季節ss
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いつものように仕事を終えて家路につく。商店はもとより、一般の住宅も一週間、いや二週間くらい前かな、からすっかりクリスマスモードだ。今日は24日ということで、華やかさもピークを迎えている。この国ってイヴがメインイベントって感じだもんね。何故だろう。
私はというと盛り上がる世間とは裏腹にいたって『いつも通り』である。基本的にこの手のイベントには参加しなかったから、今まで。楽しみ方もテンションの加減も、今一つよく分からない。まあ、ケーキくらいは買って帰ろうかなぁ。
帰り道から少しそれて、洋菓子店に足を運んだ。……うーん、さすがにお客さん多いなぁ。出遅れた感。おそらく予約したケーキを取りにきたであろう人達の邪魔にならないよう、隅のほうを歩いて商品に目をやる。ふと、ショーケース内のポップに目がいった。
『ネコちゃんワンちゃんも安心素材。大切な家族みんなで美味しいケーキを』
ハロウィンの時もそうだったけど、ここのお店はいわゆる『ペット向け』商品充実してるんだよね。試食もあるし。
『家族全員』同じものを食べられるって言うのは、すごく嬉しい。というわけで、『にゃんこと一緒ケーキ』を試食。ショーケースに並べられた1ホールのケーキは、人間用のものと変わらない見た目をしている。味も、特別薄いとか、物足りないとは思わない。むしろ、甘さが控えられているのであっさりしていて、個人的にはこのほうが好みかもしれない。これだったらみんなで一緒に食べられるし、いいよね。
丁度お客さんの波が引いてきたところを見計らい、5号のホールを一つ買った。フルーツがてんこ盛りの。ケーキの入った箱を受け取って、不要に揺らさないよう気を付けながら再び帰宅の途に就いた。
家に着いてリビングに入ると、案の定私の手にある白い箱とそこから洩れる甘い匂いに気付いてみんな寄ってきた。
「ただいまー。ケーキ買って来たよ。みんなで食べよ?」
しゃがんでそう言えば、あからさまにトリコのテンションが上がった。ゼブラの瞳孔も丸くなってるし、コマツも嬉しそうにしてくれた。ココもサニーも、目立ってはしゃいだりはしてないけど尻尾はまっすぐだ。
「でも、まずはご飯だねー。ケーキあるから、少な目でいいよね?」
「ニャゥッ⁉」
「食べ過ぎになっちゃうから、減らそうね」
ご飯が減ると知り、トリコはがくりと項垂れてしまった。ゼブラも不満そうにしている。ごめんね、でもみんなの身体が心配なんだよ。絶対カロリー高いだろうし。項垂れる姿が可愛いなんて思ったことは謝るから。心の中で。
夕飯を済ませ冷蔵庫にしまった箱を取り出した。多分潰れてはいないはずだけど。開けてケーキを取り出すと、ふんだんに盛られていたフルーツが一つ二つ落ちていたがそれ以外は特に変形もしていなかった。
「よし、では切ります。」
とりあえず、まずは自分用に少し。45度位。で。それを切り分けてふと思った。この後はどう分けよう。約二名、底なしのような食欲をお持ちだが、さて困った。どれくらいが適量だろうね。あんまり待たせると催促がきそうだし。
「……えーと。ああそうだ。」
均等に分けちゃえ。同じ大きさなら喧嘩もしないでしょ。
そうと決まれば……。
サクッとケーキを切り分けて残りを再び冷蔵庫にしまい、リビングテーブルのほうへ持っていく。テーブルの周りにみんながわらわら集まってきた。かわいいなぁ。お皿に乗せたケーキをみんなの前に置く。
「……どうぞ?」
一応、そう声を掛けてみたものの、何故だ。みんなこっちを見ていて食べようとしない。
「それ、みんなも食べられるやつだから大丈夫だよ? ……あ、もしかしてそういう系は嫌いな感じ?」
パウンドケーキみたいな方が良かったのかなぁ。だったら仕方ないよね。
「無理に食べなくてもいいよー。ホールケーキイッキ食いはできないけど何とかするから」
そう伝えると、にゃぁにゃぁ言いながらコマツが首を勢い良く横に振った。え、何その反応。……『違う』って言いたいの? その反応が一番びっくりしたよ。
まあそう言うんだったらそれでいいんだけどさ。とりあえず自分の分は食べよう。フォークを忘れていたことを思い出し、キッチンにそれを取りに行く。適当に一本手に取ってソファのほうへ。ケーキを手に腰を下ろした。
「いただきまーす」
尖ったほうをフォークで切って口へ運ぶ。シロップで煮られたりしていないカットしただけのフルーツの甘みと程よい酸味が広がった。クリームも甘すぎず、スポンジはふわふわだ。美味しい。紅茶かなんか欲しいなぁ、なんて考えているとみんながケーキを頬張っていた。
「おいしい?」
「ニャ!」
トリコからはっきりした返事が返ってきた。良かった良かった。
顔にクリームを付けながら食べるみんなの様子に笑いをこぼしながら、何年振りであろうクリスマスケーキを堪能したのだった。
Merry Christmas!
