月見しました
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いやまったく、便利な世の中になったものだね。……なんて言ってると年寄りくさいだろうか。まあ、その気になれば負担になるものを大分排除して生活できる世の中なのは確かだよね。思い立った時すぐに準備が整ったりするんだもの。
「よーし、でーきたっ」
お皿の上に団子を積んで完成。間に合った。
仕事中に『そうだ、お月見しよう』と思って帰りに商店街に寄ったら、“簡単お月見セット”なるものが売っていた。
飾りと、月見団子の材料とレシピのセット。おひとりさまから家族向けまで。出来上がった団子が付いてるセットもあった。おまけに月餅と小さいお酒も付いて来た。
帰って来てから、まず夕食を済ませて、それから団子作りに取り掛かり今に至る、と。今日は一日快晴で、雲がない。そんないい天気なら、せっかくだし、と思ったのだ。
お月見とは言うものの、おそらくというか絶対、正式なものではない。何が正式なのかも分からないけど。ま、やるにしてもやらないにしても、全て当人次第だし。どっちにしても意味があるのかって聞かれたら、私にはあまり意味はないし関係がない。人生なんてそんなもん。
庭へ出られるリビングの窓を開け、セットに入っていたススキやらを小さなテーブルの上に並べ飾った。団子を盛った皿を運んでいるとき、当然と言うか、トリコとゼブラが足元にまとわりつく。まあお待ちなさいおふたりさん。ちゃんとあげるから。お供えするのが先。
リビングの照明を消し、窓縁に座って空を見上げた。雲一つない夜空に、丸い月が輝いている。そういえば、改めて月を見るなんて初めてかもしれない。いつも何となく、不意にちらりと見るくらいだった。
こんなに明るいんだ、月って。まじまじと眺めていると、肩に頭に膝の上に、愛猫たちが乗ってきた。隣に座った黒い影も、もうこの際なので膝に乗せる。抵抗がないのでよしととる。みんなと静かに月を見る。ああ、悪くない、こういうのも。
どれくらい眺めていただろう、肩と後頭部から催促ともとれるアクションが起き始めたのでそろそろ団子を頂こうと思う。ピラミッド型に積み上げた団子を一つ取って、小さく引きちぎる。結構弾力があって大変だった。どうにかちぎって、その欠片を右肩に乗るトリコの口元に差し出す。やっぱりもっちりしている分歯にくっつくのか、ちゃしちゃし言いながら食べていた。そして早くよこせとゼブラに催促された。お待ちなさいって、ちゃんとあげるから。
「はい。」
頭の上とかぶっちゃけよく見えないんだけど。この辺かしらと目測で差し出したのだけど、どうやら食べられたようだ。再び団子を引きちぎる。……うーん、上手くいかない。ちぎる度大きさが変わる。ちっさ。コマツ食べるかな。
口元に持っていくと、すぐにぱくりと食い付いた。おお。よかった。そして左肩のサニーが前脚で私を叩いた。
「サニーも食べたいのねー。わかった、ちょっと待ってー」
またちぎって、差し出す。ぱく、とサニーの口の中へ消えていった。もう一度ちぎり、今度はココへ。
「食べる?」
手の平に乗せてココの前に出すと、今までとは違いおそるおそると言った様子で団子を口にした。飲み込んだ後にこちらを向いて「にゃー」と一声鳴いたので、口に合わないわけではないようだ。
まだ残っているちぎった団子を、もっととせがむ面々にあげた。自分でもひとつ、食べてみる。……ふむ、あんまり味しない。やっぱりセットに入ってたみたらしのたれとかあんことかつけた方がいいのかも。
ああ、それにしても。
「月が綺麗だねぇ、みんな。」
「よーし、でーきたっ」
お皿の上に団子を積んで完成。間に合った。
仕事中に『そうだ、お月見しよう』と思って帰りに商店街に寄ったら、“簡単お月見セット”なるものが売っていた。
飾りと、月見団子の材料とレシピのセット。おひとりさまから家族向けまで。出来上がった団子が付いてるセットもあった。おまけに月餅と小さいお酒も付いて来た。
帰って来てから、まず夕食を済ませて、それから団子作りに取り掛かり今に至る、と。今日は一日快晴で、雲がない。そんないい天気なら、せっかくだし、と思ったのだ。
お月見とは言うものの、おそらくというか絶対、正式なものではない。何が正式なのかも分からないけど。ま、やるにしてもやらないにしても、全て当人次第だし。どっちにしても意味があるのかって聞かれたら、私にはあまり意味はないし関係がない。人生なんてそんなもん。
庭へ出られるリビングの窓を開け、セットに入っていたススキやらを小さなテーブルの上に並べ飾った。団子を盛った皿を運んでいるとき、当然と言うか、トリコとゼブラが足元にまとわりつく。まあお待ちなさいおふたりさん。ちゃんとあげるから。お供えするのが先。
リビングの照明を消し、窓縁に座って空を見上げた。雲一つない夜空に、丸い月が輝いている。そういえば、改めて月を見るなんて初めてかもしれない。いつも何となく、不意にちらりと見るくらいだった。
こんなに明るいんだ、月って。まじまじと眺めていると、肩に頭に膝の上に、愛猫たちが乗ってきた。隣に座った黒い影も、もうこの際なので膝に乗せる。抵抗がないのでよしととる。みんなと静かに月を見る。ああ、悪くない、こういうのも。
どれくらい眺めていただろう、肩と後頭部から催促ともとれるアクションが起き始めたのでそろそろ団子を頂こうと思う。ピラミッド型に積み上げた団子を一つ取って、小さく引きちぎる。結構弾力があって大変だった。どうにかちぎって、その欠片を右肩に乗るトリコの口元に差し出す。やっぱりもっちりしている分歯にくっつくのか、ちゃしちゃし言いながら食べていた。そして早くよこせとゼブラに催促された。お待ちなさいって、ちゃんとあげるから。
「はい。」
頭の上とかぶっちゃけよく見えないんだけど。この辺かしらと目測で差し出したのだけど、どうやら食べられたようだ。再び団子を引きちぎる。……うーん、上手くいかない。ちぎる度大きさが変わる。ちっさ。コマツ食べるかな。
口元に持っていくと、すぐにぱくりと食い付いた。おお。よかった。そして左肩のサニーが前脚で私を叩いた。
「サニーも食べたいのねー。わかった、ちょっと待ってー」
またちぎって、差し出す。ぱく、とサニーの口の中へ消えていった。もう一度ちぎり、今度はココへ。
「食べる?」
手の平に乗せてココの前に出すと、今までとは違いおそるおそると言った様子で団子を口にした。飲み込んだ後にこちらを向いて「にゃー」と一声鳴いたので、口に合わないわけではないようだ。
まだ残っているちぎった団子を、もっととせがむ面々にあげた。自分でもひとつ、食べてみる。……ふむ、あんまり味しない。やっぱりセットに入ってたみたらしのたれとかあんことかつけた方がいいのかも。
ああ、それにしても。
「月が綺麗だねぇ、みんな。」