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健康優良児で遺伝子相性も抜群だったため天祥院家の婚約者(仮)になりました
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「僕は君と結婚する気は無いよ」
婚約者になって数分後、早くも婚約の危機に陥った。王子さまの見目麗しすぎる顔と声で「君が欲しい」と言われ反射で「婚約する」と言ったことを後悔している私とは裏腹に、王子さま………天祥院さまは肩の荷が降りたようにすっきりした顔で突きつける。
「えっと……それが婚約ではなく契約という話ですか?」
上手く飲み込めなくて聞き返せば当然とでも言うように頷かれた。婚約と契約。その意味を知りたくて聞いたら返ってきたのはさっきの言葉。それでもやっぱりよく分からない。
「タヌキちゃん」
「あっはい!」
首を捻っていると、ふいに名前を呼ばれ英智さまの雰囲気が変わり空気がピリつく。すごく真面目な話をされると思い、自然と背筋が伸びた。
「君は僕の、天祥院家の婚約者になった。きっかけがどうあれ余程のことがない限りこれは覆らない。なぜなら僕たち、天祥院家にとって健康な後継ぎというのはとても大切なことだからね。君は将来、僕との子どもを生む。いつかは決まっていないが、体調や仕事のペースなんかを見て考えると思う」
そこまでは良いかい?と聞かれ黙って首を縦に振る。婚約……実感も湧かなければ現実味も無いが、そういうことならいつか子どもも生むんだろう。軽く見積もって10年は先だからその間に(なんなら今すぐにでも)ドッキリでしたーと言われる可能性も私はまだ捨てていない。
「だけど僕、というか天祥院家は君を嫁には迎えない。つまり、結婚はしないということだ。君がしたいと言うなら考えるけど、市井生まれの君が天祥院家に入っても苦労するだけだろうし、お勧めはしないな。もちろん、本当にその気があるなら今からでもそういった教育を施すけど……」
どうする?と聞かれ今度は元気に首を横に振った。王子さまは私がそうすると分かっていたようで静かに笑みを称えている。私だって天祥院家の嫁になるなんて夢は見ていないし、今から嫁教育を受けた所で付け焼き刃にしかならないだろうことは理解できる。……ん?でも子どもは生んでほしいんだよね?
「婚約者、つまり結婚相手では無いけれど君には僕の子どもを生んでほしい。そのために君の行動を限定する契約をしたい。まず大前提として、君は僕との子どもを生むまで他の男性との性交は禁止。もちろん、キスや口淫なんかもだめだよ。粘膜接触で何かあったら困るからね。それに君は虫歯になったことも無いんだろう?キスしてうっかり菌でももらったら勿体ないからね。万が一があったら困るから本当は高校も僕の目が届く所か女子校に転校してほしいぐらいだけど、そこは追々考えよう。そして輸血を必要とするような怪我には注意すること。せっかく君のきれいな体が他の人の血液で汚れてしまうかもしれないからね」
さわやかな顔でよく分からない事を聞かされる。理解が追いつかないとはこのことだ。結婚はしない、でも子どもは生んでほしい。そんなことってある?パンクしそうな頭で王子さまを見れば「分からなかったことはないかな?」と柔らかく首を傾げている。なるほど、冗談ではない、と。
「結婚はしない、でも子どもは生んでほしい。だから婚約じゃなく契約……」
ポツリと呟けば「分かってくれて嬉しいよ」と王子さまは絵画のごとく微笑む。体中から力が抜けて行くのを感じる。だめだ頭も回らなくなってきた。何?何を言われたんだ私は。そんなの子どもを生むための機械じゃないか。いくら王子さまでもそんな道理が通ると思わないでほしい。
「それにしても、僕の婚約者が可愛くて物わかりの良い子で良かったよ。これからよろしくね、タヌキちゃん」
