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石原さんは解せない

告白をした次の日、妙な三角関係に巻き込まれている興奮を誰かと分かち合いたくて江坂くんに声をかけた。

三角関係になっていることを話すと江坂くんは「わーお」と、ちょっと理解が追い付いていなさそうな表情をしていた。
「石原さんは加賀くんが好きなんだね。僕には勝ち目なさそうだなあ」
私に比べたら全然勝ち目あると思うよと言ったら、「本人って自覚してないでしょ」と苦笑いをされた。ちょっとかわいかった。

その日の1限目が終わってからの休み時間から加賀くんが江坂くんをキープするようになった。
加賀くんは今まで一匹狼だったからクラス内でちょっとした話題になった。


江坂くんとの親密度を上げまくっている加賀くんを見て、私もそれをやってみることにした。話しかけて共通の話題を探してみたり、映画や買い物誘ってみたり。だけど加賀くんは私なんかより当然江坂くんを優先していたから、二人で何処かに行くこともなく撃沈してばかりだった。
私が落ち込んでいると江坂くんがどこからかやってきて慰めてくれた。
「少しずつでも僕に落ちてくれたらいいのにな」
「それはない」
そんなことを言ったけど実際はちょっとだけ江坂くんの方に天秤は動いていた。


それから冬を越し、春になって進級をした。
私のクラスには加賀くんも江坂くんもいなくなっていた。2人は2つ隣のクラスで席も前後になったようだった。

あまり接点がなくなって半年が過ぎ、高2の秋。
生理痛による腹痛の痛みに耐えられなくなった私は保健室で横になっていた。
1時間くらい痛みにのたうち回っていた時、ドアの開く音がして誰かが入ってきた。
「どうした? 怪我?」
「突然倒れちゃったんですけどどうしたらいいですか」
保険医とそれと見知った声が聴こえる。加賀くんだ。誰かの付き添いだろうか。
「とりあえず寝かせてあげようか。窓際のベッド使ってね。意識はある?」
少しの間。
ベッドの軋む音がする。
「クラスと名前言える?」
意識はあるみたいだった。
また、少しの間。
「22HRの江坂結羽です」と、加賀くんの声。
運ばれてきたのは江坂くんだった。お姫様だっこで運ばれてきたのかな。
「君は授業にー……、まあ、不安だろうから治まるまではそばにいてあげてね」
「はい」
私の好きな人の嬉しそうな声が聞こえた。
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