無頼・荒"奉仕"録
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こつんと、
何やら窓にぶつかる音が耳を叩き、彼女は目を覚ました。もそもそと分厚くのしかかる蒲団を蹴り倒して億劫そうに窓の外を見ると、ちょうど部屋の真下で自分の従者が小石をもてあそんでいるではないか。
それ以前に、学生寮にどうやって忍び込んだのやら。窓を開けて声をかけようと冷たい外気を吸い込んだところで、顔に布袋がぶち当たる。
幸い中身は布のようで痛みはないが、意地の悪げな従者は人差し指を唇に当て、喋るなと仕草した後にそそくさと寮の敷地から逃げていったのだ。
さて仕方がなく彼女はガサガサと布袋を漁る。プレゼント用の装飾がされたそれを紐解くと、まずはかわいらしい便箋に粗汚い文字で書かれたなんともミスマッチな言伝が現れる。
『いきなり何を押し付けてきてるんだと思うかもしれないが転光生なら着の身着のまま東京にほっぽり出されて困ってるだろうから適当に見繕ってみた。
これから寒くなるから早く自分の好きなモン買って寒さをしのぐんだな
宝蔵院オニワカ』
ぱりぱりと寝ぼけ眼の目じりを掻いて、彼女は部屋の電気をつける。
ああこんな状況で先生が見つけ出して来たらどうしよう。そんなことを頭の隅で囁きながらベッドの上にオニワカの調達してきた衣類を広げた。
HUWAMOKOとロゴのついたタグをぶら下げたマフラーと手袋にはかわいらしい動物がそこかしこに遊んでいる。
こんな趣味をしていたか?自分に合わせてくれたのだろうか。ぽくぽく脳を働かせ、ふと彼のパーカーのポケットからそぞろとぶら下がるものを思い出し、ああなるほどと頷いた。
それらを机の上にそっと置き、部屋の明かりを消して彼女は季節のわりに重い蒲団へもぐりこむ。
そして、静かな暗闇の中。スマホのアプリを起動した。
薄寒い夜空から身を隠すようにオニワカはいつも以上にフードを目深に被って身を縮め帰路についていた。余計なことをしてしまってはないか、主の趣味では無かったろうに、そんなことを考えては『まぁいいさ』と空元気にフードを弄ぶ。そんな折、パーカーのポケットの中でスマホが震え、オニワカは胡乱げにストラップのジャラジャラついたそれを引っ張り出した。
そこには主からのメッセージが。
『ありがとう。明日休みだし、時間あったら買い物に付き合ってくれるとうれしいかな。
最初は先生が案内してくれるはずだったんだけど無理になっちゃったし、シロウたちも何かすることあるみたいだし
追伸:うさぎがあったらほしい』
グッと吊り上がる口の端を抑えこみ、荒法師は夜の闇に消えていった。
fin
何やら窓にぶつかる音が耳を叩き、彼女は目を覚ました。もそもそと分厚くのしかかる蒲団を蹴り倒して億劫そうに窓の外を見ると、ちょうど部屋の真下で自分の従者が小石をもてあそんでいるではないか。
それ以前に、学生寮にどうやって忍び込んだのやら。窓を開けて声をかけようと冷たい外気を吸い込んだところで、顔に布袋がぶち当たる。
幸い中身は布のようで痛みはないが、意地の悪げな従者は人差し指を唇に当て、喋るなと仕草した後にそそくさと寮の敷地から逃げていったのだ。
さて仕方がなく彼女はガサガサと布袋を漁る。プレゼント用の装飾がされたそれを紐解くと、まずはかわいらしい便箋に粗汚い文字で書かれたなんともミスマッチな言伝が現れる。
『いきなり何を押し付けてきてるんだと思うかもしれないが転光生なら着の身着のまま東京にほっぽり出されて困ってるだろうから適当に見繕ってみた。
これから寒くなるから早く自分の好きなモン買って寒さをしのぐんだな
宝蔵院オニワカ』
ぱりぱりと寝ぼけ眼の目じりを掻いて、彼女は部屋の電気をつける。
ああこんな状況で先生が見つけ出して来たらどうしよう。そんなことを頭の隅で囁きながらベッドの上にオニワカの調達してきた衣類を広げた。
HUWAMOKOとロゴのついたタグをぶら下げたマフラーと手袋にはかわいらしい動物がそこかしこに遊んでいる。
こんな趣味をしていたか?自分に合わせてくれたのだろうか。ぽくぽく脳を働かせ、ふと彼のパーカーのポケットからそぞろとぶら下がるものを思い出し、ああなるほどと頷いた。
それらを机の上にそっと置き、部屋の明かりを消して彼女は季節のわりに重い蒲団へもぐりこむ。
そして、静かな暗闇の中。スマホのアプリを起動した。
薄寒い夜空から身を隠すようにオニワカはいつも以上にフードを目深に被って身を縮め帰路についていた。余計なことをしてしまってはないか、主の趣味では無かったろうに、そんなことを考えては『まぁいいさ』と空元気にフードを弄ぶ。そんな折、パーカーのポケットの中でスマホが震え、オニワカは胡乱げにストラップのジャラジャラついたそれを引っ張り出した。
そこには主からのメッセージが。
『ありがとう。明日休みだし、時間あったら買い物に付き合ってくれるとうれしいかな。
最初は先生が案内してくれるはずだったんだけど無理になっちゃったし、シロウたちも何かすることあるみたいだし
追伸:うさぎがあったらほしい』
グッと吊り上がる口の端を抑えこみ、荒法師は夜の闇に消えていった。
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