にっこり、という形容詞がこれほど似合う笑顔を私は見たことがない。眩しい。美しい。ずっと浴びていたい。しょうがない、王子さまが言うなら仕方ない。その役引き受けましょう。
婚約者になって数分後、早くも婚約の危機に陥った。王子さまの見目麗しすぎる顔と声で「君が欲しい」と言われ反射で「婚約する」と言ったことを後悔している私とは裏腹に、王子さま………天祥院さまは肩の荷が降りたようにすっきりした顔で突きつける。
「えっと……それが婚約ではなく契約という話ですか?」
上手く飲み込めなくて聞き返せば当然とでも言うように頷かれた。婚約と契約。その意味を知りたくて聞いたら返ってきたのはさっきの言葉。それでもやっぱりよく分からない。
「タヌキちゃん」
「あっはい!」
首を捻っていると、ふいに名前を呼ばれ英智さまの雰囲気が変わり空気がピリつく。すごく真面目な話をされると思い、自然と背筋が伸びた。
「君は僕の、天祥院家の婚約者になった。きっかけがどうあれ余程のことがない限りこれは覆らない。なぜなら僕たち、天祥院家にとって健康な後継ぎというのはとても大切なことだからね。君は将来、僕との子どもを生む。いつかは決まっていないが、体調や仕事のペースなんかを見て考えると思う」
そこまでは良いかい?と聞かれ黙って首を縦に振る。婚約……実感も湧かなければ現実味も無いが、そういうことならいつか子どもも生むんだろう。軽く見積もって10年は先だからその間に(なんなら今すぐにでも)ドッキリでしたーと言われる可能性も私はまだ捨てていない。
「だけど僕、というか天祥院家は君を嫁には迎えない。つまり、結婚はしないということだ。君がしたいと言うなら考えるけど、市井生まれの君が天祥院家に入っても苦労するだけだろうし、お勧めはしないな。もちろん、本当にその気があるなら今からでもそういった教育を施すけど……」
どうする?と聞かれ今度は元気に首を横に振った。王子さまは私がそうすると分かっていたようで静かに笑みを称えている。私だって天祥院家の嫁になるなんて夢は見ていないし、今から嫁教育を受けた所で付け焼き刃にしかならないだろうことは理解できる。……ん?でも子どもは生んでほしいんだよね?
「婚約者、つまり結婚相手では無いけれど君には僕の子どもを生んでほしい。そのために君の行動を限定する契約をしたい。まず大前提として、君は僕との子どもを生むまで他の男性との性交は禁止。もちろん、キスや口淫なんかもだめだよ。粘膜接触で何かあったら困るからね。それに君は虫歯になったことも無いんだろう?キスしてうっかり菌でももらったら勿体ないからね。万が一があったら困るから本当は高校も僕の目が届く所か女子校に転校してほしいぐらいだけど、そこは追々考えよう。そして輸血を必要とするような怪我には注意すること。せっかく君のきれいな体が他の人の血液で汚れてしまうかもしれないからね」
さわやかな顔でよく分からない事を聞かされる。理解が追いつかないとはこのことだ。結婚はしない、でも子どもは生んでほしい。そんなことってある?パンクしそうな頭で王子さまを見れば「分からなかったことはないかな?」と柔らかく首を傾げている。なるほど、冗談ではない、と。
「結婚はしない、でも子どもは生んでほしい。だから婚約じゃなく契約……」
ポツリと呟けば「分かってくれて嬉しいよ」と王子さまは絵画のごとく微笑む。体中から力が抜けて行くのを感じる。だめだ頭も回らなくなってきた。何?何を言われたんだ私は。そんなの子どもを生むための機械じゃないか。いくら王子さまでもそんな道理が通ると思わないでほしい。
「それにしても、僕の婚約者が可愛くて物わかりの良い子で良かったよ。これからよろしくね、タヌキちゃん」
にっこり、という形容詞がこれほど似合う笑顔を私は見たことがない。眩しい。美しい。ずっと浴びていたい。しょうがない、王子さまが言うなら仕方ない。その役引き受けましょう。