、とりあえず、しばらく旅に出ます」
高遠は空を見ながら言った。
「そうか、気をつけて行けよ」
一は高遠に手を振った。
「はい、それではまたいつか会いましょう」
高遠は一に頭を下げると病院を出て行った。
「さようなら」
高遠は後ろを振り向かずに小さく呟きながら歩いていった。
