アランくんの彼女はロシア人
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12月早朝、電光掲示板の気温表示によると現在の気温は3度。凍てつく寒さの通学路で学校指定のコートを着たガルーラを見かけた。膝上スカートから長い脚をスラリと伸ばして規則正しい歩調で靴を鳴らしている。
レッスン受けた?一人パリコレしてない?
阪急宝塚線の電車でたまに見かける音楽学校生みたいやなと赤木はその後ろ姿をぼんやり眺める。
「ガルーラ、目立つな」
「俺より身長あるんちゃう」
「さすがに190ないやろ。ほら」
赤木が大耳の背中を押してガルーラに近づく。大耳がやめやめと言ってるのを無視して二人を並べる。…まってまってほぼ同じ身長。
「ガルーラ190なん」「185」
なーんだ。って四捨五入したら190やーん。
もっと身長が欲しい赤木は「くそがー!」と一人叫んで頭を抱える。ガルーラはその奇行に目もくれずキョロキョロあたりを見渡した。
「尾白くんは?」
「今日はまだ会ってない。あ、こいつ大耳いいます」
「いきなりどうしたん」
「いやいや最初に紹介せんと気まずいやん」
「たしかに。ガルーラいいます」
「あ、知ってます」
「赤木どうしてくれるんこの空気」
「宮双子やー!おーい!」
「逃げた」
「あいつ昨日徹夜してテンションやばいねん」
「徹夜したん…」
「ガルーラ昨日何時に寝た?」
「9時」
「小学生か」
大耳のツッコミに無言でピースしてみせた。
調子良くなるからみんな早く寝よと勧めてるがなかなか浸透しないらしい。
その後ろで赤木が双子に「俺今日徹夜」とか言って絡んでいた。
「テストは一年のがまだマシやんな。二年なると範囲が、範囲が広すぎて…」
「いややなぁ。二年なりたないなぁ」
「ツムそんなら留年するか」
「はあ?サムのが赤点多いやろ」
「今回は赤点1個も取らん。ツムが留年なったらそしたら来年から俺がお前の兄貴なるわ」
「なんでお前のことおにいちゃん呼ばなあかんねん!サムのが留年最有力候補やろ!」
ヤイヤイ言い合う双子に「朝っぱらから路上で騒ぐな」と大耳が軽くたしなめる。
「ちゃんとやれば留年にならへんて」
「そやで。このお二方を見習え」
「赤さんは?」
「見てのとおり余裕ないねん。俺の代わりになんか双子に言うたって」
赤木がガルーラをじっと見る。
大耳も無言で見る。
指名を受けたガルーラが双子に近づくとあれだけ騒いでいたのにピタと静かになった。
「ミヤ君授業中寝てそうやもんな」
「…授業は寝るためにありますもん」
「ちゃんと勉強しや」とかおかんみたいに説教するんかと治は身構えた。
「一か月のうち数学の授業は何時間あると思う?」
「え?」
こちらをじっと見る目に表情はない。
とっさに答えが出なかった。
「週4回授業で塾にも行って大体20時間やんな?ミヤ君。君はテスト前の1週間で20時間分を頭に詰め込む作業できるん。そんなん無理やろ。だから普段の授業からおろそかにしたらあかんねんで」
重くのしかかる事実に辺りがシンとなる。
「だって北さん」
「誰が北やねん」
「赤さん被弾してもうて」
「北さん直伝の正論パンチや」
「ガルーラの冷凍パンチやんな」
「それや」
「効果バツグンだ」
「あれガルーラいない!」
「あそこやアランとこ」
「おーおー彼女面しよって」
「彼女やて」