第二章
夢小説設定
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横羽組の事務所に着きそうな時、一台の車が横切ってきた。その車に見覚えがある。今日の昼間、昇くんとご飯食べに行ったときだ。その車に轢かれそうなった。ナンバーもピッタリに一致し、あれだと思った私は尾行に気付かれないようについて行った。そして無線で司令室に伝える。
「こちら港308、応答願います。どうぞ」
「こちら港署司令室、どうぞ」
「現在、横羽組の事務所から、赤色のクラウンセダンが本牧ふ頭方面に向かっています。ナンバーは横浜〇〇のさの〇〇-〇〇です。至急応援願います。どうぞ」
「港署司令室、了解」
これでなにかあった時、大丈夫なはずだ。恐らく倉庫の中とかで取引をするのだろう。そこが銀星会の穴場って事を大下さんたちは知ってるから。極力近づくなと口酸っぱく言われたが、今回は仕方ない。自分から動くんだ。
読みの通り、その倉庫に先程の車が止まっていた。確か車の中には薄暗くて見難かったが三人ほどだったはず。シャブか、はたまた金の取引か…。拳銃を抜いてリボルバーに弾を入れる。そして車から降り、気付かれないように忍び足で中に入る。音を立てないように深呼吸し、意を決した。
「動かないで」
「…!あ、あの女…今日の昼の」
「喋るのも駄目。一歩でも動いたら撃つわよ」
ジリジリと近づく。三人を順番ずつ目を凝らして見る。そして一人のやつがスーツの中から拳銃を取り出そうとしてるのを見た私は直ぐ様、ソイツの肩を撃ち抜いた。唸って転げるソイツの肩から血が垂れ落ちている。あとの二人の目はびっくりしたのか目を見開いて私を見ていた。
「だから言ったでしょ。動いたら撃つって」
「クソ…あのアマ…」
「それで聞かせてくれない?私を狙った理由を。なんとなくは検討はついてるけど念のためにね」
どうせ息子から色々と私に話されていると思いこみ、聞かれたらマズイ事を息子が刑事に言われると思っていたのだろう。それで私と息子の昇くんの事を撃って殺せば、その話元が消えるから狙った…多分これで合っていると思う。二人が話すのを待っていたら、二人の様子がおかしく、表情が変わった。まさか…奴らの仲間が来た?後ろを振り返るのが一歩遅くなり、腰辺りに銃口であろう物が当たる。
「お姉ちゃんが来ていいところじゃーないね。動いちゃ駄目なのは君の方だ」
カチャと音がする。これで弾き金を引かれたら一発で死ぬ。
「で、君はここになんのようで来たんだ?」
「私は別にあなた達には用はないの。私が用があるのは__」
そこで一人の男を見つめて言った。
「笹木英二、あなたによ」
笹木は肩をピクつかせている。
「なんだぁ?じゃあ俺たちの取引の事で来た訳じゃねぇのか?」
「ええ。全くもって違う用件で来たの」
やっぱり取引相手の何処か違う組が来たのか。というより捜査課のヤマって横羽組が関わっていて、約何キロかは忘れたがシャブが盗まれて無くなったという話だった気がする。まさかこの事なのか?同時に違う事件が今重なってしまう。
「ふーん。まぁいい。それで、アンタ何者なんだ?
