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7月ももう中盤が過ぎようとしていた。
多忙のせいか、ただ単に撤去し忘れか、はたまた名残惜しいのか。「七夕」には興味はないが大きな笹が壁に括られたままだった。
ジャッポーネでいう「七夕」の笹だった。生き生きとしていたはずの緑は、痩せこけ色を失っていた。星々に向けて、手間暇かけて願ったはずの「短冊」とやらもぞんざいに付けられたままであった。
話を戻すが、正確には「初めは名残惜しさはあったが、多忙のため撤去し忘れた」だろうか。
一応、母国にも七夕の様な文化はあったがそもそも日付が違う。
ましてや、笹に短冊をくくりつけるなんて文化はない。
(願いを叶えたいのか、叶えたくないのかよく分かりませんね)
「笹に短冊」というより、「枯れ落ちた草に、括り付けられた紙切れ」の方が似合っているそれを改めて見つめ直した。
もちろん、この中には僕の書いた短冊なんて存在しない。書いて欲しいと言われた様な気もするが、僕が書くわけがない。
はっきり言って、こんなもの全くもって無意味だ。現にこの有様を見れば、書き出した彼らも本気で願いを叶えたいなんて思ってもいないのだろうと、そう1人で納得していた。
もう一度言うが、「七夕」自体には興味はない。
だが、他人の野望は見る価値があると思った。一体、人間はどんな願いを星に託すのか、少し興味が湧いたのだった。
手始めに、1番見やすい位置にあった短冊を眺めた。
そこには赤色の短冊に「10代目の健康第一」と書かれてあった。
そのすぐ横にある黄色の短冊には「極限」の文字があった。
他にも緑、水色、オレンジ、と眺めてはみるがあまり興味を惹かれるような願いは見当たらなかった。
(本当に、相変わらずですね彼らは。)
呆れて嘲笑するばかりだった。見たところで得るものは何もないとそう思ったとき、少し下方に綺麗で見慣れた文字で書かれた短冊があった。
(これは、、、)
名前はなく、僕にあてて書いたものなのかこの場では明確には分からないが
黄泉が僕に向けて書いた短冊であることには間違いなかった。
七夕の前日の話だ。
もう夜も更けて眠りにつく頃、重くなった瞼を必死に開けながら
「骸さんは、七夕に何をお願いするの?私は、これといったのは別にないんだけどね。でも、もしも本当に願いが叶えられるとしたら、、好きな人のことを書くかもしれないね」
と黄泉は僕の腕の中で言っていた。
彼女が眠りについてしまったために質問には答えられなかったが、僕の答えはそもそも「願わない」だ。
黄泉が書いた短冊を千切りとった。
星になんか願わず、僕の願いは僕自身が叶える。また、彼女の願いも僕にしか叶えられないのならそうするまで。
「ずっと好きな人と一緒にいられますように」
貴方が望むなら。いつまでも
多忙のせいか、ただ単に撤去し忘れか、はたまた名残惜しいのか。「七夕」には興味はないが大きな笹が壁に括られたままだった。
ジャッポーネでいう「七夕」の笹だった。生き生きとしていたはずの緑は、痩せこけ色を失っていた。星々に向けて、手間暇かけて願ったはずの「短冊」とやらもぞんざいに付けられたままであった。
話を戻すが、正確には「初めは名残惜しさはあったが、多忙のため撤去し忘れた」だろうか。
一応、母国にも七夕の様な文化はあったがそもそも日付が違う。
ましてや、笹に短冊をくくりつけるなんて文化はない。
(願いを叶えたいのか、叶えたくないのかよく分かりませんね)
「笹に短冊」というより、「枯れ落ちた草に、括り付けられた紙切れ」の方が似合っているそれを改めて見つめ直した。
もちろん、この中には僕の書いた短冊なんて存在しない。書いて欲しいと言われた様な気もするが、僕が書くわけがない。
はっきり言って、こんなもの全くもって無意味だ。現にこの有様を見れば、書き出した彼らも本気で願いを叶えたいなんて思ってもいないのだろうと、そう1人で納得していた。
もう一度言うが、「七夕」自体には興味はない。
だが、他人の野望は見る価値があると思った。一体、人間はどんな願いを星に託すのか、少し興味が湧いたのだった。
手始めに、1番見やすい位置にあった短冊を眺めた。
そこには赤色の短冊に「10代目の健康第一」と書かれてあった。
そのすぐ横にある黄色の短冊には「極限」の文字があった。
他にも緑、水色、オレンジ、と眺めてはみるがあまり興味を惹かれるような願いは見当たらなかった。
(本当に、相変わらずですね彼らは。)
呆れて嘲笑するばかりだった。見たところで得るものは何もないとそう思ったとき、少し下方に綺麗で見慣れた文字で書かれた短冊があった。
(これは、、、)
名前はなく、僕にあてて書いたものなのかこの場では明確には分からないが
黄泉が僕に向けて書いた短冊であることには間違いなかった。
七夕の前日の話だ。
もう夜も更けて眠りにつく頃、重くなった瞼を必死に開けながら
「骸さんは、七夕に何をお願いするの?私は、これといったのは別にないんだけどね。でも、もしも本当に願いが叶えられるとしたら、、好きな人のことを書くかもしれないね」
と黄泉は僕の腕の中で言っていた。
彼女が眠りについてしまったために質問には答えられなかったが、僕の答えはそもそも「願わない」だ。
黄泉が書いた短冊を千切りとった。
星になんか願わず、僕の願いは僕自身が叶える。また、彼女の願いも僕にしか叶えられないのならそうするまで。
「ずっと好きな人と一緒にいられますように」
貴方が望むなら。いつまでも