今年もきっと……
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「ただいまー」
「おかえりー」
玄関から聞こえてきたいつもより小さな帰宅の声に応え、彼を出迎えに行く。廊下へのドアを開けると、嬉しそうな顔の彼と目が合った。
「起きて待っててくれたんだな」
「うん。改めまして、あけましておめでとうございます」
「おう、あけましておめでとうございます。今年もよろしくな、初音」
「うん、よろしくね、翔ちゃん」
改めて新年の挨拶を交わして、どちらともなく触れるだけのキスをする。嬉しくて照れ笑いを浮かべると、翔ちゃんはまた優しく私の唇にキスを落とした。
今年も翔ちゃんはキス魔だ。そう思いながらくすりと小さく笑いを漏らすと、「なんだよ」と彼は少しだけ唇を尖らせた。
「翔ちゃん、新年早々キス魔だなぁって」
「お前が可愛いんだから仕方ねえだろ」
「ん、そっか。ありがと」
未だに慣れない翔ちゃんからの「可愛い」に、はにかみながらお礼を言う。大好きな恋人からの「可愛い」は、本当に嬉しくて特別でくすぐったい。
「もう寝るだけ、だよな?」
「うん。お風呂先に入っちゃった。ごめんね」
「いいよ。……明日は、一緒に入ろうな」
「うん」
翔ちゃんはするりと私の手を取り、寝室に向かう。彼は優しくベッドに座らせてくれた後、「風呂入ってくる。先に寝てろよ」と言って額にチュッとキスをしてくれた。「ありがとう」と私の口から零れた声は、自分でもびっくりするくらいに甘えた声だった。
「でも、少しお話しながら寝たいから、起きて待っててもいい?」
「……ほんっと、お前、かわいいよな、そういうとこ」
「そうかな?」
「そうだよ。待っててくれんのは嬉しいけど、眠かったら寝ててもいいからな」
「うん。でも、待ってたい」
「ありがとな。身体冷えるから、待ってるなら布団に入って待ってろ」
「うん」
モゾモゾと布団の中に私が入るのを見届けると、翔ちゃんは「おやすみ、初音」と優しく私の頭を撫でた。
なんだか、おやすみのキスをして欲しくなってきた。でも、「キス魔」なんて言った手前、「キスして」なんて言いづらい。
「翔ちゃん」
「どうした?」
「……呼んだだけ」
言おうか言わまいか一瞬迷って、そう誤魔化した。すると、ニヤッとした彼の顔が近づいてきて、優しく唇を塞がれた。
したり顔で「おやすみ、お姫様」と言って、彼は寝室を出ていった。残された私の顔は、嬉しさと恥ずかしさできっと真っ赤に染まっている。
翔ちゃんには、今年もきっと敵わない。
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