「…当たり」
「まさか鷹山さんたちのトコか?」
「そう、正解。随分世話になってるみたいね」
「ハハ、そりゃ丁度いいところに。アンタを人質にすりゃアイツが助けにくるはずだからな。その機会でぶちのめしちまえば_」
ヤツが言いかけた途端、聞き覚えのある二人の声がした。
「動くな」
「ぶちのめされるのは御宅たちの方だ」
私に銃を向けていた奴もそこにいた全員がその声に後ろを振り返る。力が緩まったと同時に私は拳銃を向けられていたその男の手首を掴み上に持ち上げ、銃を振り落とさせようとするが中々離さない。
「はなし…なさい!」
「クッ…てめぇも離せ!」
そしてそうこうしているうちにドンパチが始まる。大下さんが狙いを定め撃つと、ソイツの手に当たり、拳銃から手が離れた。バンバンと倉庫中に音が鳴り響く。後から来た港署の捜査課も続々と入ってきて、見る見る内に次々に犯人は大下さんやタカさんたちに撃たれ倒れていく。最後に笹木だけが残る。
「う、撃たないでくれ…!」
弱々しく言って降参を申し出たが、私は怒りが収まり切れなかった。笹木の元にまで歩みを進め、銃口を向けた。
「や、止めてくれ!許してくれ…!」
「…私はともかく、どうして息子の昇くんの命まで狙ったの?!」
「名前ちゃん…撃つなよ…」
大下さんがそう呟くのも無視して話を続ける。
「アンタ…昇くんはたった一人の息子よ!アンタは父親なの、そこんところ分かってるの!?」
拳銃のハンマーを起こす。笹木の頭に銃口を向けた。ビクビクしてる笹木は咄嗟に姿勢を変えて土下座をしたのだ。
「悪かった…!息子にも、アンタにも…!」
「ちゃんと釈放されたら息子の事、大事にしてあげてください。それとしっかり謝る事。そこんところだけお願いします」
「ああ。分かってる…すまなかった…!」
撃鉄を降ろし、スーツの中にしまった。本当に反省してるか分からないが、でも今だけは信じようと思う。それは笹木英二の為ではなく昇くんの為だ。
「いや、名前ちゃん素敵!まるで刑事ドラマ観てるみたいだったぜ」
手をパチパチしてるような仕草で私に話しかけてきた大下さん。それに対して微笑み返す。
「まぁ、あれで少し凝りてくれれば良いんですけどね。そう言えば捜査課のヤマってこれに関係してますよね?」
「そう、シャブ盗んだのは横羽組と取引をしようとしてた双葉組だった。て言うことは二つとも同時に事件解決ってところ」
取りあえず、ここにいた犯人全員は覆面車に乗り、署に連行された。
「なんかまた大下さんたちに助けられちゃいましたね。ありがとうございます」
満更でもない顔した二人は私の頭を撫でる。きょとんと二人の顔を交互に見つめた。
「よく頑張ったな」
「まぁ、世話が焼くあぶない女刑事…ってとこかな」
「世話が焼くって…タカさん一言余計です!」
「タカが言ってることも一理ある」
「ちょっ!大下さんまで!」
「だって言っただろ?ここには極力近づくなって。応援来るまで待ってりゃ良かったものの」
「…すみませんでした」
途中で来たカオルさんが来て、大下さんたちの肩に手を乗せる。
「とりあえず、名前ちゃんが無事で良かったじゃない!ね、大下さん、タカさん!」
「そうだ。それが何よりだよな、な?ユージ」
「お、おう。もちろんさ」
少し意味深に聞くタカさんに大下さんは照れながら答えていた。少し不思議に思いながらも解放された感が感じられて満足していた私は気にしなかった。やっぱり事件解決したあとって刑事やっていて良かったなと思える。やりがいもあるし。そして大下さんたちに出会えた事もより一層嬉しく感じられる。
「今日はなんか食いに行くか!」
「お、いいね〜」
「もちろん名前ちゃんもな」
「え?私もですか?」
「助けたお礼に名前に奢って貰っちゃおうかな」
「あ、あはは…そーですね…」
たまにはいいかと思い、その誘いを受ける。三人で何食べるか話していたら、いつの間にか此処から消えてたカオルさんが戻ってきて肩を叩かれた。
「名前ちゃん、昇くんが貴女のところに行きたいって言うもんだから連れてきたの。相当気に入られてるみたいね!」
「お姉ちゃん!!」
「の、昇くん!」
私の足辺りにギュッと抱きつく昇くん。頭を撫でてやると嬉しそうに微笑んだ。やっぱり子どもはこうやって沢山笑って沢山遊んで…そして沢山愛を与えてあげるものだ。
暫く私は昇くんと話していた。その頃の大下さんたちは__
「妬けるよな〜」
「何ガキに妬いてんだよ」
「だってタカ、名前ちゃんに躊躇いもなく抱きつけるんだぜ?」
「あら、大下さんは名前ちゃんに抱きついた事無いの?」
「…んん”、さーて夕飯は何食べよっかな〜」
「「ありゃ完全にあるな」」
大下さんは咳払いして誤魔化し、スキップしてその場を離れた。呆れて見ていたカオルさんとタカさん。その今の状況をあまり理解してなかった私。
***
結局夕飯は私の奢りで私と大下さんとタカさん…だけかと思いきやカオルさんまで着いてきた。
「な、なんでカオルさんまで…?」
「いいじゃないの、ケチケチしないで楽しくみんなで食べましょ!そして今回はパーー!と派手に飲みましょうよ!ね!ね!ね!」
「「カオルー…」」
「お、お金が…」
案の定、金欠気味になった私でした。