短編
おなまえ
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※暴力・吐瀉物・血の表現があります
「あなたとおれの、赤ちゃんかあ」
きっとその子は、まつ毛がかわいくカールして、目をパッチリ開いた、快活でやさしい子になるんだろう。同じクラスの子供から羨まれるような、キラキラした青春を送って、満足のいく人生も送ることができるだろう。
(だけど邪魔だな。)
俺とあなたの間には何も要らない。
よく子供のことを愛の結晶だなんていうけど、嘘っぱちだ。俺以外の人間にあなたのきれいな血が混ざる。それが循環してそいつを生かす。そんなこと考えたくもない。
あなたに生を許可されていいのは俺だけなのに。邪魔。邪魔。そんなのがいたなら、そして愛を注がなきゃならないなら、俺はそいつを殺す。
ごみをごみ箱に放り投げるみたいにカンタンにね。
そしてそれは正当な愛の行為として昇華する。
……罪の結晶でしかないんだ。愛は形に残らないからこそのものなんだ。
なんだってぜんぶはかなく消えていくんだよ。
これは俺の個人的な見解。
だから殺すしかないと思った。
あなたは苦しそうに顔をゆがめて、俺の腕と、顔を交互に見た。
信じられないって表情を浮かべて、吐瀉物にまみれた服の下の、腹のまた奥の、その命はきっともう、命とは呼べなくなったね。俺の拳によってぐちゃぐちゃに潰されてしまってあとは、あなたから出て行ってもらうのを待つだけ。
「もう流れちゃったよね。」
「な、ぁ、なんで、」
なんでこうしたかもわからないの?
ほんとにばかだな、でもそのままでいてね。
「あなたちゃんを愛してるからだよ。」とかいって、俺は笑った。
ありきたりで、映画みたいな感動的な告白ではなくなっちゃったけど、幸せだなと思った。ああ、幸福のかたちは消えてほどけるからきれいなんだね。
さようなら、生まれることもかなわなかった俺たちのあかちゃん。
こんにちは、俺たちをいっしょに地獄に誘う愛という感情の呪縛。
ちいさな死は寄生する。こころに。いのちに。彼女のからだに。俺の咎はもう消えない。愛の結晶らしきものは消えてしまっても、あなたはきっとずっと苦しむんだろうなあ。
俺は笑った。
「アハハハ、俺、ほんとに愛してる。あなたちゃんに執着してる。あー、俺、人間だなあ」
「う、うう、ううう………」
あなたは泣いた。あわれに崩れ落ちた。血と涙と吐瀉物のにおいが満ちている。部屋にさす光はまだ夕方だった。
「あなたとおれの、赤ちゃんかあ」
きっとその子は、まつ毛がかわいくカールして、目をパッチリ開いた、快活でやさしい子になるんだろう。同じクラスの子供から羨まれるような、キラキラした青春を送って、満足のいく人生も送ることができるだろう。
(だけど邪魔だな。)
俺とあなたの間には何も要らない。
よく子供のことを愛の結晶だなんていうけど、嘘っぱちだ。俺以外の人間にあなたのきれいな血が混ざる。それが循環してそいつを生かす。そんなこと考えたくもない。
あなたに生を許可されていいのは俺だけなのに。邪魔。邪魔。そんなのがいたなら、そして愛を注がなきゃならないなら、俺はそいつを殺す。
ごみをごみ箱に放り投げるみたいにカンタンにね。
そしてそれは正当な愛の行為として昇華する。
……罪の結晶でしかないんだ。愛は形に残らないからこそのものなんだ。
なんだってぜんぶはかなく消えていくんだよ。
これは俺の個人的な見解。
だから殺すしかないと思った。
あなたは苦しそうに顔をゆがめて、俺の腕と、顔を交互に見た。
信じられないって表情を浮かべて、吐瀉物にまみれた服の下の、腹のまた奥の、その命はきっともう、命とは呼べなくなったね。俺の拳によってぐちゃぐちゃに潰されてしまってあとは、あなたから出て行ってもらうのを待つだけ。
「もう流れちゃったよね。」
「な、ぁ、なんで、」
なんでこうしたかもわからないの?
ほんとにばかだな、でもそのままでいてね。
「あなたちゃんを愛してるからだよ。」とかいって、俺は笑った。
ありきたりで、映画みたいな感動的な告白ではなくなっちゃったけど、幸せだなと思った。ああ、幸福のかたちは消えてほどけるからきれいなんだね。
さようなら、生まれることもかなわなかった俺たちのあかちゃん。
こんにちは、俺たちをいっしょに地獄に誘う愛という感情の呪縛。
ちいさな死は寄生する。こころに。いのちに。彼女のからだに。俺の咎はもう消えない。愛の結晶らしきものは消えてしまっても、あなたはきっとずっと苦しむんだろうなあ。
俺は笑った。
「アハハハ、俺、ほんとに愛してる。あなたちゃんに執着してる。あー、俺、人間だなあ」
「う、うう、ううう………」
あなたは泣いた。あわれに崩れ落ちた。血と涙と吐瀉物のにおいが満ちている。部屋にさす光はまだ夕方だった。
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