すごく短いもの
おなまえ
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ベッドのなかで、思う。これから瞼を貫通してくれるだろうありがたき日の光、超常的で自然的なぼくたちはまた、同じあした(すでにきょう)を過ごしていくだろうこと、午前四時過ぎの不純孤独交遊の果て、いつもこの仄光で終わってばかりで飽き飽きだ。
きみは、起きているだろうか。いや、確実に寝ているだろう。
ぼくは、多少伸びた髪が首筋にかかるのがくすぐったくて寝返りをうった。姿勢が反転しても取りかわらない頭のトピックが、どうしようもなく濡れている気がする。どんどん水を含んでいって、重くてたまらなくて、胎児のようにぎゅっと丸まった。
かたかた、こつこつ、にわか雨の音。残り少ない夜の湿度にやられて、こうしていると、さらにひとりぼっちだ。
もうすぐ朝がきて、学校がくる。たくさんゆれる傘のなかから、きみのを見つけられるだろうか。その背におはようと言って、振り返らせることができるだろうか。
束の間のベッドのなかで固く閉じた目が、しゃぼんの色に透けてくる。たえず視界が泡のつぶつぶに満たされて、ぼくを混沌とした気分にさせる。そうして考えつづけていると、眠っていないのに夢をみているみたい。
そういえば夢も、ただの記憶の整理時間にすぎないんだっけ。だとしたらぼくの記憶って、あんまり一色すぎてつまらない。
ねえ、いまごろには、夢をみているひと?ぼくのことを、どうすれば好きになりますか?
ねえねえ、夢のなかでささやいてくれたら、日記をつけるみたいに耳をすますから。
朝までのもうちょっとを、ぼくは眠る。何も知らない他人には青春とワッペンをはられるだろうこの短夜を、ノンレムに埋め尽くしたくて。せまいおでこのなかで悠々と泳ぎまわるきらきらの魚を、できるだけ上手に、嫌われないように、つかまえてみたくて。想像上の夢にふれる。夢も、ぼくへふれる。
だからあなたのことをおしえてよ。そうやって頭のなかだからって呼び捨てにしたり、きみが呼ぶぼくの名前の色を妄想したりね。
きみも、たった一色に染まってよ。ぼくの傘へはいってよ。肩をよせて、ぜんぶよせて、あぶなくなるまでさそってよ。
ねえねえ、ぼくの不毛で不可解な不眠症をとめてみて……