変わり目
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突然やってきた寒さは羽織っていたカーディガンを沁みて霧絵の肌を粟立たせた。帰りに寄ったスーパーにて、風をしのげるあたたかさにほっと息を吐く。今晩の食事はどうしようか。夜になればもっと冷え込むだろう。あたたかいものを食べたい。煮物かスープ。家に残っている食材を思い浮かべ、思い立ってとあるコーナーへと立ち寄る。並ぶシチューのパッケージに、先日ドライカレーにするつもりで買った野菜をシチューにすることとした。
ブロッコリーを買い忘れ、余っているのは夏野菜である茄子。まぁ入れても良かろうと皮を剥いて炒めているところでぴろんとスマホが鳴った。一郎だ。霧絵の家に置いていったものが必要になったから、明日取りに行きたいということだった。スタンプで返事をして思う。一郎は滅多に霧絵の家に泊まらない。夕飯も家で食べることがほとんどだ。別に自分をないがしろにしているわけでも、建前としていっているわけでもなく、霧絵は弟よりも自分を優先する一郎は見たくない。高校生の時、霧絵が憧れた少年の姿が、一番格好良くあろうとするのが、彼の弟たちの前だった。彼が強くありたいのであれば、弟たちの前にいてほしい。ときおり、そうでない自分になりたいのならば、そのときに霧絵のところに来てほしい。
霧絵がひとり暮らしをはじめたばかりのころ、このアパートになにも残そうとしていなかった彼が、じわじわと、自分に物を預け、拠り所としようとしているさまを知ると、ほんの少しだけ心がじわじわととけていく。きょうの晩御飯はなに?返信をうちこんで、口元をほころばせながらスマホをポケットに突っ込んだ。
ブロッコリーを買い忘れ、余っているのは夏野菜である茄子。まぁ入れても良かろうと皮を剥いて炒めているところでぴろんとスマホが鳴った。一郎だ。霧絵の家に置いていったものが必要になったから、明日取りに行きたいということだった。スタンプで返事をして思う。一郎は滅多に霧絵の家に泊まらない。夕飯も家で食べることがほとんどだ。別に自分をないがしろにしているわけでも、建前としていっているわけでもなく、霧絵は弟よりも自分を優先する一郎は見たくない。高校生の時、霧絵が憧れた少年の姿が、一番格好良くあろうとするのが、彼の弟たちの前だった。彼が強くありたいのであれば、弟たちの前にいてほしい。ときおり、そうでない自分になりたいのならば、そのときに霧絵のところに来てほしい。
霧絵がひとり暮らしをはじめたばかりのころ、このアパートになにも残そうとしていなかった彼が、じわじわと、自分に物を預け、拠り所としようとしているさまを知ると、ほんの少しだけ心がじわじわととけていく。きょうの晩御飯はなに?返信をうちこんで、口元をほころばせながらスマホをポケットに突っ込んだ。
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