ONE PIECE
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時刻は午前二時過ぎ。ベッドサイドに置いた時計を見てため息をつく。
この一週間、ずっと眠れないなら日が続いている。理由は明白、私がここ に補佐として配属してからである。
元々私は海軍で少佐を勤めていたのだけれど、CP9の人手不足により駆り出されたのだ。そんなの私じゃなくてもと思ったが、上層部での決定事項とあらば仕方がない。資本主義の根幹である。
(睡眠導入剤でも買ってくれば良かったかも……)
別に寝室が騒がしいというわけではない。むしろ、防音壁が入ったこの個室は静かすぎるぐらいだった。
環境の変化で眠れなくなるほどデリケートではないと思っていたのだが、暗殺機関なんて寝ている間に殺されるんじゃないかと思うと全くもって気が休まらない。
いっそ眠りに落ちることを諦めて上半身を起き上がると、サイドボードに置いてある読みかけだった本を膝上に広げた。少しでも気を紛らわしてしまおう。
ぱらぱらとページを捲った瞬間、
「眠れないのか?」
「ひ、っ!?」
突然かかった声に、思わず肩が跳ねる。
本から顔をあげて真っ先に目が合った白い鳩が、思いの外近いことに驚いた。扉の開いた音も足音もしなかったはずなのに、本当にここの人たちは気配を消して近づくのが上手い。特に彼は。もしかしてあれか、癖になってんだ、気配を殺して歩くの、っていう厨二タイプの人。
「え、えぇと……はい」
動揺しながらも返答をする。何かの用事だろうか。
同じ階とはいえ、わざわざ一介の補佐役の部屋に来るほど暇じゃないだろうし、もしかしてうるさかったとかかな。そんなに騒いでいたつもりはないんだけれど、人の気配に機敏な彼のことだ。もしかしたら私が思っているより耳障りに感じていたのかもしれない。
「あの、すみません。何か用事でも」
「いや。少し寄っただけだ」
暇人。そんな二文字が頭を過る。
「そ、そうですか」
「ここは一週間もろくに寝られていない奴が付いてこれるほど甘くはないからな」
その言葉に目を見開く。
「え、なんで知って……」
「見れば分かる」
そんなに疲れた顔してたんだろうか。ぺたぺたと頬を触れば、馬鹿を見る目をされた。ひどい。いつの間にやらベッドの脇に座ったルッチさんが、膝の上の本を取り上げる。
「寝れねェときに頭を働かせるな。余計に寝れなくなる」
「でも、やることなくって」
「寝ろ」
それができれば苦労しないんだけど。不満そうな私を見透かしたように、ルッチさんはため息をついた。
「眠れないなら俺を呼べ。話し相手ぐらいにはなってやる」
「えっ、は……はあ!?」
「なんだ、不満そうだな」
「い、いやいやいや、不満とかじゃなくて。そんな、迷惑なことは」
仮にもCP9の纏め役みたいな人に、夜話に付き合えとか恐れ多すぎる。だってそれってつまりその時間はルッチさんも眠れないってことだし。それともあれかな、永遠に眠らせてやろう的な。
「お前に倒れられる方が迷惑だ」
冷徹なルッチさんにはあまりに似つかわしい言葉に動揺を隠せない。え、これってデレだよね? ルッチさんツンデレだったの、知らなかった。ここに来て上司の知りたくなかった情報手に入れちゃったよ。
「もしかして変なものでも食べました? 豹だからって拾い食いは良くな」
「バカヤロウ、永遠に眠らせてやろうか」
「あっ、いつものルッチさんだ」
人殺しそうな目をしてる。あっちょっとやめて、指銃しないで死んじゃう。
「だが、今日はもう遅いからな」
言うが早いが、ひょいと毛布を捲るとその中に潜り込んできた。
「え、っあの……!?」
突然の行動にあたふたする私を一瞥すると、隣に寝転がる。確かにここのベッド広いけど。いやいやそういう問題じゃないでしょ。
「寝るぞ」
「え」
この状況で?
