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夏休み期間も終わり、学生たちはぞろぞろとまた学校に通い始めたが、1ヶ月以上通学していなかった分登校を億劫に感じる学生もそう少なくはないだろう。
生憎、この学校では放濫な生徒が大多数である故、そもそも夏休みが始まろうが終わろうが関係ない生徒もいた。
そして、新学期になって早々のことだった。転校生がやってきたのだった。
転校してきた生徒の性別は女。名前は黄泉
彼女は俗に言う『容姿端麗』らしい。肌は雪のように白く、色素の薄い綺麗な長髪。それと対照的に、瞳は紅玉のように赤々しく美しいそうだ。
壁には落書き、廊下にはゴミが散乱しているこの劣悪な環境の中に、ポツンと『容姿端麗の女』が転校してきたことで彼女はすぐに注目されることとなった。
他学年・他クラスからその転校生を見物するため、1限目、2限目、3限目と終わる度、休み時間になると廊下にはずらりと生徒が集まってきていたのだった。正確には、不良の男子生徒が多数であるが。彼女が動くたびにまとわりつく輩もいた。
そして4限目も終わり、昼休憩の時間。黄泉が廊下を歩いているところに不良達が集まってきていた。
「お!噂の転校生じゃ〜ん。可愛いね。」
「俺ちょー好みだわ」
「なぁ学校抜け出して遊ぼうぜ」
「ねえねえ黄泉ちゃん遊ぼうよ〜」
「いい店知ってるから行こうぜ〜」
数人の不良が群がり彼女の行手を阻んだが、それを気にも止めず、彼女は言った。
『すみませんが、人を探しているの。藍色の髪の人。ここで1番強い人です』
そうは言ったものの、彼らは直ぐに引き下がろうとはしなかった。
むしろ、「決闘でも申し込む気か?」とか「関わらない方がいい」とかそんな言葉を私に投げかけてきたのだった。
私としては、百歩譲って彼らと関わらない方がいい様な気がしたが。それは黙っておこう。
しかし、私を取り囲む不良達は引くどころかどんどんエスカレートして行った。
「ノリ悪いぜ〜、俺らと一緒に遊ぼう、楽しいぜ」「そうそう俺らと連んでれば良いことできるぜ」
『あの、本当に、、困ります』
引く気配は一切なく、いっそのこと奇声をあげて走ればおかしい奴だと関わることもしなくなるだろうと考えていたところで、助け舟が現れた。
「楽しそうですね。僕も混ぜて下さい」
声のした方を見るとそこには私の探していた“藍色の髪”の男が立っていた。
さっきまで私に迫っていた不良達は彼の姿を見るや否や、一気に青ざめていた。
「クフフ、僕を探していると聞きましたが君は?」
『、、、、。あ、あの。黄泉です』
「、、、黄泉、、ですか。どこかでお会いしましたか」
『えっと。小さい時に話した。かな』
「そうですか」
思わず視線を彷徨わせると、さっきまで私を取り囲んでいた不良達はいつのまにかひとっこひとり居なくなっていた。
余程、彼は恐れられている存在らしい。
私も上手くは言えないが、小さい頃から不思議な人だとは思っていた。それに、初めて会った時も彼は、他人に憑依して私に話しかけてくるという常人離れしたことをしてきた。
恐れられる理由として、それも関係しているのかもしれないと内心思った。
でも、私にとってはそのおかげで、彼と出会い彼を知ることができたのだから怖くはないのだけれど。
まあそんなことは置いといて。この状況は十分に予想はしていた。私のことなんか覚えているはずもないか。小さい頃から、独りが怖くて人にすがるしか出来ない哀れな人間なのだから。
『すみません、覚えているわけがないですね』
「えぇ。忘れるわけがありませんよ」
『そうですよね、、、、、え?』
つい、肯定的な反応をしてしまったが、よくよく考えれば彼の返事自体、話の流れと噛み合っていなかった。
だが、確かに彼は「忘れるわけがない」と言ったのだった。
「クフフ、少し驚きましたが。また君に会えるとはね。相変わらず独りでいるのですね』
一言余計ではあるが、驚きのあまり返事をすることも忘れていた。思考が停止し、完全に固まってしまったが辛うじて、目だけをぱちぱちと動かしていた私の左頬へ手を添わせると言葉を続けた。
「おや、信じられませんか。昔は髪が短かったでしょう。まあ、物静かそうなところは変わってなさそうですが。」
そう言いながら優しい目で私を見つめていた。
ーーーー
『はぁ、、、はぁ、、はぁ』
呼吸を整えるのに必死であったが、なかなか整う気は当分なさそうであった。
正直自分でもよく分からなかった。
彼に触れられた左頬が熱湯を浴びて火傷をしたかの様に熱くて熱くてたまらなかった。
さっきまで彼と対面していたが、恥ずかしさのあまり走って逃げてきてしまった。彼がが見えなくなるところまで走ってきたせいで心臓が張り裂けそうなくらいに苦しかった。
何回呼吸を整えても、動悸はなかなか落ち着いてくれなくて。
