すごく短いもの
おなまえ
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夏休みが終わった。7月の授業中や8月の練習中にみんみん鳴きまくっていたセミは、登校途中の道にごろごろ落ちている。そういう夏がぼやぼやと足踏みをしているうちに、俺は汗を拭って髪をとかした。
始業式の日、教室に入ると、まだ冷房のつかない室内がもうむわんとした熱気を帯びるほどクラスメイトは揃っていた。この人たちは、朝からそんな楽しそうに何を話すんだろう。俺は自分の席について、荷物を少しまとめた。
そうしていると、前の席のあなたさんが「おはよう」と言ってきた。俺も「おはよう」と返して会話はそれで終わったと思ったが、あなたさんは続けて「ひさしぶりだね」と照れたように言った。その言葉がなんだか意外で思わず目を合わせると、あなたさんの肌は夏休みを経たとは思えない白さを保っていて、心配になるほどだった。
「あなたさんは、どこか行ったの」あなたさんは俺に話したいことがあって(旅行先が豪華だったとか、友達とあそんだとか)会話を続けたんだと思って、俺は適当な質問を投げかけた。だが、あなたさんは「ううん。どこもいかなかったよ」とどこか寂しそうなまでに目を伏せて答えた。俺は(じゃあなんで無駄に話を振ったんだ)と心底思ったが、「俺も練習とか以外はあんまり外出なかった」と同調する。すると、あなたさんは「そっか」と何がおかしいのか笑った。
そこからはあなたさんも彼女の友達と話したりしていて、しばらくするとチャイムが鳴った。俺は女子と話すこと自体そんなにないし、女子の話は着地点をどうしたいのかわからないことが多くて苦手だった。あなたさんがそうじゃないとは全く言い切れないが、なんだかさっきの会話は返答として最も良い選択肢を選んだんじゃないかと思った。
灼熱地獄の体育館で先生の話を聞きながら、かろうじて置いてある大きな扇風機のおこす熱風で死なない程度にいたぶられ、俺たちは教室にぞろぞろと帰った。
教室の鍵を開けるといちばんに、つきっぱなしだった冷風のかたまりが身体中におしよせる。二の腕に鳥肌が立つほどの涼しさに、クラスメイトはみんな気の抜けた声を上げた。
そして自分の席について、いろんなプリントが配られて、また先生の話を聞く。先生の声よりも、みんなは冷房のごうごう鳴る音を聞いていたように思う。俺の席は空調の風が直に当たって寒いほどだ。視線をずらして、終わりかけの夏の空をながめて、まだ青いのかとため息をついたら、先生に注意された。ふと前を見ると、あなたさんの髪の毛が涼しげにさらさらゆれていた。
始業式の日、教室に入ると、まだ冷房のつかない室内がもうむわんとした熱気を帯びるほどクラスメイトは揃っていた。この人たちは、朝からそんな楽しそうに何を話すんだろう。俺は自分の席について、荷物を少しまとめた。
そうしていると、前の席のあなたさんが「おはよう」と言ってきた。俺も「おはよう」と返して会話はそれで終わったと思ったが、あなたさんは続けて「ひさしぶりだね」と照れたように言った。その言葉がなんだか意外で思わず目を合わせると、あなたさんの肌は夏休みを経たとは思えない白さを保っていて、心配になるほどだった。
「あなたさんは、どこか行ったの」あなたさんは俺に話したいことがあって(旅行先が豪華だったとか、友達とあそんだとか)会話を続けたんだと思って、俺は適当な質問を投げかけた。だが、あなたさんは「ううん。どこもいかなかったよ」とどこか寂しそうなまでに目を伏せて答えた。俺は(じゃあなんで無駄に話を振ったんだ)と心底思ったが、「俺も練習とか以外はあんまり外出なかった」と同調する。すると、あなたさんは「そっか」と何がおかしいのか笑った。
そこからはあなたさんも彼女の友達と話したりしていて、しばらくするとチャイムが鳴った。俺は女子と話すこと自体そんなにないし、女子の話は着地点をどうしたいのかわからないことが多くて苦手だった。あなたさんがそうじゃないとは全く言い切れないが、なんだかさっきの会話は返答として最も良い選択肢を選んだんじゃないかと思った。
灼熱地獄の体育館で先生の話を聞きながら、かろうじて置いてある大きな扇風機のおこす熱風で死なない程度にいたぶられ、俺たちは教室にぞろぞろと帰った。
教室の鍵を開けるといちばんに、つきっぱなしだった冷風のかたまりが身体中におしよせる。二の腕に鳥肌が立つほどの涼しさに、クラスメイトはみんな気の抜けた声を上げた。
そして自分の席について、いろんなプリントが配られて、また先生の話を聞く。先生の声よりも、みんなは冷房のごうごう鳴る音を聞いていたように思う。俺の席は空調の風が直に当たって寒いほどだ。視線をずらして、終わりかけの夏の空をながめて、まだ青いのかとため息をついたら、先生に注意された。ふと前を見ると、あなたさんの髪の毛が涼しげにさらさらゆれていた。