行ってみました
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暑い日が続き、そろそろ秋がきてくれないかと思い始めた。カレンダーに目をやって、ああ、もうすぐ涼しくなるだろうか、それともまだしばらく暑いんだろうかと考えた。
ふと、今日の日付を確認したら、地元のお祭りの開催日だということを思い出した。ああもうそんな時期ですか。
露店が出たりちょっとしたステージがあったりするくらいの、大きいとは言えない規模だけど、このお祭りは好きだ。ほとんどが地元の人達で企画運営されていて、他の町に行った人もこのお祭りに合わせて戻ってきたりする。
ふむ、ちょっと覗いてこようかな。毎年行ってたし。
「――ちょっと集合ー。」
ソファの上からみんなに向けて号令を出す。すごいことに、こんな風に号令を出すとみんなはその通り動いてくれる。特別教え込んだわけではないんだけどね。みんな賢い。
今回も、みんなソファの上に上がってきてくれた。嬉しい。
「これから、お祭りに行こうと思うのだけど。付いて来てくれるひとっ」
パンと一度腿を叩く。すると、バラバラと、前足を腿に乗せてくれる。一言鳴き声を添えてくれることもある。
最近定番になっているみんなの意思の確認方法。YESならば足を乗せる、NOなら何もしない。それで返事をしてもらっている。今回は全員が乗せてくれたけど、場合によっては返事が分かれることもあるのできちんと機能していると思っている。
「ははっ。全員参加ありがとうございます、なんてね。 ――準備するね」
みんな来てくれると言ってくれたのでいそいそと出かける準備をする。会場はそれほど遠くはないので、必要最小限のものだけを特大トートバッグに入れてソファの上に置いた。みんなのほうも慣れたもので、そうやって置いておくと勝手に入って待っていてくれる。その様がまた超可愛い。けしからんほどに。
戸締りチェックOK。電気とガスもよし。
「じゃ、行きますか」
バッグを肩にかけるとそれぞれの返事がして、また自然と笑顔なった。
お祭りの会場は商店街。そもそもこのお祭り、夏祭りと商店街の売り出しを同時にやっているようなもので、すんごく通りが賑やか。熱気は尋常ではない。
「みんな鞄から出ないでねー。迷子になっちゃうと、見つける自信ないからさ」
通りを順番に歩いて行く。メインステージ、広場、模擬店や屋台、各店舗の売り出しのワゴン等々。普段とは違う、様々なもので通りが埋め尽くされているこの光景が、私は嫌いじゃない。
屋台を順々に覗いていくと、良く知った顔が見えたので声を掛けた。
「あ!こんにちは」
たこ焼きの屋台に立っていた彼女はすぐに気づいてくれた。
特別に仲がいいというわけではないけど、歳が近いこともあってそれなりに親しくさせてもらっている。
世間話や軽い冗談は言い合える間柄だ。
「忙しそうですね」
「ええ、お陰様でー。焼いてもすぐストックなくなっちゃいます」
なんて言いながらも、彼女の表情は嬉しそうだ。
「だってここのたこ焼き美味しいもの」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
こうやって会話している間も、彼女の手は休むことなく鉄板の上のたこ焼きを反していく。その手つきたるや無駄がない。
かわいい顔して職人です。侮れない。
この、屋台周辺に漂うソースの匂いというのは食欲を刺激していけない。それは私に限ったことではないようで、バッグの中がごそごそ動き出している。そしてスポッと、隙間から顔を出した。
「わ。可愛い猫ちゃんですね!」
「ありがとう。ソースの匂いに誘われたかな……。……食べたいの?」
「ニャー」
トリコに尋ねれば返事が返ってきた。ついでに言えば、ゼブラがこちらをじっと見ている。
「どーしても、食べたいの?」
「ニャーッ」
「……ナゥ」
しばしにらめっこが続いた。でも、私が勝てたためしがない。
「―――仕方ないなぁ。忙しいところ申し訳ないんだけど、ネギ、たこ抜きでソース他トッピングなしを一ついただけません?」
結局私は愛猫たちに甘々です。出来るだけ害になりそうなものを抜いてもらうという我儘を、スッとしてしまうくらいに。
「はーい、お安いご用です。でも、焼き上がりまで時間かかりますから、よかったら後ろのベンチにでも座ってお待ちくださいな。もちろん、他のところ回って来ていただいても大丈夫ですよ」
