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短編
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きっかけは些細な会話だった。
現場が同じになることが増え、必然的に会話も増えた。
どんな会話の流れだったかなんてもう思い出せないが彼女が笑いながら言った
「巽さんも、普通の男の子なんですね」
その言葉が巽を捕らえて離さなかった。
聖職者でも革命児でもない、風早巽を見てくれたのだと嬉しくなった。
「あぁ……えぇそう、俺も、普通の男の子なんです」
それから付き合いに至るまで長い時間はかからなかった。
「あ、あの巽さん……」
「はい、どうしましたか?」
どうしましたもなにも、と彼女の口が動いたような気がしたが気付かないふりをした。
彼女が次の言葉を考えているのをいいことに、巽は行動を再開する。
「ひゃっ」
後ろから抱きすくめ、彼女の白い首筋に唇を這わせば驚きの声を上げた。
強ばる体も、抗議を訴えてくる目も、自分の腕を力なく掴む手も、
全てが自分を煽っているようにしか思えないのは、勝手な考えだろうか。
「だ、だからっ、巽さん!」
彼女が訴えたいことも分からないわけではない。
シャワーを浴びた後、一緒に映画を見ようと約束をしていたのに
始まって数分後には抱きしめられ、
映画そっちのけでそういう空気を出してきたら抗議もしたくなるだろう。
だが巽はそういう気分だった。
「だめ、ですか?」
抗議の目を向けてくる彼女へ、少し顔を傾け甘えた声を出せば
「うぅ……」
彼女が怯むことも知っていた。
「だめじゃない、です、けど……」
ここじゃヤダの声を聞いた瞬間、巽は彼女を抱え立ち上がった。
「ひゃぁっ!」
「では寝室へ向かいましょう」
「うぅ、久しぶりに会えたからゆっくりいちゃいちゃしたかった……」
ベッドに転がされて呟く姿すら可愛らしくてつい笑ってしまう。
「ふふっ、はい、ゆっくりいちゃいちゃしましょうか」
性急にならないよう気をつけながら、何度も何度も唇を重ねる。
彼女の希望通り、ゆっくりと。
「ん……っはっぁ」
次第に彼女の息が上がり、瞳にも熱をおびてくる。
まるで「もっと」と強請られているようで
巽はその瞳で見つめられると体の熱が中心部へ集まるような感覚に襲われる。
普段気付かないふりをしている欲望が外へ出たいと、解放されたいと訴えてくる。
いっそこの欲を彼女にぶつけてしまえばいいのだろうか。
彼女は受け入れてくれるだろうか。
自分の下で一生懸命キスに応える彼女の姿に巽の熱も高ぶるのを感じた。
「……触っても?」
潤んだ瞳と紅潮した頬の彼女の了解を取ると、
彼女の望み通りゆっくりといちゃいちゃをするために彼女の寝間着に手をかけるのだった。
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