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石原さんは解せない

私がJKだった頃の話。

私には好きな人がいた。
加賀利人かが りひとくんという名前で、高1の時に同じクラスになっていつのまにか好きになっていた人だ。
ちょっと背が高くて、クールで、頭が良さそうで、何を考えているのかわからなくて、大人びていた男子生徒だった。
私は彼の声が特に好きだった。

このまま見ているだけで終わってしまうのだろう。彼の人生のモブにしかならないのだろうと考えていたらたまらなくなって、告白することにした。

高1の秋。
決行日の昼休み、放課後に加賀くんを呼び出そうとしていたときに、同じクラスの江坂に呼び出された。
ひとけのない廊下まで行くと彼が突然振り返り、「好きです。付き合ってください」と言ってきた。一瞬何が起こったのかわからなかった。
「ごめん、好きな人がいるから」みたいなことを言った気がする。
江坂くんは小さな声で「好きな人……そっか。それじゃあ仕方ないね」と言って教室じゃない方へ歩いていってしまった。泣いてたらどうしようと思ったけど、男の子だし大丈夫だったかな。

それから急いで教室に戻り、加賀くんに放課後教室に残っていてほしいと伝えた。さっき告白されたばかりでテンションが上がっていたのでそれを伝えるのは簡単だった。

放課後。人がはけるまで10分くらい待った。
そして教室に二人きりになった。
彼女がいるかどうか聞きもせず「好きです。付き合ってください!」と言っていた。数時間前に聞いた告白と同じリズムで言ったような気がする。
加賀くんはとても驚いていた。少し間を置いて「ありがとう。でも他に好きな人がいるから」と言った。数時間前に聞いたような台詞だ。
他に好きな人。誰なのか気になった。そう思った瞬間に聞いてしまっていた。「加賀くんの好きな人って誰ですか?」

「江坂結羽」

江坂結羽えさか ゆう
昼休みに私に告白してきたクラスメイトの名前。男子生徒。
加賀くんは同姓愛者なのかな、それじゃ私に勝ち目なんてないじゃないと圧倒的な失恋をした。
家に帰ってから私たちが三角関係であることに気づいた。
三角関係ってこういうのだっけ?
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