創作 -short-
優しい祖父にずっと言われていた。
「いいか、"あの扉"は絶対に開けちゃいけないよ」
"あの扉"とは古びた、一見ただの木製の扉。蛇の飾りの金属部分も錆びついて見えるが、それ以外特に変わった点はない。
「なんで開けちゃいけないの?」
「危険だからさ」
「なんで危険なの?」
「それは……」
真剣な顔つきだった祖父は笑って言うんだ。"こわーい大きな蛇さんがいるからさ!"
でも私は幼いながら気付いていた。そんな笑顔を浮かべる祖父の眼の奥は全く笑っていなかったことに。
月日が流れ、父は眠るように死んだ。83歳だった。
あれから時は5年後。私は13歳になった。
短かった茶色の髪も、今は伸ばしていてゆるく三つ編みにしている。
良い天気だし、掃除でもしようかな。
太陽の光に照らされた花瓶に水をやると、私はよし!とさっそく掃除を始めた。
箒で溜まった埃を掃き出す。ぶわっと埃が舞い、思わず咳込んだ。そうだ、窓開けるの忘れてた!
窓を開け、再び戻ろうと思った時、ふと"あの扉"が目に入った。
……ちょっとだけなら、いいかな。
好奇心から、私はその扉を開けてみることにした。
――この行動がすべての始まりだった。
「いいか、"あの扉"は絶対に開けちゃいけないよ」
"あの扉"とは古びた、一見ただの木製の扉。蛇の飾りの金属部分も錆びついて見えるが、それ以外特に変わった点はない。
「なんで開けちゃいけないの?」
「危険だからさ」
「なんで危険なの?」
「それは……」
真剣な顔つきだった祖父は笑って言うんだ。"こわーい大きな蛇さんがいるからさ!"
でも私は幼いながら気付いていた。そんな笑顔を浮かべる祖父の眼の奥は全く笑っていなかったことに。
月日が流れ、父は眠るように死んだ。83歳だった。
あれから時は5年後。私は13歳になった。
短かった茶色の髪も、今は伸ばしていてゆるく三つ編みにしている。
良い天気だし、掃除でもしようかな。
太陽の光に照らされた花瓶に水をやると、私はよし!とさっそく掃除を始めた。
箒で溜まった埃を掃き出す。ぶわっと埃が舞い、思わず咳込んだ。そうだ、窓開けるの忘れてた!
窓を開け、再び戻ろうと思った時、ふと"あの扉"が目に入った。
……ちょっとだけなら、いいかな。
好奇心から、私はその扉を開けてみることにした。
――この行動がすべての始まりだった。
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