弐刻
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼の人物の荷物だというものを見分していた。珍妙な仕掛けの袋の中からはどれもこれも見たことの無い物ばかりが出てくる。着物と思しきものはどちらかと言えば南蛮の物に近く、手拭いの様な布は、しかし毛皮のように毛が長い。別の包には包帯だろう物が入っており、他も治療のための物なのだろうと見当が付いたが、それ以外の包の中身は見たことがなく。黒い皮で出来た平たくて長細い四角形の物体の中には薄くて小さく丸い金属でできているであろう物、銭のように見えるが、これも見たとことがない。更に共に入っていた何者かの肖像が描かれた紙も初めて見るもので。透明な液体の入った筒に至っては一体何で出来ているのか。何かの膜に包まれた五つほどの小箱には異国の文字であろう物が記されていて、読める箇所に目を通すとどうやら煙草らしいということは分かった。
ついつい中身を穿り返してしまった。他者の荷物だというのに、好奇心が勝ってしまったのだ。
大人も子供も関係なく観察していると、彼の人物から今は何年だと問い掛けがあった。それに答えると次はその前は何かなどと問われ答えると、反応がなくなった。
顔を伏せているため分かりにくいが、随分と顔色が悪い。なんでもないような振る舞いをしていたが、冷たい川に浸かっていたのだ、体調を崩すのは当然のことで。
荒い呼吸と身体の震え。何度も呼びかけるがやはり反応は返ってこず、ぐらりとその身体が倒れた。頭を打つ前に土井が支えたが、触れた額は酷く熱かった。
このままではいけないと山田と土井はこの人物を保護することを決めた。身元も何も分からないが、忍者に追われたと聞いては放っておけず。距離と時間を考えると、学園に戻るのが最適と思われた。山田が一足先に戻り、土井が彼の人を連れて帰ることとし、子供たちは土井に付いて行くことになった。
確認の結果、特に危険な物は無いとして荷物は山田が運ぶことに。学園での状況説明の際にも役立つだろう。
だがその前に。先程の話の真偽を図るために一度彼の人物が人に追われたと言う辺りを調べることになる。多少の遠回りにはなるが、それ自体はどうと言うことはなかった。
藪の中へ消える山田の背中を見送りながら、土井も彼の人物を背負い子供たちを連れて元来た道を急ぎ戻った。担いだ際に一瞬よぎった違和感には今は目を瞑る。
ぐったりとして動かない彼の人物に子供達も心配そうにしていた。
子供たちの足並みを見つつ、病人への負担にならないように早足で山を下る土井の歩に合わせて、固く握り込まれた両手が脇に垂れて揺れていた。
ついつい中身を穿り返してしまった。他者の荷物だというのに、好奇心が勝ってしまったのだ。
大人も子供も関係なく観察していると、彼の人物から今は何年だと問い掛けがあった。それに答えると次はその前は何かなどと問われ答えると、反応がなくなった。
顔を伏せているため分かりにくいが、随分と顔色が悪い。なんでもないような振る舞いをしていたが、冷たい川に浸かっていたのだ、体調を崩すのは当然のことで。
荒い呼吸と身体の震え。何度も呼びかけるがやはり反応は返ってこず、ぐらりとその身体が倒れた。頭を打つ前に土井が支えたが、触れた額は酷く熱かった。
このままではいけないと山田と土井はこの人物を保護することを決めた。身元も何も分からないが、忍者に追われたと聞いては放っておけず。距離と時間を考えると、学園に戻るのが最適と思われた。山田が一足先に戻り、土井が彼の人を連れて帰ることとし、子供たちは土井に付いて行くことになった。
確認の結果、特に危険な物は無いとして荷物は山田が運ぶことに。学園での状況説明の際にも役立つだろう。
だがその前に。先程の話の真偽を図るために一度彼の人物が人に追われたと言う辺りを調べることになる。多少の遠回りにはなるが、それ自体はどうと言うことはなかった。
藪の中へ消える山田の背中を見送りながら、土井も彼の人物を背負い子供たちを連れて元来た道を急ぎ戻った。担いだ際に一瞬よぎった違和感には今は目を瞑る。
ぐったりとして動かない彼の人物に子供達も心配そうにしていた。
子供たちの足並みを見つつ、病人への負担にならないように早足で山を下る土井の歩に合わせて、固く握り込まれた両手が脇に垂れて揺れていた。
