鍋でした
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仕事から帰って来てから、ごそごそとキッチンの棚の中を漁っていた。冬だから当然なのだが寒い日が続いているので、夕飯には温かいものが食べたくなった。いや、普段から食べるのは出来立てだから、もちろん温かいのだけど。もっと、ずっと熱々なもの。
材料は買ってきたのであとは調理器具が揃えばいいのだけど。さて、どこへしまっただろう。一年前のことが思い出せないなんて、ちょっと不味いかもしれない……。脳年齢が危ない。
「……あ。…………あれ、これじゃない」
新聞紙に包まれた物体が現れ、てっきり探しものかと思ったが、違った。私が今探しているのは一人用の土鍋。
でもこれは三人用。おかしいな、ここ数年こっちは使ってないはずなのに。どうして去年使ったはずの一人用より先に出てくるの。
一応、長い間放置していたこともあるので新聞紙を解いてみた。うん、特にひび割れとかカビとかもない、綺麗な状態だ。……これ、こんなに小さかったっけ。前は、もっと大きいような気がしてたけど。
「……まぁ、今は取りあえず置いといて……」
一人用は一体どこへ行ったの。でておいでー。ってか、でてきてくれないと私夕飯食べられない……。
ゴトッ
「ん? ……ありゃ。」
物音に振り向くと、ひとまず出しっぱなしで床に置いていた土鍋に、トリコがすっぽり収まっていた。これがあれか。『ねこ鍋』ってやつか。……トリコのおバカ! なんてことを‼
「トリコそのまま! お願いじっとしてて‼」
バタバタと慌ててケータイを取りに行く。少々乱暴にひっつかんでカメラ機能を起動させた。急いで元の位置まで戻って、ケータイをトリコに向ける。
「動かないでねー……!」
画面を覗いて、ここだ!と思ったところでシャッターを切る。ケータイから電子音が鳴った。
「……よっしゃっ」
満足のいく写真が取れて思わずガッツポーズ。可愛い――――ッ。
……はっ! にやけている場合じゃない。土鍋。私は夕飯を作りたいんだってば。
その後も心当たりを探して何とか土鍋の捜索に成功した。
ああ、これでやっとご飯食べられる。ほっとしていると後ろから争うような声がする。バッと振り向くと、相変わらずトリコが土鍋に納まっているにもかかわらず、サニーとゼブラが無理矢理身体を押し込もうとしていた。……その鍋に、一緒に入るのは無理だと思うよ。よく見ればひっくり返して置いてあった蓋にはコマツが乗っていて、ココがそれを傾かないよう押さえていた。ココってば紳士! ……じゃなくて。
「喧嘩しないでー」
押し合うさんにんにそう声を掛けると、ピタリと動きが止まった。……面白い。
「喧嘩してほしくて、そこに置いたわけじゃないんだよ?」
分かるよね? と問いかけると、耳がしゅんと下を向く。トリコは少し視線を逸らして、サニーは上目がちにこちらを見上げながら、ゼブラはプイッとそっぽを向いてしまったが、その耳の動きだけは同じだった。
「それが気に入ったんなら入ってたっていいけど、喧嘩だけはしないで、ね?」
そう言いながら順に頭を撫でてやると、分かってくれたのかそれぞれが一度ずつ鳴いた。うん、みんなの事信じてる。
「――よし、ゴハンにしようゴハン」
探していた鍋も見つかったし、ササッと用意して夕飯にしよう。その三人用の土鍋は、しばらく出しておくことにする。みんな気に入ってるみたいだから。
そしてようやく念願の鍋を食べることができた。
それからしばらく、みんなが代わる代わる鍋の中に入っているものだからケータイのメモリに写真が増える増える。まったく、癒されるったら!
材料は買ってきたのであとは調理器具が揃えばいいのだけど。さて、どこへしまっただろう。一年前のことが思い出せないなんて、ちょっと不味いかもしれない……。脳年齢が危ない。
「……あ。…………あれ、これじゃない」
新聞紙に包まれた物体が現れ、てっきり探しものかと思ったが、違った。私が今探しているのは一人用の土鍋。
でもこれは三人用。おかしいな、ここ数年こっちは使ってないはずなのに。どうして去年使ったはずの一人用より先に出てくるの。
一応、長い間放置していたこともあるので新聞紙を解いてみた。うん、特にひび割れとかカビとかもない、綺麗な状態だ。……これ、こんなに小さかったっけ。前は、もっと大きいような気がしてたけど。
「……まぁ、今は取りあえず置いといて……」
一人用は一体どこへ行ったの。でておいでー。ってか、でてきてくれないと私夕飯食べられない……。
ゴトッ
「ん? ……ありゃ。」
物音に振り向くと、ひとまず出しっぱなしで床に置いていた土鍋に、トリコがすっぽり収まっていた。これがあれか。『ねこ鍋』ってやつか。……トリコのおバカ! なんてことを‼
「トリコそのまま! お願いじっとしてて‼」
バタバタと慌ててケータイを取りに行く。少々乱暴にひっつかんでカメラ機能を起動させた。急いで元の位置まで戻って、ケータイをトリコに向ける。
「動かないでねー……!」
画面を覗いて、ここだ!と思ったところでシャッターを切る。ケータイから電子音が鳴った。
「……よっしゃっ」
満足のいく写真が取れて思わずガッツポーズ。可愛い――――ッ。
……はっ! にやけている場合じゃない。土鍋。私は夕飯を作りたいんだってば。
その後も心当たりを探して何とか土鍋の捜索に成功した。
ああ、これでやっとご飯食べられる。ほっとしていると後ろから争うような声がする。バッと振り向くと、相変わらずトリコが土鍋に納まっているにもかかわらず、サニーとゼブラが無理矢理身体を押し込もうとしていた。……その鍋に、一緒に入るのは無理だと思うよ。よく見ればひっくり返して置いてあった蓋にはコマツが乗っていて、ココがそれを傾かないよう押さえていた。ココってば紳士! ……じゃなくて。
「喧嘩しないでー」
押し合うさんにんにそう声を掛けると、ピタリと動きが止まった。……面白い。
「喧嘩してほしくて、そこに置いたわけじゃないんだよ?」
分かるよね? と問いかけると、耳がしゅんと下を向く。トリコは少し視線を逸らして、サニーは上目がちにこちらを見上げながら、ゼブラはプイッとそっぽを向いてしまったが、その耳の動きだけは同じだった。
「それが気に入ったんなら入ってたっていいけど、喧嘩だけはしないで、ね?」
そう言いながら順に頭を撫でてやると、分かってくれたのかそれぞれが一度ずつ鳴いた。うん、みんなの事信じてる。
「――よし、ゴハンにしようゴハン」
探していた鍋も見つかったし、ササッと用意して夕飯にしよう。その三人用の土鍋は、しばらく出しておくことにする。みんな気に入ってるみたいだから。
そしてようやく念願の鍋を食べることができた。
それからしばらく、みんなが代わる代わる鍋の中に入っているものだからケータイのメモリに写真が増える増える。まったく、癒されるったら!