すごく短いもの
おなまえ
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「わたくし……夢があるんです。単刀直入に申し上げますと、あなたさまを……その。ええ。申し上げますと、あなたさまを実食するという夢なのですが。じつに!こうして言葉にしただけでも口の中が奇跡の味わいを錯覚するほど甘美!……ところで実食という意味ですが、いわずもがな、あなたさまを切り分けて、または切り分けずにそのままのかたちで……んん。ああ、ええと、そうですね。状態としては……火を通すのはなんだかもったいない気がいたしますので、できるだけレアが望ましいのですが……まあ、細かいことを言っていてはよだれが無駄に分泌されるだけですので。問題は口に入れた瞬間、噛みついた瞬間、のみ込んだ瞬間、どんな味が、香りが、舌触りが、のど越しが、幸福感が、どんな、どんな、どんな!ああ。食感が、弾力が、また空しさが!わたくしの全身に襲い掛かって、包み込んでくれるのかということです!わたくしは一日のどんなときにもその疑問を夢想してしまうのです。ああ、いけない、よだれが。じゅるるっ。失礼いたしました。あなたさまのことを、あなたさまという食材を想像してしまうともう、どんな美食もひどくちっぽけな、凡な食事に思えてしまいます。この世の誰よりも食事好きなこのわたくしが………、そう……夢を語るのは大いにすばらしいことだと、あなたさまも以前おっしゃっていましたよね?わたくしはこの夢について筆舌に尽くしがたいほどの想像を重ねていますので、いえ、いまもなお膨らむ一方ですので!どれほどの時間をかけても足りないほど語ることができるのです!すばらしいことでしょう。……………一番の問題は、あなたさまを実食することが赦されないことなのですが。なんと、あなたさまのことを食べてしまえば、あなたさまがこの世からいなくなってしまうのです……わたくしはつい最近そのことに気が付きました。あなたさまがいない世界は実につまらないでしょう。寂しく、悲しいものでしょう。その寂しさを感じるとき、わたくしの腹の中にいるあなたさまは寂しさをぴったり埋めてくださるのでしょうか……そう考えだすともう、悲しさと欲しさにはさまれて、わたくし身動きがとれず、どうしようもなく苦しくなってしまい……恋わずらいのようにどうにも甘酸っぱく……おや?」
「どうしてそのように怯えた顔をするのですか?」