そろそろ太鼓の演奏も始まりますし。それを聞いて、じゃあそれ聞いてきます、と焼き上がるのを待つ間の時間を潰すことにした。
ふと、今日の日付を確認したら、地元のお祭りの開催日だということを思い出した。ああもうそんな時期ですか。
露店が出たりちょっとしたステージがあったりするくらいの、大きいとは言えない規模だけど、このお祭りは好きだ。ほとんどが地元の人達で企画運営されていて、他の町に行った人もこのお祭りに合わせて戻ってきたりする。
ふむ、ちょっと覗いてこようかな。毎年行ってたし。
「――ちょっと集合ー。」
ソファの上からみんなに向けて号令を出す。すごいことに、こんな風に号令を出すとみんなはその通り動いてくれる。特別教え込んだわけではないんだけどね。みんな賢い。
今回も、みんなソファの上に上がってきてくれた。嬉しい。
「これから、お祭りに行こうと思うのだけど。付いて来てくれるひとっ」
パンと一度腿を叩く。すると、バラバラと、前足を腿に乗せてくれる。一言鳴き声を添えてくれることもある。
最近定番になっているみんなの意思の確認方法。YESならば足を乗せる、NOなら何もしない。それで返事をしてもらっている。今回は全員が乗せてくれたけど、場合によっては返事が分かれることもあるのできちんと機能していると思っている。
「ははっ。全員参加ありがとうございます、なんてね。 ――準備するね」
みんな来てくれると言ってくれたのでいそいそと出かける準備をする。会場はそれほど遠くはないので、必要最小限のものだけを特大トートバッグに入れてソファの上に置いた。みんなのほうも慣れたもので、そうやって置いておくと勝手に入って待っていてくれる。その様がまた超可愛い。けしからんほどに。
戸締りチェックOK。電気とガスもよし。
「じゃ、行きますか」
バッグを肩にかけるとそれぞれの返事がして、また自然と笑顔なった。
お祭りの会場は商店街。そもそもこのお祭り、夏祭りと商店街の売り出しを同時にやっているようなもので、すんごく通りが賑やか。熱気は尋常ではない。
「みんな鞄から出ないでねー。迷子になっちゃうと、見つける自信ないからさ」
通りを順番に歩いて行く。メインステージ、広場、模擬店や屋台、各店舗の売り出しのワゴン等々。普段とは違う、様々なもので通りが埋め尽くされているこの光景が、私は嫌いじゃない。
屋台を順々に覗いていくと、良く知った顔が見えたので声を掛けた。
「あ!こんにちは」
たこ焼きの屋台に立っていた彼女はすぐに気づいてくれた。
特別に仲がいいというわけではないけど、歳が近いこともあってそれなりに親しくさせてもらっている。
世間話や軽い冗談は言い合える間柄だ。
「忙しそうですね」
「ええ、お陰様でー。焼いてもすぐストックなくなっちゃいます」
なんて言いながらも、彼女の表情は嬉しそうだ。
「だってここのたこ焼き美味しいもの」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
こうやって会話している間も、彼女の手は休むことなく鉄板の上のたこ焼きを反していく。その手つきたるや無駄がない。
かわいい顔して職人です。侮れない。
この、屋台周辺に漂うソースの匂いというのは食欲を刺激していけない。それは私に限ったことではないようで、バッグの中がごそごそ動き出している。そしてスポッと、隙間から顔を出した。
「わ。可愛い猫ちゃんですね!」
「ありがとう。ソースの匂いに誘われたかな……。……食べたいの?」
「ニャー」
トリコに尋ねれば返事が返ってきた。ついでに言えば、ゼブラがこちらをじっと見ている。
「どーしても、食べたいの?」
「ニャーッ」
「……ナゥ」
しばしにらめっこが続いた。でも、私が勝てたためしがない。
「―――仕方ないなぁ。忙しいところ申し訳ないんだけど、ネギ、たこ抜きでソース他トッピングなしを一ついただけません?」
結局私は愛猫たちに甘々です。出来るだけ害になりそうなものを抜いてもらうという我儘を、スッとしてしまうくらいに。
「はーい、お安いご用です。でも、焼き上がりまで時間かかりますから、よかったら後ろのベンチにでも座ってお待ちくださいな。もちろん、他のところ回って来ていただいても大丈夫ですよ」
そろそろ太鼓の演奏も始まりますし。それを聞いて、じゃあそれ聞いてきます、と焼き上がるのを待つ間の時間を潰すことにした。