すごく短いもの
おなまえ
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失恋した。
ひとりでカラオケに入った。プロモーションビデオが垂れ流されて知らない曲ばっかりが満ちてる部屋で、俺は希死念慮の上着を脱いでていねいにハンガーにかけた。それからマイクをとった。
「それならもう全部壊れろおあああぁあ!!!っ!!」
声は震えすぎていた。もやっとしたエコーがちょっとの間部屋に「あああ」と響いて、自分の息づかいと同期した。もう俺は泣いていた。マイクがいちいち嗚咽を拾うせいで、薄暗いままの部屋は情けなさであふれる。
「あああああああっ……!!!!!!!」
「ううあああううううう!!!!!は」
「死にたあいいいあああ!!!!!!!!!ぶっ頃したああああ!い!!!!」
「あっ。ああああああぐぐぐうあああいいいしねしねしねsしねっしねしね!!!………」
告白もできなかった。俺が心とか、何も開こうとしなかったから。知ってもらおうとしなかったからそのせいでこれになっている。
ここに歌は存在しない。袖で頬を拭いまくって、鼻をすすって、すでに掠れかかった大声や、大声のなりそこないを垂れているだけ。ここにはそういうやつがいるだけ。何もない。息が切れてきた。
どこに行っても俺には何もない。ここを出たら何をしよう。家に帰ったらどうしよう。考えたくない。何かの歌みたいなことを考えたくない。呼吸がクソみたいに下手になって、鼓膜を大きく邪魔する。
死にたい。どっかに行きたい。何もかも壊したい。怪我したい。殺されたい。死にたい。あなたに心配されたい撫でられたい慰められたい話を聞いてほしい今からでもいいからここにきてほしい……「あああああぁっぁぁぁぁ……」……あなたあなたあなた。もう。「あなた!あなた!!!!!!あなた!!!!!!!なああなた…………!!!!!!!」ぶっ殺したいけど会いたい。…………この期に及んであなた。もう助けてくれ。やめてくれ。もう。助けてくれ。やめてくれ。やめろ。やめてくれもう、もう、もう、もう本当に殺してくれ。
「あなたああああああああああぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅぁぁっぁぁぁ………っ………」
俺は座って首を絞めながらあなたを呼んで息を絞って立ち上がって、って、そういう擬似的な失神を何度かして、そうしたら時間になってフロントから電話がきて、料金を支払って、駅まで歩いて、電車に乗って、家に帰って、部屋に戻って、着替えて、あなたの名前を呼ぶのをやめて、今度は声を殺しながらまた泣いて、誰に見せるでもない、誰にも見せられないようなことをして、その動画を撮って、それを確認しながら泣いて、寝て、あしたもまた大学に行って、あなたのことを…………考えたまま、…………………たぶんいつか死んで…………今行きたいどこかに……そのときにならないと行けないところに、……………………………