序章:トリップしたその先は
夢主
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私はひたすら闇に向かって歩いていた
真っ暗で
何もないところ
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
突然、赤ちゃんの泣く声が響いた
そして……
赤ちゃんの泣く声とともに、そこに光が差した
私はその光に向かって手を伸ばした
その瞬間___
辺りの景色は変わっていた……
『ここはどこ……? 』
そこには……
血だらけの人がいっぱい倒れていた
ゴクリ、と、喉がなった
空腹も感じる……
なんで?……なんでお腹が空くの?
普通なら食欲をなくすだろう惨状を前にして…__
まさか……
信じたくない可能性と言葉が、1つ頭の中に浮かんだ___
“臓器移植”、もしかしたら……
私の中に、喰種の細胞が移植されたのではないだろうか……
金木くんの顔が脳裏に浮ぶ__
ガタガタと私の身体が揺れている
自分が震えているのだと気がつくのに随分と時間がかかった
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
再び赤ちゃんの泣く声が聞こえた
私はその声に向かってフラフラと近づいて行く
崩れた家の瓦礫の下に、赤ちゃんのお包みがあるのが見える
その光景が……、崩れた“あんていく”と重なった
その瞬間
サクラの背中から黒い刃が飛んだ
黒い刃は、ザシュッと音を立てて、瓦礫を一掃した
サクラはそこに近づく
こわがらせてしまっただろうか……
この力は……、私は……
喰種になってしまったのだろうか___
嫌がられはしないか
恐る恐る赤ちゃんに向かって手を伸ばした
「キャッキャッキャッ」
サクラに抱かれて、赤ちゃんは嬉しそうに笑った
「っ!」
眩しかった
この子の笑顔が、暗やみにいた自分を一気に照らしてくれた希望の光のようだった
この笑顔に、私の心は救われたのだ
自分の中に巣食っていた、真っ暗い闇が、ザァーっと音を立てて散っていったのがわかった_
助けようこの子を___
サクラは、生存者を捜すことにした
『誰か!誰か生きていませんか!』
ジャリッと砂を踏む音がした
音がした方向を見ると、水色の髪の女の子がジッとこちらを見ている
「バカみたいに笑ってさ」
そう言った水色の髪の女の子の目には涙が浮かんでいた
サクラはその子に、自分が抱いていた赤ちゃんを持たせた
『何でかはわからないけど、この子を抱いていると元気がでるよ』
今度はその子も一緒に生存者を捜した
「あっちに行ってみる」
ノジコと名乗った女の子は、生きている人を見つけてきた
その人は随分とケガをしていて、服がボロボロな若い女の人だった
『ケガ痛そう』
自分のポケットの中にあった傷薬を女の人に塗りたくった
四方さんからもらったすごくしみるやつだ
「……っ、アンタもケガ、して……るで、しょ…… 」
女の人に言われて気がついた
いつの間にか足からすごい血が出ていた
そういえば、足が痛いような気がするかも……
いつケガをしたんだろうか___