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彼女から詳しい事情を聴き、店長に話を通して彼女の分のまかないを用意してもらった。ほら、店長はいい人だ。話を聞いているうちにすっかり打ち解けて、彼女と友達になった。
隅の席で、彼女と一緒にまかないを食べる。流石にランチ時は満席になる喫茶店(だと店長は言い張ってた)だけあってまかないのレベルもなかなか高い。今日も美味しいです、店長。
「――――あー、ホント助かったしー。あのまま動けなくなるかと思った。おいしかったし! ありがと!」
「それは良かった」
彼女、リンちゃんは何か用事があってやって来たのだけれど、初めて訪れる町の中道に迷ってしまったのだそう。用事を簡単に済ませてすぐに帰るつもりだったので、お金を含め何も持ってこなかったのだとか。なかなかの勇者だよ、リンちゃん。で、町中をうろうろしているうちにお腹が減り、今に至る、と。
「今回はなんとかなったけど、やっぱり一文無しで知らない町に行くのは賛成しないなぁ」
「ん……。そうだね、もうしない」
「―――ところでさ、一体何の用事だったの?」
「お兄ちゃん、探しにきたの」
「……生き別れか何か?」
もしかして聞いたらマズかっただろうか。
「ううん。しばらく会ってないだけ。連絡が何もないからどこにいるのか分からなくって探しにきたんだし」
「それ、簡単に済む用事?」
「済むと思ったんだもんー。でも全然手がかりもないし、誰も見つからないし……」
「まだ会えてないんだ」
「うん……。 もぉー! どこにいるし―――‼」
「まあまあ、落ち着いて」
荒ぶるリンちゃんを宥めて落ち着かせる。
「はぁ……もうこのまま帰っちゃおうかなぁ……」
「それもいいかもね。また日を改めてってことで」
「うーん……。……あ」
リンちゃんは何に気づいたのか身を乗り出して私の肩へ手を伸ばしてきた。
「? なに?」
「これ。ついてたし」
見せてくれたのは糸状の物。でも糸くずにしては短いし、こしがある。……ん? この色合いと長さ……。もしかして、サニーの毛? 家から持ってきちゃった⁉ うわぁ、飲食店の従業員としてあるまじき失態。これからはもっと気を付けないと……。
私が一人青ざめていると、毛をじっと見つめていたリンちゃんが口を開いた。
「ねぇ、猫、飼ってるの?」
「うん。それ多分、ウチの猫の毛だよ」
「どんな猫?」
「その毛のコは毛色のきれいな長毛種。あと、他にも白黒で富士額のコと、きれいなブルーのコと、真っ黒なコと、全身傷だらけの長毛君がいるよ。みんな男の子」
「その猫たち、好き?」
「うん。大好き」
自然と笑顔になってしまう。あのコたちは、私の生活の一部だ。
「……そっか」
私が答えると、何故かリンちゃんも嬉しそうに笑っていた。
「―――さて! ウチはそろそろ行くね」
すっくと立ち上がったリンちゃん。顔色もさっきよりずっと良くなったみたいだし、もう大丈夫そう。
「そう? じゃあ、気を付けてね」
「うん。……あ。また、会いに来てもいい?」
「もちろん! お兄さん、早く見つかるといいね」
「うん、でも、それはもういいかな」
「え?」
「――何でもないし! じゃあ、またね!」
そしてすっかり元気になったリンちゃんは、店の奥にいた店長に「お世話になりましたー!今度はお金持ってきます!」と言ってから身軽に駆けて行ってしまった。
仕事を終えてホクホクしながら家に帰ると、どうやらリビングのドアを自力で開けたらしいトリコに出迎えられた。うん、いつか開けちゃうなと思ってた。別に怒る気もない。むしろ褒めてあげたいくらいだ。
「ただいまー、トリコ」
トリコの頭を一撫でしてリビングに向かう。後ろをついてくる気配と音に頬が緩む。
「ただいま、みんな」
出掛けた時とほとんど変わらない部屋の中を見ていつも安心する。落ちてきた物に当たったりどこからか落ちたり棚とかの下敷きになったりして怪我してないってことだもの。元々そんなに物は多くなかったから、大丈夫だとは思うけど。
「ん? どーしたの?」
うがい手洗いを済ませてソファに腰を下ろした。それを見計らったようにトリコが膝に跳び乗ってきた。前脚の下に手を入れて持ち上げてみると、首を伸ばして鼻をひくひく動かすトリコ。……におい嗅がれてる? え、なんかにおうかな……。
「ニャー。」
「!」
しばらくクンクンしてたと思われるトリコが首を回して一言。その視線の先にいたのはサニーで、声に反応して耳がこっちを向いた。サニーは空いている方の膝に跳び乗って身体を伸ばして私の肩の辺りに前足をつけた。じぃっと見つめてくるサニーの行動の意味が分からなくて、私はただそっと手触りの良い毛を撫でるだけだった。
