帰ってきました
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塀の向こうへと消えたコマツは日が暮れても帰ってこなかった。これはいよいよマジで腹を括っておかなければいけない。残りのキャットフードどうしよう。
たった半日で大げさかもしれない。けれどもう、コマツはそれほど大切な『家族』になっていた。
「コマツー……」
ああ、あの温もりが恋しい。ホントに、連れて帰るんじゃなかった。ほんの一週間前の生活に戻っただけなのに、寂しくて堪らない。いつ帰ってきても良いようにあの窓は少し開けてある。夕飯は食べちゃったし、お風呂にも入った。もうすることが無くてソファの上でクッションを抱えてじっとしていた。
もう寝てしまおうか。でも明日も休みだし、別に早く寝る必要はない。けれどこうして何もしないで居ることがとてつもなく寂しい。相当重傷だ。結局のところ、動く気力さえなくて体勢は変わらないのだけど。
にゃぅにゃ……
「……!」
不意に聞こえた変な猫の鳴き声に、勢い良く立ち上がりすぎて危うく滑って転びそうになった。庭の方へ耳を澄ませてみるとガサリと葉の揺れる音。窓から顔を出して庭を見れば、イチジクの木が揺れていた。
「……コマツ?」
「にゃぁ」
姿を現したのは、間違いなくコマツだった。あの富士額を見間違えるはずがない。途端に、ホッとした。ああ、帰ってきてくれたんだと。
「……おかえり、コマツ」
「にゃぁー」
堪らずコマツを抱きしめた。あー、温かい……。
「……ん?」
暗がりの中で光る目玉。ありゃ? もう一匹いた?
「コマツの友達? こっちおいで」
漏れた部屋の明かりに照らされて、もう一匹の猫の姿か現れた。コマツよりはるかに身体の大きい猫だ。え、友達? 師弟とかじゃなく? ……まぁいいや。多分兄貴分とかそんなんだきっと。
用意していたタオルでコマツの足の裏を拭いてやる。思ったより綺麗だった。
「キミもあがる?」
聞くと、一声鳴いて前足を掛けてきた。あがりたいという意思表示と見た。
「じゃあ足の裏拭かせてね」
前足を一本ずつとって裏を拭く。案外大人しくしてるもんだな。見た目結構がっしり系なんだけど。続いて後ろ足。同様に片方ずつ拭く。
「はい終わり」
窓を閉めてタオルを洗濯機へポーイ。部屋に戻ると大きい猫君がコマツのえさを食べていた。おいおいコマツ、良いのかそれで。やっぱ兄貴には譲らなきゃいけないの?でもこのままではコマツがご飯を食べられないので、食器棚から手頃な皿を探す。―――プラスチック製のどんぶりが出て来た。これで良いかな。適当にキャットフードを入れてコマツの側へ持っていく。
「ホラ、コマツ。お食べ」
ところがコマツはいっこうに食べようとしない。えさ入れが変わったくらいで食べなくなるような神経質なコだったかな。
そうこうしている内にえさ入れの中身を平らげた猫君がどんぶりのえさを食べ始めた。なんて食欲か。確かに身体大きいけどさ。食べる前にコマツとアイコンタクトをとっていたように見えたのは気のせいだろうか。
だが私だって諦めない。なんとしてもコマツに食べさせてやる。再びコマツのえさ入れに適量を入れ、置いておく。今度はちゃんと食べるコマツ。やっぱりえさ入れなのか?まぁ、食べてるから良いか。
帰ってきてくれたって事は、ここを家だと思ってくれてるんだろうか。そうだったら嬉しい。
黙々と食べている二匹を見て、やっと肩の力が抜けたのだった。
たった半日で大げさかもしれない。けれどもう、コマツはそれほど大切な『家族』になっていた。
「コマツー……」
ああ、あの温もりが恋しい。ホントに、連れて帰るんじゃなかった。ほんの一週間前の生活に戻っただけなのに、寂しくて堪らない。いつ帰ってきても良いようにあの窓は少し開けてある。夕飯は食べちゃったし、お風呂にも入った。もうすることが無くてソファの上でクッションを抱えてじっとしていた。
もう寝てしまおうか。でも明日も休みだし、別に早く寝る必要はない。けれどこうして何もしないで居ることがとてつもなく寂しい。相当重傷だ。結局のところ、動く気力さえなくて体勢は変わらないのだけど。
にゃぅにゃ……
「……!」
不意に聞こえた変な猫の鳴き声に、勢い良く立ち上がりすぎて危うく滑って転びそうになった。庭の方へ耳を澄ませてみるとガサリと葉の揺れる音。窓から顔を出して庭を見れば、イチジクの木が揺れていた。
「……コマツ?」
「にゃぁ」
姿を現したのは、間違いなくコマツだった。あの富士額を見間違えるはずがない。途端に、ホッとした。ああ、帰ってきてくれたんだと。
「……おかえり、コマツ」
「にゃぁー」
堪らずコマツを抱きしめた。あー、温かい……。
「……ん?」
暗がりの中で光る目玉。ありゃ? もう一匹いた?
「コマツの友達? こっちおいで」
漏れた部屋の明かりに照らされて、もう一匹の猫の姿か現れた。コマツよりはるかに身体の大きい猫だ。え、友達? 師弟とかじゃなく? ……まぁいいや。多分兄貴分とかそんなんだきっと。
用意していたタオルでコマツの足の裏を拭いてやる。思ったより綺麗だった。
「キミもあがる?」
聞くと、一声鳴いて前足を掛けてきた。あがりたいという意思表示と見た。
「じゃあ足の裏拭かせてね」
前足を一本ずつとって裏を拭く。案外大人しくしてるもんだな。見た目結構がっしり系なんだけど。続いて後ろ足。同様に片方ずつ拭く。
「はい終わり」
窓を閉めてタオルを洗濯機へポーイ。部屋に戻ると大きい猫君がコマツのえさを食べていた。おいおいコマツ、良いのかそれで。やっぱ兄貴には譲らなきゃいけないの?でもこのままではコマツがご飯を食べられないので、食器棚から手頃な皿を探す。―――プラスチック製のどんぶりが出て来た。これで良いかな。適当にキャットフードを入れてコマツの側へ持っていく。
「ホラ、コマツ。お食べ」
ところがコマツはいっこうに食べようとしない。えさ入れが変わったくらいで食べなくなるような神経質なコだったかな。
そうこうしている内にえさ入れの中身を平らげた猫君がどんぶりのえさを食べ始めた。なんて食欲か。確かに身体大きいけどさ。食べる前にコマツとアイコンタクトをとっていたように見えたのは気のせいだろうか。
だが私だって諦めない。なんとしてもコマツに食べさせてやる。再びコマツのえさ入れに適量を入れ、置いておく。今度はちゃんと食べるコマツ。やっぱりえさ入れなのか?まぁ、食べてるから良いか。
帰ってきてくれたって事は、ここを家だと思ってくれてるんだろうか。そうだったら嬉しい。
黙々と食べている二匹を見て、やっと肩の力が抜けたのだった。