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明らかに胡散臭いと言って良いだろう。
今、目の前にいるスーツ姿の男性はずっと笑顔を絶やすことなく、私に繰り返し同じ言葉を言い続けるのであった。
都会やテレビだけの世界だと思っていた、この手の勧誘はされたことがないので、正直何が正解で何が不正解なのか良くは分からないのだけれど。ここまで執念深いと実は詐欺かなんかだろうと疑ってしまうほどだ。
「いやぁ、お姉さんはとても綺麗で魅力的ですので、ぜひうちの専属モデルをやって頂きたいのです。どうか考えて頂けませんか。お姉さんであればすぐに売れると思いますよ。」
「いえ、先程も申し上げましたが芸能界には興味はありませんので、、」
「最初は皆さんそう言われるんです。でもその魅力を引き出さないなんてもったいない!一度体験だけでも良いのでしてみませんか」
さて、本当にどうしたものか。何を言ってもこの人は引き下がることを知らないらしい。
思いきって逃げ出す方法も考えてはみたけれど相手は男性。すぐに追いつかれるのは目に見えているし、周囲に助けを求めたりして、あまり大事にしたくない気持ちもあった。
確かに、さっきこの男性から受け取った(無理矢理渡された)名刺に記されている会社の名前は、あの超有名なモデルも専属しているナミモリーゼ社であったため完全に詐欺だと断定できた訳でもなく。
もし仮に本社だったのなら詐欺呼ばわりしたこっちが名誉毀損でこっちが訴えられるんじゃないのか。と堂々巡りだった。
「お姉さん、貴方は始め、自分に自信がないと言いましたね」
逃げる方法を考えるあまり、最初の方にしていた会話の内容は忘れてしまったが、私はそんなことを言っただろうか。
「誰しも自信がないのは、当たり前のことです。芸能界に入ってから自信をつける方はいっぱいおられるのです、ですから、、、」
とまた男性の熱弁が始まったであろうそのときに、
「全く。帰りが遅いと思ったらこんなところで何をしているのですか黄泉」
救世主が現れたのだった。
ーーーーー
「それで、モデルの勧誘?」
「そうなんです。貴方はこの女性の恋人ですか?いや〜彼女さんお綺麗ですね。ぜひうちにほしいです」
「ええ。なるほど、そういうことでしたか。貴方も人を見るセンスはあるようですね」
「ははは、よく言われます。おっと、ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。こちらをどうぞ」
と男性は骸さんにも名刺を渡してきた。
(ちょっと待って、この展開はどうしたらいいの、、、)
あろうことか、助けに来てくれたと思っていていた彼と男性の2人で話が盛り上がり始めてしまった。
「クフフ、なるほど。ナミモリーゼですか。」
「ええ、我らが誇る大手の企業ですよ。どうですか、彼氏さんも鼻が高いでしょう」
「クフフ、そうですね。ですが勧誘は必要ありませんよ」
さっきまで盛りあがりを見せていた男性であったが、彼が「勧誘は不要」と言い放ってしまったことで雲行きが怪しくなってきたと思ったのか、右眉をピクリと動かしたのだった。
「えっと、どういう意味ですか、、、?」
「彼女はすでに専属契約済みですから。勧誘は必要ないと言ったのです」
と彼の発言に私と男性はポカンとした。
「それに、手間が省けました。貴方だったんですね。噂の勧誘男というのは」
ーーーーつい1週間前
(ムカつく!私の魅力をバカにされたようなものじゃない。あんな下衆な店に連れて行こうかするなんて。)
(騙されるのもどうかしてる)
(ひゃははは、柿ピー本当のこというなびょん。なんれ始末しなかったんら)
(私が抵抗したら逃げられたのよ!逃げ足があんなに速いなんて!今度見かけたらただじゃ済まないんだから。あの勧誘男!)
とM・Mが被害にあったことをその名刺をみた途端、彼は思い出していた。
さっきまで笑顔を絶やさなかった男性は血相を変えて、
「な、詐欺だなんて失礼な、、、どこにそんな証拠があるんです」
とあからさまに態度を変えたのだった。
悪人というのは自分の立場が悪くなると「証拠」を求めるが、その男性も例外ではなく、証拠を求めてきた。だが、その発言こそが「自分は詐欺をしました」と言っているようなものだった。
「前回見た名刺と全く同じものだったので確信しました。貴方が以前、同じ手口を使って声をかけた女性とは知り合いでね。クフフ、そんな偶然があるものですね」
一層、男性の顔が歪んだのだった。
「貴方の仕事に口出すつもりはありませんが、彼女は巻き込まないで下さい。不愉快です」
そういうと右目の六の文字が一に変わったのだった。
ーーーー
彼のおかげで勧誘から逃れられた後、アジトへの帰路を二人で話しながら進んだ。
「ありがとう骸さん。私はずっとあのままなのかと思っちゃった。」
「全く、無視して逃げれば良かったでしょう」
「それも考えたけど、きっと失敗してただろうし。怖かったのかも。そういえば、すでに専属モデルですって言ってましたけど嘘はダメでしょう。」
嘘も方便ということわざはあるが、専属モデルだなんて。恥ずかしくて嘘でもつきたくないくらいだった。
「おや、僕は『専属契約』とは言いましたが『専属モデル』とは言っていませんよ。それに、貴方も嘘をつかれた側なのだからそれくらい良いでしょう。」
おあいこです。そう言って彼は笑ったのだった。
『僕だけの』
専属契約なのだから。
(そういえば、あの男性は、、?)
(さあ、今頃いい夢でもみているのでは?)
