死にたがりとの邂逅
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騒がしい教室や双子から離れてどうしようもなく一人になりたい時がある。
そんな時角名はいつも屋上へ向かう。
現実の高校というものは屋上に入ることは出来ないし鍵が壊れているなんて都合のいいことも起こらないので正確にはその手前の踊り場なのだが人が寄り付くことも無く静かなその場所を角名は気に入っていた。
同じ考えの奴は他にもいるようで時折誰かがいたような形跡が残っている事もあるが幸いにも今まで鉢合わせたことは無い。
そんな場所に、彼女はいた。
ぺたりと座り込む彼女の瞳は暗く何も映していない。何よりも角名が驚いたのはその腕から流れる血の量だった。
正直、少し思っていた。
リスカでもしてんじゃねえのと。
目の前の彼女を見るにその予想は当たっていたのだが「メンヘラぶってる奴の病んでるアピール」というその行為に対する偏見に塗れた認識は覆された。
腕に残る傷跡と流れる血を見ればよほど深い傷であることは一目瞭然でアピールなどそんな生易しいものでは無いと現実を突きつけるには充分だった。
どう考えても見てはいけない現場に現れた自分の姿は彼女の視界に入っているはずなのにまるで見えていないかのように一切の反応をしない彼女に思わず声をかける。
「…苗字、さん?」
それでも反応が返って来ることはなくその目は変わらずぼんやりとしていた。
普通の人間ならドン引きするか慌てるこの場面において角名がとった行動は彼女の姿を写真に収める、という自分自身でもおよそ理解の及ばないものだった。
正面にしゃがみこみ、その顔を眺めながら自身の行動の真意を探ろうにも無意識のうちに行った事でよく分からない。
「…なあ、俺の事見えてる?」
痛々しい傷跡に指で触れながら声をかける。
「…角名、くん?」
ここに来て初めて自分に気が付いたらしい苗字はどこかぼんやりとした様子で口を開いた。
「さっきからずっと居たけど。…止血した方がいいんじゃねえの?」
「…ああ、うん。そうだね…」
この場を見られたことに対する動揺など一切ないかのような彼女の足元には小さな刃物が転がっていた。
そんな時角名はいつも屋上へ向かう。
現実の高校というものは屋上に入ることは出来ないし鍵が壊れているなんて都合のいいことも起こらないので正確にはその手前の踊り場なのだが人が寄り付くことも無く静かなその場所を角名は気に入っていた。
同じ考えの奴は他にもいるようで時折誰かがいたような形跡が残っている事もあるが幸いにも今まで鉢合わせたことは無い。
そんな場所に、彼女はいた。
ぺたりと座り込む彼女の瞳は暗く何も映していない。何よりも角名が驚いたのはその腕から流れる血の量だった。
正直、少し思っていた。
リスカでもしてんじゃねえのと。
目の前の彼女を見るにその予想は当たっていたのだが「メンヘラぶってる奴の病んでるアピール」というその行為に対する偏見に塗れた認識は覆された。
腕に残る傷跡と流れる血を見ればよほど深い傷であることは一目瞭然でアピールなどそんな生易しいものでは無いと現実を突きつけるには充分だった。
どう考えても見てはいけない現場に現れた自分の姿は彼女の視界に入っているはずなのにまるで見えていないかのように一切の反応をしない彼女に思わず声をかける。
「…苗字、さん?」
それでも反応が返って来ることはなくその目は変わらずぼんやりとしていた。
普通の人間ならドン引きするか慌てるこの場面において角名がとった行動は彼女の姿を写真に収める、という自分自身でもおよそ理解の及ばないものだった。
正面にしゃがみこみ、その顔を眺めながら自身の行動の真意を探ろうにも無意識のうちに行った事でよく分からない。
「…なあ、俺の事見えてる?」
痛々しい傷跡に指で触れながら声をかける。
「…角名、くん?」
ここに来て初めて自分に気が付いたらしい苗字はどこかぼんやりとした様子で口を開いた。
「さっきからずっと居たけど。…止血した方がいいんじゃねえの?」
「…ああ、うん。そうだね…」
この場を見られたことに対する動揺など一切ないかのような彼女の足元には小さな刃物が転がっていた。