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①お腹すいた
「…してほしいこと」と呟いた時、一緒にお腹から「きゅるるるる…」と何か小動物のような音が聞こえた。
「もしかして、お腹、すかれていますか?」
「は、はずかしい……」
「食欲があるのは良いことです。俺が何か作っても?」
「え、作ってくれるんですか?」
巽さんは「もちろん」とキッチンへ立ってくれた。「できるまで寝ていてください」と言われ大人しくベッドへ横になる。巽さんが作る料理は美味しくて好きだ。何を作ってくれるだろう、と考えはっと思い出す。
「巽さんごめんなさい、冷蔵庫何もないと思う」
慌ててベッドから降り廊下に面したキッチンに向かうと、巽さんは既に冷蔵庫を覗いていた。具合が悪くなる前に買い置きするのもサボったため、中身が可哀想なことになっている冷蔵庫を見られてしまった。
「おやタヌキさん、寝ていてくださいと言ったのに」
パタンと冷蔵庫を閉めた巽さんの手には卵。良かった、かろうじて卵はいたようだ。
「れ、冷蔵庫が心配で……」
「ふふ卵があればどうにでもなりますよ。完全栄養食品とも言われていますからね」
中身の無い冷蔵庫を見られ恥ずかしがる私のことなんて気にせず巽さんは料理の準備を始める。どこに何があるかはもう大体把握されていて、手際よくお米を量ってザカザカ洗っていく。水の音と、洗われるお米の音がなんだか耳に心地よくて、いつもは寂しく一人で立ってるキッチンに巽さんがいるのも嬉しくて、寝間着のままだというのも忘れて廊下の隅っこで三角座りをする。じっと料理をしている巽さんを眺めていると、ふいに振り返った巽さんと目が合った。
「えっタヌキさん、もしやずっとそこにいたんですか」
「うん、巽さん見てた」
「そんな薄着で……また熱がぶり返したらどうするんですか」
「……だって一人で寝るのもう飽きたんだもん」
駄々っ子のように拗ねる私に巽さんは「しかたないですね」と困ったように笑う。このままここで見てても良いのかなと思ったら、手を洗った巽さんが私のすぐ傍に屈む。
「俺としても傍にはいたいのですが、タヌキさんの体調が悪化する方が困るので……」
「わぁっ」
背中と膝裏に手を回されたと思ったらそのまま浮遊感が漂った。
「ベッドに戻りましょうか」
「歩ける、自分で歩くっ」
お姫様抱っこも寝間着なのも恥ずかしいし、汗掻いてないかな、髪ボサボサじゃないかななんて今になって心配になってきた。私の抗議なんて物ともせず巽さんは軽やかに歩いて私をベッドまで運ぶ。
「大人しく寝ていて下さいね」
きっちり布団を掛け軽くぽんぽんとされる。
「もう大丈夫なのに」
「念のため、ですよ。ご飯ができたら持ってきますので、それまで大人しくしていて下さい。いいですか?」
口調は優しいが有無を言わさぬ言葉だった。諦めて私は投げやりな返事をする。
「作り終えたら、ちゃんと傍にいますから」
「……うん」
「それでは、もう少しだけ待っていて下さいね」
頭を撫でる巽さんの手は、洗ったばかりだからか冷たくて気持ちが良かった。起きてもまだ巽さんがいるのか、と思うと寝るのも悪くないと思った。
「…してほしいこと」と呟いた時、一緒にお腹から「きゅるるるる…」と何か小動物のような音が聞こえた。
「もしかして、お腹、すかれていますか?」
「は、はずかしい……」
「食欲があるのは良いことです。俺が何か作っても?」
「え、作ってくれるんですか?」
巽さんは「もちろん」とキッチンへ立ってくれた。「できるまで寝ていてください」と言われ大人しくベッドへ横になる。巽さんが作る料理は美味しくて好きだ。何を作ってくれるだろう、と考えはっと思い出す。
「巽さんごめんなさい、冷蔵庫何もないと思う」
慌ててベッドから降り廊下に面したキッチンに向かうと、巽さんは既に冷蔵庫を覗いていた。具合が悪くなる前に買い置きするのもサボったため、中身が可哀想なことになっている冷蔵庫を見られてしまった。
「おやタヌキさん、寝ていてくださいと言ったのに」
パタンと冷蔵庫を閉めた巽さんの手には卵。良かった、かろうじて卵はいたようだ。
「れ、冷蔵庫が心配で……」
「ふふ卵があればどうにでもなりますよ。完全栄養食品とも言われていますからね」
中身の無い冷蔵庫を見られ恥ずかしがる私のことなんて気にせず巽さんは料理の準備を始める。どこに何があるかはもう大体把握されていて、手際よくお米を量ってザカザカ洗っていく。水の音と、洗われるお米の音がなんだか耳に心地よくて、いつもは寂しく一人で立ってるキッチンに巽さんがいるのも嬉しくて、寝間着のままだというのも忘れて廊下の隅っこで三角座りをする。じっと料理をしている巽さんを眺めていると、ふいに振り返った巽さんと目が合った。
「えっタヌキさん、もしやずっとそこにいたんですか」
「うん、巽さん見てた」
「そんな薄着で……また熱がぶり返したらどうするんですか」
「……だって一人で寝るのもう飽きたんだもん」
駄々っ子のように拗ねる私に巽さんは「しかたないですね」と困ったように笑う。このままここで見てても良いのかなと思ったら、手を洗った巽さんが私のすぐ傍に屈む。
「俺としても傍にはいたいのですが、タヌキさんの体調が悪化する方が困るので……」
「わぁっ」
背中と膝裏に手を回されたと思ったらそのまま浮遊感が漂った。
「ベッドに戻りましょうか」
「歩ける、自分で歩くっ」
お姫様抱っこも寝間着なのも恥ずかしいし、汗掻いてないかな、髪ボサボサじゃないかななんて今になって心配になってきた。私の抗議なんて物ともせず巽さんは軽やかに歩いて私をベッドまで運ぶ。
「大人しく寝ていて下さいね」
きっちり布団を掛け軽くぽんぽんとされる。
「もう大丈夫なのに」
「念のため、ですよ。ご飯ができたら持ってきますので、それまで大人しくしていて下さい。いいですか?」
口調は優しいが有無を言わさぬ言葉だった。諦めて私は投げやりな返事をする。
「作り終えたら、ちゃんと傍にいますから」
「……うん」
「それでは、もう少しだけ待っていて下さいね」
頭を撫でる巽さんの手は、洗ったばかりだからか冷たくて気持ちが良かった。起きてもまだ巽さんがいるのか、と思うと寝るのも悪くないと思った。