死にたがりとの邂逅
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「俺よくわかんねえんだけど、包帯とかガーゼとか持ってんの?」
「…うん。変なとこ見せたね、ごめん」
少し冷静になったのか先程より意識がハッキリしたらしい彼女は申し訳なさそうな顔で謝罪を口にする。角名はそれに答えなかった。
なんと答えるべきか分からなかった。
「…痛そ」
声に出すつもりのなかった言葉が口から滑り落ちる。角名は苗字の持つガーゼを手に取りその傷口に押し当てた。
「血、止めよ」
自然と手が動いた。
傷だらけの腕を包み込むように両手でそっと触れる。
何故自分はこんなことをしているのだろう。普段ならこんなこと絶対しない、面倒くせえもの見たなんて思いながらその場を立ち去るはずだ。関わろうとしないはずなのに。
「包帯貸して」
「自分でするからいいよ」
「今更じゃん、いいから貸して」
遠慮がちに差し出された包帯を無言で巻き付けていく。
遠くで聞こえる鐘の音に五限目始まったな、と他人事のように思った。
包帯を巻き終え、両手で再びその腕に優しく触れる。
なんでこんなことしてんの?
痛くねえの?
大丈夫なのお前。
お前は何を抱えてんの?
見て見ぬふりしてやれなくてごめんな。
言いたい言葉を声に出す代わりにただじっと彼女の腕に触れていた。それを見つめる彼女もまた無言だった。
「…角名くん」
「…ん」
「私ね、死にたいんだ」
そう言って笑う彼女は今にも消えてしまいそうな程に儚げで痛々しいのに、ひどく美しく見えた。
「…うん。変なとこ見せたね、ごめん」
少し冷静になったのか先程より意識がハッキリしたらしい彼女は申し訳なさそうな顔で謝罪を口にする。角名はそれに答えなかった。
なんと答えるべきか分からなかった。
「…痛そ」
声に出すつもりのなかった言葉が口から滑り落ちる。角名は苗字の持つガーゼを手に取りその傷口に押し当てた。
「血、止めよ」
自然と手が動いた。
傷だらけの腕を包み込むように両手でそっと触れる。
何故自分はこんなことをしているのだろう。普段ならこんなこと絶対しない、面倒くせえもの見たなんて思いながらその場を立ち去るはずだ。関わろうとしないはずなのに。
「包帯貸して」
「自分でするからいいよ」
「今更じゃん、いいから貸して」
遠慮がちに差し出された包帯を無言で巻き付けていく。
遠くで聞こえる鐘の音に五限目始まったな、と他人事のように思った。
包帯を巻き終え、両手で再びその腕に優しく触れる。
なんでこんなことしてんの?
痛くねえの?
大丈夫なのお前。
お前は何を抱えてんの?
見て見ぬふりしてやれなくてごめんな。
言いたい言葉を声に出す代わりにただじっと彼女の腕に触れていた。それを見つめる彼女もまた無言だった。
「…角名くん」
「…ん」
「私ね、死にたいんだ」
そう言って笑う彼女は今にも消えてしまいそうな程に儚げで痛々しいのに、ひどく美しく見えた。
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