そんな私の意見など無視だというように、ベッドに引きずり込まれて、あっという間にルッチさんの腕の中。め、目の前に胸板があるんですけど。きちんと鍛えてるんだろうな、筋肉が硬い。
「少しは寝れるだろ」
安心させるように頭を撫でられて、予想以上に優しい手つきに少し驚く。冷たい人だとばかり思っていたけれど、ちょっと撤回しよう。
(あ、ねむくなってきたかも……)
ふわり、と意識がとろける感覚。
思いの外暖かい体温に抱き締められながら、久し振りに眠りに落ちた。
──随分無防備な奴だな
(薄れる意識で、そう聞こえたような気がした)
この一週間、ずっと眠れないなら日が続いている。理由は明白、私が
元々私は海軍で少佐を勤めていたのだけれど、CP9の人手不足により駆り出されたのだ。そんなの私じゃなくてもと思ったが、上層部での決定事項とあらば仕方がない。資本主義の根幹である。
(睡眠導入剤でも買ってくれば良かったかも……)
別に寝室が騒がしいというわけではない。むしろ、防音壁が入ったこの個室は静かすぎるぐらいだった。
環境の変化で眠れなくなるほどデリケートではないと思っていたのだが、暗殺機関なんて寝ている間に殺されるんじゃないかと思うと全くもって気が休まらない。
いっそ眠りに落ちることを諦めて上半身を起き上がると、サイドボードに置いてある読みかけだった本を膝上に広げた。少しでも気を紛らわしてしまおう。
ぱらぱらとページを捲った瞬間、
「眠れないのか?」
「ひ、っ!?」
突然かかった声に、思わず肩が跳ねる。
本から顔をあげて真っ先に目が合った白い鳩が、思いの外近いことに驚いた。扉の開いた音も足音もしなかったはずなのに、本当にここの人たちは気配を消して近づくのが上手い。特に彼は。もしかしてあれか、癖になってんだ、気配を殺して歩くの、っていう厨二タイプの人。
「え、えぇと……はい」
動揺しながらも返答をする。何かの用事だろうか。
同じ階とはいえ、わざわざ一介の補佐役の部屋に来るほど暇じゃないだろうし、もしかしてうるさかったとかかな。そんなに騒いでいたつもりはないんだけれど、人の気配に機敏な彼のことだ。もしかしたら私が思っているより耳障りに感じていたのかもしれない。
「あの、すみません。何か用事でも」
「いや。少し寄っただけだ」
暇人。そんな二文字が頭を過る。
「そ、そうですか」
「ここは一週間もろくに寝られていない奴が付いてこれるほど甘くはないからな」
その言葉に目を見開く。
「え、なんで知って……」
「見れば分かる」
そんなに疲れた顔してたんだろうか。ぺたぺたと頬を触れば、馬鹿を見る目をされた。ひどい。いつの間にやらベッドの脇に座ったルッチさんが、膝の上の本を取り上げる。
「寝れねェときに頭を働かせるな。余計に寝れなくなる」
「でも、やることなくって」
「寝ろ」
それができれば苦労しないんだけど。不満そうな私を見透かしたように、ルッチさんはため息をついた。
「眠れないなら俺を呼べ。話し相手ぐらいにはなってやる」
「えっ、は……はあ!?」
「なんだ、不満そうだな」
「い、いやいやいや、不満とかじゃなくて。そんな、迷惑なことは」
仮にもCP9の纏め役みたいな人に、夜話に付き合えとか恐れ多すぎる。だってそれってつまりその時間はルッチさんも眠れないってことだし。それともあれかな、永遠に眠らせてやろう的な。
「お前に倒れられる方が迷惑だ」
冷徹なルッチさんにはあまりに似つかわしい言葉に動揺を隠せない。え、これってデレだよね? ルッチさんツンデレだったの、知らなかった。ここに来て上司の知りたくなかった情報手に入れちゃったよ。
「もしかして変なものでも食べました? 豹だからって拾い食いは良くな」
「バカヤロウ、永遠に眠らせてやろうか」
「あっ、いつものルッチさんだ」
人殺しそうな目をしてる。あっちょっとやめて、指銃しないで死んじゃう。
「だが、今日はもう遅いからな」
言うが早いが、ひょいと毛布を捲るとその中に潜り込んできた。
「え、っあの……!?」
突然の行動にあたふたする私を一瞥すると、隣に寝転がる。確かにここのベッド広いけど。いやいやそういう問題じゃないでしょ。
「寝るぞ」
「え」
この状況で?
そんな私の意見など無視だというように、ベッドに引きずり込まれて、あっという間にルッチさんの腕の中。め、目の前に胸板があるんですけど。きちんと鍛えてるんだろうな、筋肉が硬い。
「少しは寝れるだろ」
安心させるように頭を撫でられて、予想以上に優しい手つきに少し驚く。冷たい人だとばかり思っていたけれど、ちょっと撤回しよう。
(あ、ねむくなってきたかも……)
ふわり、と意識がとろける感覚。
思いの外暖かい体温に抱き締められながら、久し振りに眠りに落ちた。
──随分無防備な奴だな
(薄れる意識で、そう聞こえたような気がした)