すごく短いもの
おなまえ
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グランドピアノには屋根がついている。そしてそれはあなたのための部屋をとじる。
一切の自然光をことわって、星を垂らした羽衣を焼きつけて、おそらくは暗闇に眠って。僕のピアノと一緒になってもらう。
白黒模様の中に横たわるあなたを少し眺めたら、僕は永遠に屋根を閉じる。
そしてあなたは、僕の指や頭を響かせる音が一番に届く場所へ閉じ込められる。
世界で一番容易に、僕の音色がきこえる場所。宇宙よりもそばにあって神聖な場所。ピアノの音色を飲み食いしてあなたは生きながらえる。僕の奏でるピアノは健康にいい。だから、あなたはじつに元気に長生きするだろう。
誰にも害されることなく、脅かされることなく、ましてや殺されることもない。安全であたたかくて、いつも誰よりも僕のそばにある。
透徹な殺意は僕の目を通して、薄暗い、薄暗い神話のはじまりになる。危ないものはすべて僕の喉が吹きつける毒の調べで、なにもかもはぶいておくから。だからなにもかもが大丈夫だ。
僕の頭蓋骨の内側に今も住んでいるみたいに、ただ、僕のピアノの中に入ってきて。
そうしたらただ僕のピアノをきけ。
僕の一番そばで。
ばたん。