君と僕の遠回り
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「あ、翔ちゃん、おはよー」
「お、おう! おはよう、初音!」
一緒にすき焼きを食べてから数日後の朝。
出勤ついでにゴミ捨てに行ったところで、たまたま翔ちゃんに会った。
なんか、大袈裟に驚いてないかな?
「私、気配なかった?」
「は? なんで?」
「だって、肩ビクってしてたから、急に声かけられて驚いたのかと」
「別に! 驚いてねえよ!」
「えー、明らかにビビってなかったー? ま、いいや。翔ちゃん今から事務所行くの?」
「そうだけど」
「じゃあ、一緒行こー。レッツゴー」
彼の背後に周り、いつものノリで肩を押そうとした。
しかし、すごい勢いで翔ちゃんが前に数歩進んだ為、伸ばした手がスカッと空を切る。
「翔ちゃん?」
「悪い! 俺、忘れ物した! 先行っててくれ‼︎」
「え、ちょ、翔ちゃん⁉︎」
待ってるねとこちらが言う間もなく畳み掛けて、翔ちゃんはマンションの方に走っていった。
もしかして、避けられてる?
何か気に触ることでもしたかな……?
いや、翔ちゃんはこっちが何かしたのならハッキリ言ってくれる。
でも、あんな反応、いつもはしないんだけどな……。
幸い時間の余裕があるので、少し待ってみることにする。
ヘアピンも返そうかと思っていたし。
上着のポケットに手を突っ込んで待っていると、人影が見えてきた。翔ちゃんだ。
彼はこちらに気づくと、ピタリと歩みを止める。
少し気まずそうに視線を逸らしたままこちらに来て、「待っててくれたんだな」といつもより少し覇気のない声色で言った。
「うん。あまり急いでないし……あ、あとヘアピン! 返そうかなって思ってたから」
「えっ⁉︎ あ、ああ、あれな!」と明らかに動揺した顔と声の翔ちゃん。
今のどこに動揺する要素が……?
なんて思っていると、彼と瞳がかち合った。
「初音が持ってていいぞ。予備のやつだし」
「ありがとう」
「ほら、そろそろ行くぞ! 遅刻する!」
「あ、うん」
先に歩きだした翔ちゃんに着いていく。
「そういえばさ、この前言ってた秋季限定プリン食べたよ」と話を振ると、「美味かっただろ?」とやけに得意そうに彼は笑った。
やっぱり翔ちゃんは笑顔が似合うなあと思いながら、さっき感じた違和感は気のせいだということにした。
「お、おう! おはよう、初音!」
一緒にすき焼きを食べてから数日後の朝。
出勤ついでにゴミ捨てに行ったところで、たまたま翔ちゃんに会った。
なんか、大袈裟に驚いてないかな?
「私、気配なかった?」
「は? なんで?」
「だって、肩ビクってしてたから、急に声かけられて驚いたのかと」
「別に! 驚いてねえよ!」
「えー、明らかにビビってなかったー? ま、いいや。翔ちゃん今から事務所行くの?」
「そうだけど」
「じゃあ、一緒行こー。レッツゴー」
彼の背後に周り、いつものノリで肩を押そうとした。
しかし、すごい勢いで翔ちゃんが前に数歩進んだ為、伸ばした手がスカッと空を切る。
「翔ちゃん?」
「悪い! 俺、忘れ物した! 先行っててくれ‼︎」
「え、ちょ、翔ちゃん⁉︎」
待ってるねとこちらが言う間もなく畳み掛けて、翔ちゃんはマンションの方に走っていった。
もしかして、避けられてる?
何か気に触ることでもしたかな……?
いや、翔ちゃんはこっちが何かしたのならハッキリ言ってくれる。
でも、あんな反応、いつもはしないんだけどな……。
幸い時間の余裕があるので、少し待ってみることにする。
ヘアピンも返そうかと思っていたし。
上着のポケットに手を突っ込んで待っていると、人影が見えてきた。翔ちゃんだ。
彼はこちらに気づくと、ピタリと歩みを止める。
少し気まずそうに視線を逸らしたままこちらに来て、「待っててくれたんだな」といつもより少し覇気のない声色で言った。
「うん。あまり急いでないし……あ、あとヘアピン! 返そうかなって思ってたから」
「えっ⁉︎ あ、ああ、あれな!」と明らかに動揺した顔と声の翔ちゃん。
今のどこに動揺する要素が……?
なんて思っていると、彼と瞳がかち合った。
「初音が持ってていいぞ。予備のやつだし」
「ありがとう」
「ほら、そろそろ行くぞ! 遅刻する!」
「あ、うん」
先に歩きだした翔ちゃんに着いていく。
「そういえばさ、この前言ってた秋季限定プリン食べたよ」と話を振ると、「美味かっただろ?」とやけに得意そうに彼は笑った。
やっぱり翔ちゃんは笑顔が似合うなあと思いながら、さっき感じた違和感は気のせいだということにした。