すごく短いもの
おなまえ
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すこし前。この世界で一番近くにいるはずのあなたが少し遠ざかったように感じた。あなたが私に近づくたび、私自身が私から逃げていくような心地がしていた。
「どこへ行くんですか?外へ出るときは私にきちんと報告してくださいね」
「ふうん。それで何時何分に帰ってきますか?ああいえ、やはり私が迎えに行きましょう」
「17時までに帰ってきてくださるとは思いますが近頃怖い事件も多いですからね。ここで心配を募らせるくらいなら迎えに行く方が確実に安全です」
「あなたを愛してるのに」
「また私のこと、関係ないって言うんですね」
「……………」
いってらっしゃい。
空虚………………………なんて空虚な私。何もかも無くなればいいのにとちょっと思います。口には出しませんが。
気まぐれ。あまりにも。
あなたの話はつまらないと言われたことがありますか。あなたという人間はくだらないと言われたことがありますか。あなたと一緒にいたくないと言われたことがありますか。あなたは矮小でとるにたらない、いなくなってもかまわない存在だと言われたことがありますか。あなたが嫌いだと言われたことはありますか。ああ私はあなたの企み通り、その讒謗を一挙に吐き捨てられたような気持ちで、かなりくらっています。
あなた、私を可哀想がるのはさぞ愉快だったことでしょう。鍵盤を滑って落ちて音階が最低にたどりついた。腹の底から濁った血がその音をたてて沸騰している。
あなたを連れていくのはどこの誰なんだ?
そう思っているとあなたは画面を一心に見つめてうれしそうにメッセージを送っていました。きっと、好きなひとへ。
あなたにつまらないミームを植え付けた、インターネットを許さない。あなたに上手なメイクを教えた、インターネットを許さない。あなたにぴったりな情報を選別する、インターネットを許さない。
しかし私はきっとあなたを許すでしょう。そうしてしまうでしょう。だがあなたはきっと……私をどこかへやってしまって、知らない人と笑うんですね。痛い。あまりにも。あなたは痛いんだ。私だって痛いんだ。私のいらない世界を旅するインターネットを許さない。そしてあなたのことすら許せなくなったなら私は、…………
「いってらっしゃい。」