元気になりました
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コマツを助けてからおよそ一週間、彼は本当に良い子だった。エリザベスカラーを付けられているから相当ストレスが溜まっているはずだが、実に聞き分けがよかった。トイレもすぐに覚えてくれた。簡易トイレは一日でお役後免になったが、砂を入れるタイプの新しいトイレもちゃっんと使っている。ただ気になるのは、どうもトイレを我慢している節があること。トイレの方をちらちら見るのだが使う様子はない。そしてしばらくしてダッシュで駆け込んでいる。我慢はよくないぞ、コマツ。動物としての本能とかもあるんだろうけどさ、我慢はよくない。
怪我の方もすっかり良くなってもうカラーも包帯も取れた。新たに購入したおもちゃに元気に飛びついて遊んでいる。もう、全快だ。外へ出しても問題ないだろう。そう考えると心の中を冷たい風が吹き抜ける。
一週間。情が移るには十分すぎる時間だ。
朝っぱらからリビングのフローリングの上を駆け回るコマツ。滑って走りにくいだろうに。時々滑ってバランスを崩し、それでも走り回るコマツを見ていると自然に頬が緩む。ああ可愛い。
このままずっと、この家で世話をしたいと思う。思ってしまう。彼が、コマツがそれを望んでいるのかは分からない。もしかしたら外に出たいと思っているかも。出来ればホンニンの望むようにしてあげたい。
走り回ることに疲れたのか、コマツは私の隣で大人しくなった。私はコマツを持ち上げ三角座りした足の上に乗せた。不思議そうにこちらを見上げるコマツの顔がおかしくて、つい吹き出してしまう。
「―――ねぇコマツ。外に出たいとか思わない?」
「……」
返事は返ってこない。
「あんな事もあったし、まだ怖いかな? でも、出たい時はいつでも行っていいんだからね」
「みぃ……」
コマツは困ったように鳴いていた。
今日はバイトも休みだし、溜まっていた家事をしつつ一日コマツを構う気でいた。
まずは洗濯物の山から片付けることにした。洗い終わった大量の洗濯物を庭の物干しに運ぶ。庭に続くガラス窓を開けるとコマツがあとを付いてきた。
「お、コマツも来る?」
一面天然芝の我が家の庭。周りには樹木やら花やら植えてある。おかげで維持が大変で大変で。でもまぁ、ちょっとした自慢ではある。
「どう? ウチの庭。悪くないでしょ?」
「にゃぁ」
心なしかコマツも気持ちよさそうにしている。
一通り庭の中を回ったコマツは、隅に生えているイチジクの木に登った。そして木を伝い塀に上がってしまった。
「あ・・・・」
このまま外へ出てしまうのかそう思った時、心臓の辺りがひやりとした。
私に、コマツを束縛する権利はない。そもそも誰かに飼われていたのかもしれないのだ。元々飼い主が居て、そちらの家に帰りたいのかもしれない。コマツがそうしたいなら、それでいいじゃないか。
寂しさを感じながら自分にそう言い聞かせて、出来るだけ平静を装った。
「・・・・今度は、怪我しないようにね」
コマツはしばらくこちらを見て、スルリと塀の向こうへ消えていった。
もう帰ってこないかもしれない。その可能性が胸を抉る。
ああまったく、連れて帰らなきゃよかった・・・・。
怪我の方もすっかり良くなってもうカラーも包帯も取れた。新たに購入したおもちゃに元気に飛びついて遊んでいる。もう、全快だ。外へ出しても問題ないだろう。そう考えると心の中を冷たい風が吹き抜ける。
一週間。情が移るには十分すぎる時間だ。
朝っぱらからリビングのフローリングの上を駆け回るコマツ。滑って走りにくいだろうに。時々滑ってバランスを崩し、それでも走り回るコマツを見ていると自然に頬が緩む。ああ可愛い。
このままずっと、この家で世話をしたいと思う。思ってしまう。彼が、コマツがそれを望んでいるのかは分からない。もしかしたら外に出たいと思っているかも。出来ればホンニンの望むようにしてあげたい。
走り回ることに疲れたのか、コマツは私の隣で大人しくなった。私はコマツを持ち上げ三角座りした足の上に乗せた。不思議そうにこちらを見上げるコマツの顔がおかしくて、つい吹き出してしまう。
「―――ねぇコマツ。外に出たいとか思わない?」
「……」
返事は返ってこない。
「あんな事もあったし、まだ怖いかな? でも、出たい時はいつでも行っていいんだからね」
「みぃ……」
コマツは困ったように鳴いていた。
今日はバイトも休みだし、溜まっていた家事をしつつ一日コマツを構う気でいた。
まずは洗濯物の山から片付けることにした。洗い終わった大量の洗濯物を庭の物干しに運ぶ。庭に続くガラス窓を開けるとコマツがあとを付いてきた。
「お、コマツも来る?」
一面天然芝の我が家の庭。周りには樹木やら花やら植えてある。おかげで維持が大変で大変で。でもまぁ、ちょっとした自慢ではある。
「どう? ウチの庭。悪くないでしょ?」
「にゃぁ」
心なしかコマツも気持ちよさそうにしている。
一通り庭の中を回ったコマツは、隅に生えているイチジクの木に登った。そして木を伝い塀に上がってしまった。
「あ・・・・」
このまま外へ出てしまうのかそう思った時、心臓の辺りがひやりとした。
私に、コマツを束縛する権利はない。そもそも誰かに飼われていたのかもしれないのだ。元々飼い主が居て、そちらの家に帰りたいのかもしれない。コマツがそうしたいなら、それでいいじゃないか。
寂しさを感じながら自分にそう言い聞かせて、出来るだけ平静を装った。
「・・・・今度は、怪我しないようにね」
コマツはしばらくこちらを見て、スルリと塀の向こうへ消えていった。
もう帰ってこないかもしれない。その可能性が胸を抉る。
ああまったく、連れて帰らなきゃよかった・・・・。