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短編
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薄暗い部屋に、ピロン♪と電子音が響いた。メッセージが届いた音だ。手を伸ばすのも億劫だったが、きっと送ってきてくれたのはあの人だろうと思い、ごそごそとベッドから手だけ出しスマホを探す。布団の中でつけると、パッとついた画面が目に眩しく、慌てて布団から頭を出し画面を暗くした。メッセージ画面を開くと、思っていた通りの人からで自然と顔が綻び、体のダルさを一瞬忘れられた。画面には短く【体調はどうですか?】とあった。【昨日よりはマシです。ごめんなさい】といつもの倍は時間をかけ返信をする。すぐに既読がついたが返事は送られてこない。体調が聞きたかっただけかな、と再び布団の中へスマホと共に頭まで潜り込む。うとうとと微睡む中でもう一度ピロン♪と電子音が聞こえた気がした。
【今から伺ってもよろしいでしょうか】
夢かな、夢だな、来てくれたら嬉しいな、と考えている内に夢か現か分からなくなっていった。
どれぐらい時間が経っただろうか。ふっと誰かの気配がして目が覚める。
「おや、起こしてしまいましたかな」
「…ん、たつみ、さん?」
ベッドを背もたれに、巽さんが本を読んでいた。いつの間に来たんだろう。来る連絡あったかなぁとまだ目覚めきっていない頭で考える。そんな私を察したのか、巽さんの方から説明をしてくれた。
「メッセージを読んだと既読がついたのに返事が無くて……もしや気分が悪くなり返事ができなくなったのでは、と思い来てしまいました。ふふ、合い鍵を使うのは気恥ずかしいですが、こういう時は便利ですな」
「メッセージ……」
眠る前のあの音は気のせいじゃなかったのか。スマホを確認すればメッセージ画面がすぐに表れその画面のまま寝てしまったことを教えてくれた。
「返事、しなくてすみません……」
「いえいえ、俺の方こそ具合が悪いのに来てしまってすみません」
「大分、昨日よりマシで……あの、来てくれて嬉しいです」
「おや、それは嬉しい言葉ですな」
本来なら今日は久しぶりのデートだったのに、私が体調を崩してしまったせいで無くなってしまった。忙しい巽さんにはゆっくり休んでほしいと伝えたはずだが結局こうして手を煩わせてしまっている。顔が見れたことは嬉しいのに自分が情けなくてじんわりと涙が浮かんでしまった。
「あぁまだ体調が万全ではないようですな。俺にして欲しいことがあればなんでも言って下さいね」
巽さんは私の頭を優しく撫でながら言ってくれた。
「…してほしいこと……」
①お腹すいた
②着替えたい
③傍にいて
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