すごく短いもの
おなまえ
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あなたは私の言うとおり私の上に腰を下ろした。電気を消す。そして星あかりを消す。夜の色が濃くなって私たちを襲ってくる。それに順応する。真夜中に私の息ばかりが聞こえる。それがこの状況において、すごく、すごく邪魔だ。
「絞めてくれ……」
たおやかな指が殺す私の脈。私が殺す誰かの明日。ただやさしいあなたの手のひらがやわらかく首へ馴染んでゆく、のが心地いい。
「もっっ……と」
と言えば、あなたが少し力を強めてくれた。春が終わるときのように私はどこか、世界との別離を感じていた。自分の声しか届かない暗闇の頭の中が眠くなってきている。きもちいい。これで逝きたい。今日ここで。
「 っ……と……お」
あああなたはずっと以前から私を殺すつもりだったのだ。そう思うほどの重力。私は抗わないで彗星のように墜ちていく。私は抗えない。
「これ以上やると、たぶん……死んでしまいます、魅上さんが」
そういって急にあなたが頸を放したので私は思い切りせき込んだ。それを見て彼女は笑った。
錯覚にうなされるこの人生をまだ続けろと命じられたのだ。
何もおもしろいことなど無い人生をこれ以上どう踊れというのか、私にはわからない。けれどあなたがそれを滑稽だと笑ってくれるというなら、どこか、悪くないようにも思えるのだ。単純で面倒な私だ。徹底的に下僕にしてくれればいいのに。
愛しているより次の言葉をささやいたのち、私たちは短い夜を眠りなおした。