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(やはり雨か、、、)
室内にいた時から微かに聞こえていた、叩打音。予感はしていたがやはり雨だったか。
外に出ると、想像していたよりも凄まじくバケツをひっくり返した様に雨は降り続けていた。
生憎、僕の手元に傘はない。
そもそも、呑気に傘をさしてくるような場所ではなかったが、まさか降水確率50%の1/2の嫌な方の確率に当たってしまうとは。
運が良いのか悪いのやら。
この大雨に打たれながら帰れば、僕の身体に残っている血生臭も綺麗さっぱり洗い流させるだろうか。
いやしかし、雨の臭いも僕的には好ましくない。というか、ずぶ濡れのまま建物に入るのも好きではない。
やれやれ。
タイミングを見計らって帰る他ないだろう。
内心そうは思うが、空を見る限り雨は止みそうになかった。
(、、早く帰りたい)
こんな所に独りで立ち往生するのも億劫だった。
なんせここはマフィアのアジトだ。今すぐにでもここから離れてしまいたい。マフィアと同じ空気なんか吸いたくもない。そう思った。
どうせなら黄泉がいれば良いのに。黄泉がいたらこの退屈で億劫で、不快な時間もそうではなくなるのに。
、、そういえば、黄泉も今日は出かけると言っていたがどこに行ったんだろうか。行き先を聞いておけば良かったか。
そしたら、僕もそっちに行けたかもしれないのに。
いや、彼女も独りでどこかに行きたくなる時くらいあるだろうし、干渉的になるのは良くない。そもそも僕らしくないか。
あ。そういえば僕の一推し店舗のチョコケーキの新作が出るとかなんとか広告で見た気がするが、発売日が確か今日からだったような。
帰りにケーキも買って帰ろうか。
いや待て。一回この身体を洗い流してから買いに行きたい。しかし、風呂に入った後にまたこの雨の中を歩くのも気が乗らない。
おっと。チョコケーキで思い出した。冷蔵庫の中のチョコレートを切らしていた。また調達しなければ。ああ、でもやっぱり一回帰ってから、、、いや、やめだ。
(全くもって止みませんね。)
さっきとなんら変わってない雨量や堂々巡りのような自問自答にも嫌気がさすばかりだった。
何ならこの背後にあるアジトに戻って傘の1、2本くらい探そうかも考えたがそれもやめた。
もういろいろとめんどくさくなったというのが1番腑に落ちるだろう。
(行きますかね、、)
意を決して、雨の中に飛び出そうとした時、よく見ると目の前から傘をさした女性がこちらに歩いて来るのが見えた。
ずっと独りで考え事をしていたせいで気が付かなかったが、僕が呆けている間に随分と近くまで近づいてきていたらしい。
(おや?あれは、、)
傘をさした女性は迷うことなくこちらに向かってきているが、確実にこのアジトに用がある人間ではない事が分かった。
その姿が誰であるか確信した時には、少々驚きはしたが自然と自分の顔が綻んだのが分かった。
「間に合って良かった。私も近くで任務だったからこっちに寄ってみたの。」
自分の傘を差し出す女性は笑っていた。
やれやれ。運が良いのか悪いのやら。
ーーーーーーーーーー
「禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し」とは、幸せと不幸が交互に来ること
室内にいた時から微かに聞こえていた、叩打音。予感はしていたがやはり雨だったか。
外に出ると、想像していたよりも凄まじくバケツをひっくり返した様に雨は降り続けていた。
生憎、僕の手元に傘はない。
そもそも、呑気に傘をさしてくるような場所ではなかったが、まさか降水確率50%の1/2の嫌な方の確率に当たってしまうとは。
運が良いのか悪いのやら。
この大雨に打たれながら帰れば、僕の身体に残っている血生臭も綺麗さっぱり洗い流させるだろうか。
いやしかし、雨の臭いも僕的には好ましくない。というか、ずぶ濡れのまま建物に入るのも好きではない。
やれやれ。
タイミングを見計らって帰る他ないだろう。
内心そうは思うが、空を見る限り雨は止みそうになかった。
(、、早く帰りたい)
こんな所に独りで立ち往生するのも億劫だった。
なんせここはマフィアのアジトだ。今すぐにでもここから離れてしまいたい。マフィアと同じ空気なんか吸いたくもない。そう思った。
どうせなら黄泉がいれば良いのに。黄泉がいたらこの退屈で億劫で、不快な時間もそうではなくなるのに。
、、そういえば、黄泉も今日は出かけると言っていたがどこに行ったんだろうか。行き先を聞いておけば良かったか。
そしたら、僕もそっちに行けたかもしれないのに。
いや、彼女も独りでどこかに行きたくなる時くらいあるだろうし、干渉的になるのは良くない。そもそも僕らしくないか。
あ。そういえば僕の一推し店舗のチョコケーキの新作が出るとかなんとか広告で見た気がするが、発売日が確か今日からだったような。
帰りにケーキも買って帰ろうか。
いや待て。一回この身体を洗い流してから買いに行きたい。しかし、風呂に入った後にまたこの雨の中を歩くのも気が乗らない。
おっと。チョコケーキで思い出した。冷蔵庫の中のチョコレートを切らしていた。また調達しなければ。ああ、でもやっぱり一回帰ってから、、、いや、やめだ。
(全くもって止みませんね。)
さっきとなんら変わってない雨量や堂々巡りのような自問自答にも嫌気がさすばかりだった。
何ならこの背後にあるアジトに戻って傘の1、2本くらい探そうかも考えたがそれもやめた。
もういろいろとめんどくさくなったというのが1番腑に落ちるだろう。
(行きますかね、、)
意を決して、雨の中に飛び出そうとした時、よく見ると目の前から傘をさした女性がこちらに歩いて来るのが見えた。
ずっと独りで考え事をしていたせいで気が付かなかったが、僕が呆けている間に随分と近くまで近づいてきていたらしい。
(おや?あれは、、)
傘をさした女性は迷うことなくこちらに向かってきているが、確実にこのアジトに用がある人間ではない事が分かった。
その姿が誰であるか確信した時には、少々驚きはしたが自然と自分の顔が綻んだのが分かった。
「間に合って良かった。私も近くで任務だったからこっちに寄ってみたの。」
自分の傘を差し出す女性は笑っていた。
やれやれ。運が良いのか悪いのやら。
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「禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し」とは、幸せと不幸が交互に来ること