みつけた
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あ、にいちゃん。
かしましい光が宵の口を照らす頃、二郎は兄の姿をみとめた。二郎はバイト帰りの足を止め、その後ろ姿をよくよく観察した。兄は今朝、ただひとこと、遅くなる、とだけ言っていた。何かの依頼かもしれない。手伝えることなのか、そうでないのか。判断材料を集めようと、彼の動向を伺う。
ポケットに手を突っ込んだまま、兄はずんずんと人波を泳いでいく。信号前でスマホを取り出し、なにやら確認。青に変わったら、ちょっと駆け足で渡っていく。尾行まがいのことをしているのに気づかれぬ距離感を保って、二郎もまた追う。彼が立ち止まったのはコーヒーショップの軒下で、二郎もまた、その姿をみとめ、足を止めた。
柔らかなオレンジの光に照らされた姿。ぽちぽちとスマホを覗き込んでいるため、長い髪が肩から滑り落ちて、顔は少し翳っている。オーバーサイズのパーカーにショートパンツ。ふと顔を上げると、おそらくは、彼女も兄の姿を見つけたのだろう。ふわりと笑った。
駆け寄る兄が謝るように片手を立て、霧絵はゆるゆる首を振った。一郎は腕を伸ばし、霧絵の顔にでもかかっていたのだろう。長い髪をそっと梳いた。
そーいうやつだったんだ。
霧絵のことは前から知っている。けれど、兄とそういう関係に発展しているとは知らなかったし、一郎だって、これまでそんなことを匂わせもしなかった。
別に、二郎も、三郎も、もう子供ではない。晩飯くらいひとりでもふたりでも食べられるんだから、無理して健全な時間にお別れじゃなくてもいいのに。二人が並んで歩き始めたのを見つめてから、二郎は踵を返した。そーいう関係だったんだ。ざわざわと騒ぐ心は歩調を早め、顔に熱を集める。知らず緩んだ口元に、はやく三郎に言いたい、と思った。
かしましい光が宵の口を照らす頃、二郎は兄の姿をみとめた。二郎はバイト帰りの足を止め、その後ろ姿をよくよく観察した。兄は今朝、ただひとこと、遅くなる、とだけ言っていた。何かの依頼かもしれない。手伝えることなのか、そうでないのか。判断材料を集めようと、彼の動向を伺う。
ポケットに手を突っ込んだまま、兄はずんずんと人波を泳いでいく。信号前でスマホを取り出し、なにやら確認。青に変わったら、ちょっと駆け足で渡っていく。尾行まがいのことをしているのに気づかれぬ距離感を保って、二郎もまた追う。彼が立ち止まったのはコーヒーショップの軒下で、二郎もまた、その姿をみとめ、足を止めた。
柔らかなオレンジの光に照らされた姿。ぽちぽちとスマホを覗き込んでいるため、長い髪が肩から滑り落ちて、顔は少し翳っている。オーバーサイズのパーカーにショートパンツ。ふと顔を上げると、おそらくは、彼女も兄の姿を見つけたのだろう。ふわりと笑った。
駆け寄る兄が謝るように片手を立て、霧絵はゆるゆる首を振った。一郎は腕を伸ばし、霧絵の顔にでもかかっていたのだろう。長い髪をそっと梳いた。
そーいうやつだったんだ。
霧絵のことは前から知っている。けれど、兄とそういう関係に発展しているとは知らなかったし、一郎だって、これまでそんなことを匂わせもしなかった。
別に、二郎も、三郎も、もう子供ではない。晩飯くらいひとりでもふたりでも食べられるんだから、無理して健全な時間にお別れじゃなくてもいいのに。二人が並んで歩き始めたのを見つめてから、二郎は踵を返した。そーいう関係だったんだ。ざわざわと騒ぐ心は歩調を早め、顔に熱を集める。知らず緩んだ口元に、はやく三郎に言いたい、と思った。
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