新たな海
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いつ機嫌が変わるか分からない海
さっきまで穏やかだったそこは今
波風、荒れ狂う場へと様を変えていた。
「っ…久々にすげぇ嵐だよぃ!」
独特な語尾で話す男
マルコは激しく打ち付ける海水に舌打ちしながらも、
船上で指揮を取っていた。
そんなマルコに気付いたサッチが笑いながら叫ぶ。
「マルコーー!海に投げ出されるなよー!この様子じゃ落ちても助けてやれねーぞ!!」
「「ぶっ!!」」
サッチの言葉に鋭い視線を向けるマルコ。
「うるせいよぃ!俺じゃなくてエースに言えよい!!」
「ああっ!?俺はそんなヘマしねぇ!!」
「本当かねぇ、信用できねぇったらありゃしねぇ!」
「サッチ隊長の言う通りだ!!」
「「ガハハハハっ!!」」
いつ海に引きずり込まれてもおかしくない状況に関わらず、
笑い声の絶えない船上。
マルコはそんな家族に呆れながらも、
さっきまでの苛立ちはなくなり、口元は緩く弧を描いていた。
「まったく……馬鹿な弟達だよぃ」
しかし、
それも束の間
「げっ……とんでもねぇのが来るよぃっ」
マルコの視線の先には自分達の乗るモビー・ディック号を軽く飲み込めるほどの津波が押し寄せてきていた。
「全員縄で体と船縛れぇーーぃっ!!」
「うわっ;」
「えげつねぇ…」
特大津波に気付いた船員たちは一瞬にして青くさせるが、
流石は白ひげの船に乗る男達。
海にのみ込まれないよう、
すぐ身体と船を縄で縛った。
それを横目で確認しながら、
マルコは姿を美しい青の鳥へと変え空へ舞う。
瞬間モビー号を飲み込む津波。
「身は安全でもヒヤヒヤするよぃ;」
真っ黒に埋め尽くされた眼下に、
再び白い鯨が姿を現すとつい溜め息が溢れた。
特大津波を皮切りに落ち着きを取り戻す海。
「とりあえず大丈夫みたいだねぃ…エース以外は…ふっ」
「おーぃ!!マルコー!」
「「マルコ隊長ーー!!」」
船上からこっちに手を降る家族たち。
全員無事らしい
サッチの右肩に担がれる末弟以外は。
「おいおい!ヘマなんてしねぇって言ってた奴が伸びてるぜ!」
「手のかかる弟だっ!!」
また騒がしくなる船に隠れていた太陽の光が差し始める。
海水に濡れたモビー号は光に反射してキラキラと輝いていた。
「綺麗だねぇぃ」
幾度なく嵐を乗り越えてきた船。
マルコはその度に見るこの幻想的な眺めが好きだった。
キラッ
「ん?」
そんな船上の後方にヒトキワ大きな輝きが一つ。
違和感を覚えるソレに近付こうと高度を下げる。
「おいおいっ;;どういうことだよぃ;」
船に降り立ち姿を戻す。
他の船員達はこの異常に気付いてないらしい。
「こりゃぁ……津波がとんでもねぇ忘れ物をしていったよぃ;」
宝石のように虹色に輝くソレ
それは輝く長い髪を身に包んだ美しい女だった。
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