オペラにしてはきな臭い
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「この饅頭、例の演出家先生じゃないだろ」
銃兎の持ち寄った資料を流し読みし、至極つまらなさそうに左馬刻はソファに身を預けた。ローテーブルに投げられた資料を拾いあげ、銃兎もまた資料を読み返す。
事件発覚当初、失踪した演出家のものと言われていた遺体は顔と指紋の判別がつかないように処理されたうえで、山に埋められていた。少なくとも死後一ヶ月以上は経過しているそれをDNA鑑定に回そうにも、彼は独身、子どももいなければ、唯一の家族であった母親を数年前に亡くしたばかりであった。残された歯形を照合し、歯医者の通院歴から判定したものの、違和感はどこまでもつきまとっていた。
死体の処理が素人のそれだ。見つかった方が都合がよいと言わんばかりに。
「おそらくは、歯医者に残ってたっつぅ歯型の方が偽装だ。奴は大陸のやつらと一緒に、派手にとは言わないが着実に金を稼いで回っていた」
奴と繋がっていたと思しき関係者の名前を挙げた途端、左馬刻は眉を顰めた。数年前、左馬刻たちのシマで薬をばらまいた連中の関係者でもあったからだ。
「たかだか一端の売人を、死体を偽装してまで庇いたてる理由がわからん。ただ、こちらとしてはこれ以上ヤク漬けにして回られるのは困る」
「で、俺様の力を借りたいって?」
はん、と鼻で笑った左馬刻はしかし身を起こし、銃兎の目をまっすぐに見た。
「お気に入りの女のためか」
「なにより、その男はまだ生きていると確信しているのがその女なんだよ」
「なんだそりゃ」
「奴の左胸、ちょうど心臓の上あたりにほくろが二つ並んでいると話している。この饅頭には、それがねぇ」
その言葉を聞いた左馬刻はわずかに呆けたあと、声をあげて笑った。
「じゅ~とくんよぉ、テメェ、ひっでぇツラしてんぞ」
銃兎の持ち寄った資料を流し読みし、至極つまらなさそうに左馬刻はソファに身を預けた。ローテーブルに投げられた資料を拾いあげ、銃兎もまた資料を読み返す。
事件発覚当初、失踪した演出家のものと言われていた遺体は顔と指紋の判別がつかないように処理されたうえで、山に埋められていた。少なくとも死後一ヶ月以上は経過しているそれをDNA鑑定に回そうにも、彼は独身、子どももいなければ、唯一の家族であった母親を数年前に亡くしたばかりであった。残された歯形を照合し、歯医者の通院歴から判定したものの、違和感はどこまでもつきまとっていた。
死体の処理が素人のそれだ。見つかった方が都合がよいと言わんばかりに。
「おそらくは、歯医者に残ってたっつぅ歯型の方が偽装だ。奴は大陸のやつらと一緒に、派手にとは言わないが着実に金を稼いで回っていた」
奴と繋がっていたと思しき関係者の名前を挙げた途端、左馬刻は眉を顰めた。数年前、左馬刻たちのシマで薬をばらまいた連中の関係者でもあったからだ。
「たかだか一端の売人を、死体を偽装してまで庇いたてる理由がわからん。ただ、こちらとしてはこれ以上ヤク漬けにして回られるのは困る」
「で、俺様の力を借りたいって?」
はん、と鼻で笑った左馬刻はしかし身を起こし、銃兎の目をまっすぐに見た。
「お気に入りの女のためか」
「なにより、その男はまだ生きていると確信しているのがその女なんだよ」
「なんだそりゃ」
「奴の左胸、ちょうど心臓の上あたりにほくろが二つ並んでいると話している。この饅頭には、それがねぇ」
その言葉を聞いた左馬刻はわずかに呆けたあと、声をあげて笑った。
「じゅ~とくんよぉ、テメェ、ひっでぇツラしてんぞ」