(、、、、お気の毒に、、)
今、目の前にいるスーツ姿の男性はずっと笑顔を絶やすことなく、私に繰り返し同じ言葉を言い続けるのであった。
都会やテレビだけの世界だと思っていた、この手の勧誘はされたことがないので、正直何が正解で何が不正解なのか良くは分からないのだけれど。ここまで執念深いと実は詐欺かなんかだろうと疑ってしまうほどだ。
「いやぁ、お姉さんはとても綺麗で魅力的ですので、ぜひうちの専属モデルをやって頂きたいのです。どうか考えて頂けませんか。お姉さんであればすぐに売れると思いますよ。」
「いえ、先程も申し上げましたが芸能界には興味はありませんので、、」
「最初は皆さんそう言われるんです。でもその魅力を引き出さないなんてもったいない!一度体験だけでも良いのでしてみませんか」
さて、本当にどうしたものか。何を言ってもこの人は引き下がることを知らないらしい。
思いきって逃げ出す方法も考えてはみたけれど相手は男性。すぐに追いつかれるのは目に見えているし、周囲に助けを求めたりして、あまり大事にしたくない気持ちもあった。
確かに、さっきこの男性から受け取った(無理矢理渡された)名刺に記されている会社の名前は、あの超有名なモデルも専属しているナミモリーゼ社であったため完全に詐欺だと断定できた訳でもなく。
もし仮に本社だったのなら詐欺呼ばわりしたこっちが名誉毀損でこっちが訴えられるんじゃないのか。と堂々巡りだった。
「お姉さん、貴方は始め、自分に自信がないと言いましたね」
逃げる方法を考えるあまり、最初の方にしていた会話の内容は忘れてしまったが、私はそんなことを言っただろうか。
「誰しも自信がないのは、当たり前のことです。芸能界に入ってから自信をつける方はいっぱいおられるのです、ですから、、、」
とまた男性の熱弁が始まったであろうそのときに、
「全く。帰りが遅いと思ったらこんなところで何をしているのですか黄泉」
救世主が現れたのだった。
ーーーーー
「それで、モデルの勧誘?」
「そうなんです。貴方はこの女性の恋人ですか?いや〜彼女さんお綺麗ですね。ぜひうちにほしいです」
「ええ。なるほど、そういうことでしたか。貴方も人を見るセンスはあるようですね」
「ははは、よく言われます。おっと、ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。こちらをどうぞ」
と男性は骸さんにも名刺を渡してきた。
(ちょっと待って、この展開はどうしたらいいの、、、)
あろうことか、助けに来てくれたと思っていていた彼と男性の2人で話が盛り上がり始めてしまった。
「クフフ、なるほど。ナミモリーゼですか。」
「ええ、我らが誇る大手の企業ですよ。どうですか、彼氏さんも鼻が高いでしょう」
「クフフ、そうですね。ですが勧誘は必要ありませんよ」
さっきまで盛りあがりを見せていた男性であったが、彼が「勧誘は不要」と言い放ってしまったことで雲行きが怪しくなってきたと思ったのか、右眉をピクリと動かしたのだった。
「えっと、どういう意味ですか、、、?」
「彼女はすでに専属契約済みですから。勧誘は必要ないと言ったのです」
と彼の発言に私と男性はポカンとした。
「それに、手間が省けました。貴方だったんですね。噂の勧誘男というのは」
ーーーーつい1週間前
(ムカつく!私の魅力をバカにされたようなものじゃない。あんな下衆な店に連れて行こうかするなんて。)
(騙されるのもどうかしてる)
(ひゃははは、柿ピー本当のこというなびょん。なんれ始末しなかったんら)
(私が抵抗したら逃げられたのよ!逃げ足があんなに速いなんて!今度見かけたらただじゃ済まないんだから。あの勧誘男!)
とM・Mが被害にあったことをその名刺をみた途端、彼は思い出していた。
さっきまで笑顔を絶やさなかった男性は血相を変えて、
「な、詐欺だなんて失礼な、、、どこにそんな証拠があるんです」
とあからさまに態度を変えたのだった。
悪人というのは自分の立場が悪くなると「証拠」を求めるが、その男性も例外ではなく、証拠を求めてきた。だが、その発言こそが「自分は詐欺をしました」と言っているようなものだった。
「前回見た名刺と全く同じものだったので確信しました。貴方が以前、同じ手口を使って声をかけた女性とは知り合いでね。クフフ、そんな偶然があるものですね」
一層、男性の顔が歪んだのだった。
「貴方の仕事に口出すつもりはありませんが、彼女は巻き込まないで下さい。不愉快です」
そういうと右目の六の文字が一に変わったのだった。
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彼のおかげで勧誘から逃れられた後、アジトへの帰路を二人で話しながら進んだ。
「ありがとう骸さん。私はずっとあのままなのかと思っちゃった。」
「全く、無視して逃げれば良かったでしょう」
「それも考えたけど、きっと失敗してただろうし。怖かったのかも。そういえば、すでに専属モデルですって言ってましたけど嘘はダメでしょう。」
嘘も方便ということわざはあるが、専属モデルだなんて。恥ずかしくて嘘でもつきたくないくらいだった。
「おや、僕は『専属契約』とは言いましたが『専属モデル』とは言っていませんよ。それに、貴方も嘘をつかれた側なのだからそれくらい良いでしょう。」
おあいこです。そう言って彼は笑ったのだった。
『僕だけの』
専属契約なのだから。
(そういえば、あの男性は、、?)
(さあ、今頃いい夢でもみているのでは?)
(、、、、お気の毒に、、)