目が合った瞬間、余所行きの笑顔がぴしりと固まった。あまりにもあまりにもな反応に余計おかしくなってしまい、自分の笑顔がどんどんと深まったのが分かった。初めまして、と言った声が弾む。油の切れたブリキ人形のようにぎこちない彼女の表情は銃兎の視線をすべて奪い去り、その他すべてを遠くへと追いやった。



「……なにが欲しいんですか」
「後朝だというのに、ずいぶんとそっけないですねぇ」
「ふっっっっつうに怖いんですけど」
「なにがです？」
「……私にどうしてほしいんですか」
「だからなにが」

昨夜、おそらくはそれなりにおしゃれをして選んだのであろうワンピースを慌ただしく着、じりじりと銃兎から距離を取りながら、下着とストッキングを探している。彼女が目を覚ますより早く起床し、なんならシャワーさえ浴びた銃兎は部屋着のポケットに手を突っ込み、だらだらと歩く。それこそ、彼女と知り合った頃の若造のように。

「下着とストッキングなら洗濯中だ」
「ほんとに勘弁してください……」
「あのまま帰ったら、余計みじめな気分になって自己嫌悪に陥るだろ」
「………………」
「朝飯、あり合わせでよければ食べます？」
「…………食べます」

もちゃもちゃの頭のまま、低くにらみつけるようにして頷いた彼女は確かに、自分と同じだけ年を取っているのは間違いないのに、どうしてかあの時と変わらないような気がして、ハハ、と上機嫌な笑い声がこぼれた。