私はというと盛り上がる世間とは裏腹にいたって『いつも通り』である。基本的にこの手のイベントには参加しなかったから、今まで。楽しみ方もテンションの加減も、今一つよく分からない。まあ、ケーキくらいは買って帰ろうかなぁ。
帰り道から少しそれて、洋菓子店に足を運んだ。……うーん、さすがにお客さん多いなぁ。出遅れた感。おそらく予約したケーキを取りにきたであろう人達の邪魔にならないよう、隅のほうを歩いて商品に目をやる。ふと、ショーケース内のポップに目がいった。
『ネコちゃんワンちゃんも安心素材。大切な家族みんなで美味しいケーキを』
ハロウィンの時もそうだったけど、ここのお店はいわゆる『ペット向け』商品充実してるんだよね。試食もあるし。
『家族全員』同じものを食べられるって言うのは、すごく嬉しい。というわけで、『にゃんこと一緒ケーキ』を試食。ショーケースに並べられた1ホールのケーキは、人間用のものと変わらない見た目をしている。味も、特別薄いとか、物足りないとは思わない。むしろ、甘さが控えられているのであっさりしていて、個人的にはこのほうが好みかもしれない。これだったらみんなで一緒に食べられるし、いいよね。
丁度お客さんの波が引いてきたところを見計らい、5号のホールを一つ買った。フルーツがてんこ盛りの。ケーキの入った箱を受け取って、不要に揺らさないよう気を付けながら再び帰宅の途に就いた。
家に着いてリビングに入ると、案の定私の手にある白い箱とそこから洩れる甘い匂いに気付いてみんな寄ってきた。
「ただいまー。ケーキ買って来たよ。みんなで食べよ?」
しゃがんでそう言えば、あからさまにトリコのテンションが上がった。ゼブラの瞳孔も丸くなってるし、コマツも嬉しそうにしてくれた。ココもサニーも、目立ってはしゃいだりはしてないけど尻尾はまっすぐだ。
「でも、まずはご飯だねー。ケーキあるから、少な目でいいよね?」
「ニャゥッ⁉」
「食べ過ぎになっちゃうから、減らそうね」
ご飯が減ると知り、トリコはがくりと項垂れてしまった。ゼブラも不満そうにしている。ごめんね、でもみんなの身体が心配なんだよ。絶対カロリー高いだろうし。項垂れる姿が可愛いなんて思ったことは謝るから。心の中で。
夕飯を済ませ冷蔵庫にしまった箱を取り出した。多分潰れてはいないはずだけど。開けてケーキを取り出すと、ふんだんに盛られていたフルーツが一つ二つ落ちていたがそれ以外は特に変形もしていなかった。
「よし、では切ります。」
とりあえず、まずは自分用に少し。45度位。で。それを切り分けてふと思った。この後はどう分けよう。約二名、底なしのような食欲をお持ちだが、さて困った。どれくらいが適量だろうね。あんまり待たせると催促がきそうだし。
「……えーと。ああそうだ。」
均等に分けちゃえ。同じ大きさなら喧嘩もしないでしょ。
そうと決まれば……。
サクッとケーキを切り分けて残りを再び冷蔵庫にしまい、リビングテーブルのほうへ持っていく。テーブルの周りにみんながわらわら集まってきた。かわいいなぁ。お皿に乗せたケーキをみんなの前に置く。
「……どうぞ?」
一応、そう声を掛けてみたものの、何故だ。みんなこっちを見ていて食べようとしない。
「それ、みんなも食べられるやつだから大丈夫だよ? ……あ、もしかしてそういう系は嫌いな感じ?」
パウンドケーキみたいな方が良かったのかなぁ。だったら仕方ないよね。
「無理に食べなくてもいいよー。ホールケーキイッキ食いはできないけど何とかするから」
そう伝えると、にゃぁにゃぁ言いながらコマツが首を勢い良く横に振った。え、何その反応。……『違う』って言いたいの? その反応が一番びっくりしたよ。
まあそう言うんだったらそれでいいんだけどさ。とりあえず自分の分は食べよう。フォークを忘れていたことを思い出し、キッチンにそれを取りに行く。適当に一本手に取ってソファのほうへ。ケーキを手に腰を下ろした。
「いただきまーす」
尖ったほうをフォークで切って口へ運ぶ。シロップで煮られたりしていないカットしただけのフルーツの甘みと程よい酸味が広がった。クリームも甘すぎず、スポンジはふわふわだ。美味しい。紅茶かなんか欲しいなぁ、なんて考えているとみんながケーキを頬張っていた。
「おいしい?」
「ニャ!」
トリコからはっきりした返事が返ってきた。良かった良かった。
顔にクリームを付けながら食べるみんなの様子に笑いをこぼしながら、何年振りであろうクリスマスケーキを堪能したのだった。
Merry Christmas!