隅の席で、彼女と一緒にまかないを食べる。流石にランチ時は満席になる喫茶店(だと店長は言い張ってた)だけあってまかないのレベルもなかなか高い。今日も美味しいです、店長。
「――――あー、ホント助かったしー。あのまま動けなくなるかと思った。おいしかったし! ありがと!」
「それは良かった」
彼女、リンちゃんは何か用事があってやって来たのだけれど、初めて訪れる町の中道に迷ってしまったのだそう。用事を簡単に済ませてすぐに帰るつもりだったので、お金を含め何も持ってこなかったのだとか。なかなかの勇者だよ、リンちゃん。で、町中をうろうろしているうちにお腹が減り、今に至る、と。
「今回はなんとかなったけど、やっぱり一文無しで知らない町に行くのは賛成しないなぁ」
「ん……。そうだね、もうしない」
「―――ところでさ、一体何の用事だったの?」
「お兄ちゃん、探しにきたの」
「……生き別れか何か?」
もしかして聞いたらマズかっただろうか。
「ううん。しばらく会ってないだけ。連絡が何もないからどこにいるのか分からなくって探しにきたんだし」
「それ、簡単に済む用事?」
「済むと思ったんだもんー。でも全然手がかりもないし、誰も見つからないし……」
「まだ会えてないんだ」
「うん……。 もぉー! どこにいるし―――‼」
「まあまあ、落ち着いて」
荒ぶるリンちゃんを宥めて落ち着かせる。
「はぁ……もうこのまま帰っちゃおうかなぁ……」
「それもいいかもね。また日を改めてってことで」
「うーん……。……あ」
リンちゃんは何に気づいたのか身を乗り出して私の肩へ手を伸ばしてきた。
「? なに?」
「これ。ついてたし」
見せてくれたのは糸状の物。でも糸くずにしては短いし、こしがある。……ん? この色合いと長さ……。もしかして、サニーの毛? 家から持ってきちゃった⁉ うわぁ、飲食店の従業員としてあるまじき失態。これからはもっと気を付けないと……。
私が一人青ざめていると、毛をじっと見つめていたリンちゃんが口を開いた。
「ねぇ、猫、飼ってるの?」
「うん。それ多分、ウチの猫の毛だよ」
「どんな猫?」
「その毛のコは毛色のきれいな長毛種。あと、他にも白黒で富士額のコと、きれいなブルーのコと、真っ黒なコと、全身傷だらけの長毛君がいるよ。みんな男の子」
「その猫たち、好き?」
「うん。大好き」
自然と笑顔になってしまう。あのコたちは、私の生活の一部だ。
「……そっか」
私が答えると、何故かリンちゃんも嬉しそうに笑っていた。
「―――さて! ウチはそろそろ行くね」
すっくと立ち上がったリンちゃん。顔色もさっきよりずっと良くなったみたいだし、もう大丈夫そう。
「そう? じゃあ、気を付けてね」
「うん。……あ。また、会いに来てもいい?」
「もちろん! お兄さん、早く見つかるといいね」
「うん、でも、それはもういいかな」
「え?」
「――何でもないし! じゃあ、またね!」
そしてすっかり元気になったリンちゃんは、店の奥にいた店長に「お世話になりましたー!今度はお金持ってきます!」と言ってから身軽に駆けて行ってしまった。
仕事を終えてホクホクしながら家に帰ると、どうやらリビングのドアを自力で開けたらしいトリコに出迎えられた。うん、いつか開けちゃうなと思ってた。別に怒る気もない。むしろ褒めてあげたいくらいだ。
「ただいまー、トリコ」
トリコの頭を一撫でしてリビングに向かう。後ろをついてくる気配と音に頬が緩む。
「ただいま、みんな」
出掛けた時とほとんど変わらない部屋の中を見ていつも安心する。落ちてきた物に当たったりどこからか落ちたり棚とかの下敷きになったりして怪我してないってことだもの。元々そんなに物は多くなかったから、大丈夫だとは思うけど。
「ん? どーしたの?」
うがい手洗いを済ませてソファに腰を下ろした。それを見計らったようにトリコが膝に跳び乗ってきた。前脚の下に手を入れて持ち上げてみると、首を伸ばして鼻をひくひく動かすトリコ。……におい嗅がれてる? え、なんかにおうかな……。
「ニャー。」
「!」
しばらくクンクンしてたと思われるトリコが首を回して一言。その視線の先にいたのはサニーで、声に反応して耳がこっちを向いた。サニーは空いている方の膝に跳び乗って身体を伸ばして私の肩の辺りに前足をつけた。じぃっと見つめてくるサニーの行動の意味が分からなくて、私はただそっと手触りの良い毛を撫でるだけだった。