走ったせいか、君に会ったせいかなんてすぐに分かることだけど
まだ、気づかないふりをしておこう。
チョコレートが好きになった理由-再会-
生憎、この学校では放濫な生徒が大多数である故、そもそも夏休みが始まろうが終わろうが関係ない生徒もいた。
そして、新学期になって早々のことだった。転校生がやってきたのだった。
転校してきた生徒の性別は女。名前は黄泉
彼女は俗に言う『容姿端麗』らしい。肌は雪のように白く、色素の薄い綺麗な長髪。それと対照的に、瞳は紅玉のように赤々しく美しいそうだ。
壁には落書き、廊下にはゴミが散乱しているこの劣悪な環境の中に、ポツンと『容姿端麗の女』が転校してきたことで彼女はすぐに注目されることとなった。
他学年・他クラスからその転校生を見物するため、1限目、2限目、3限目と終わる度、休み時間になると廊下にはずらりと生徒が集まってきていたのだった。正確には、不良の男子生徒が多数であるが。彼女が動くたびにまとわりつく輩もいた。
そして4限目も終わり、昼休憩の時間。黄泉が廊下を歩いているところに不良達が集まってきていた。
「お!噂の転校生じゃ〜ん。可愛いね。」
「俺ちょー好みだわ」
「なぁ学校抜け出して遊ぼうぜ」
「ねえねえ黄泉ちゃん遊ぼうよ〜」
「いい店知ってるから行こうぜ〜」
数人の不良が群がり彼女の行手を阻んだが、それを気にも止めず、彼女は言った。
『すみませんが、人を探しているの。藍色の髪の人。ここで1番強い人です』
そうは言ったものの、彼らは直ぐに引き下がろうとはしなかった。
むしろ、「決闘でも申し込む気か?」とか「関わらない方がいい」とかそんな言葉を私に投げかけてきたのだった。
私としては、百歩譲って彼らと関わらない方がいい様な気がしたが。それは黙っておこう。
しかし、私を取り囲む不良達は引くどころかどんどんエスカレートして行った。
「ノリ悪いぜ〜、俺らと一緒に遊ぼう、楽しいぜ」「そうそう俺らと連んでれば良いことできるぜ」
『あの、本当に、、困ります』
引く気配は一切なく、いっそのこと奇声をあげて走ればおかしい奴だと関わることもしなくなるだろうと考えていたところで、助け舟が現れた。
「楽しそうですね。僕も混ぜて下さい」
声のした方を見るとそこには私の探していた“藍色の髪”の男が立っていた。
さっきまで私に迫っていた不良達は彼の姿を見るや否や、一気に青ざめていた。
「クフフ、僕を探していると聞きましたが君は?」
『、、、、。あ、あの。黄泉です』
「、、、黄泉、、ですか。どこかでお会いしましたか」
『えっと。小さい時に話した。かな』
「そうですか」
思わず視線を彷徨わせると、さっきまで私を取り囲んでいた不良達はいつのまにかひとっこひとり居なくなっていた。
余程、彼は恐れられている存在らしい。
私も上手くは言えないが、小さい頃から不思議な人だとは思っていた。それに、初めて会った時も彼は、他人に憑依して私に話しかけてくるという常人離れしたことをしてきた。
恐れられる理由として、それも関係しているのかもしれないと内心思った。
でも、私にとってはそのおかげで、彼と出会い彼を知ることができたのだから怖くはないのだけれど。
まあそんなことは置いといて。この状況は十分に予想はしていた。私のことなんか覚えているはずもないか。小さい頃から、独りが怖くて人にすがるしか出来ない哀れな人間なのだから。
『すみません、覚えているわけがないですね』
「えぇ。忘れるわけがありませんよ」
『そうですよね、、、、、え?』
つい、肯定的な反応をしてしまったが、よくよく考えれば彼の返事自体、話の流れと噛み合っていなかった。
だが、確かに彼は「忘れるわけがない」と言ったのだった。
「クフフ、少し驚きましたが。また君に会えるとはね。相変わらず独りでいるのですね』
一言余計ではあるが、驚きのあまり返事をすることも忘れていた。思考が停止し、完全に固まってしまったが辛うじて、目だけをぱちぱちと動かしていた私の左頬へ手を添わせると言葉を続けた。
「おや、信じられませんか。昔は髪が短かったでしょう。まあ、物静かそうなところは変わってなさそうですが。」
そう言いながら優しい目で私を見つめていた。
ーーーー
『はぁ、、、はぁ、、はぁ』
呼吸を整えるのに必死であったが、なかなか整う気は当分なさそうであった。
正直自分でもよく分からなかった。
彼に触れられた左頬が熱湯を浴びて火傷をしたかの様に熱くて熱くてたまらなかった。
さっきまで彼と対面していたが、恥ずかしさのあまり走って逃げてきてしまった。彼がが見えなくなるところまで走ってきたせいで心臓が張り裂けそうなくらいに苦しかった。
何回呼吸を整えても、動悸はなかなか落ち着いてくれなくて。
走ったせいか、君に会ったせいかなんてすぐに分かることだけど
まだ、気づかないふりをしておこう。
チョコレートが好きになった理由-再会-