降ってきました
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すっかり日が落ちて、辺りが暗くなっても雨はまだ降り続けていた。今日はよく降るな。
夕食と入浴をすませリビングで寛いでいた時、何気なく窓の方を見た。
「っ⁉」
思わずドキッとした。だって、真っ暗な外に小さくて丸いものが光ってるんだもん。ビックリするなという方が無理な話だ。まだ少しバクバクしている心臓を抑えながらよく見ると、どうも猫の目らしかった。そうだ、暗闇の猫の目ってあんな感じじゃん。トリコが来た時もそうだった。……え、こんな雨の中、庭に猫がいるの?驚きが消えた代わりに今度は心配になってきた。
外にいるらしい相手驚かせないように静かに窓を開けた。雨は思っていたより降っている。
「そこにいるの? こっちにおいで」
暗闇で光る目に呼びかける。いつの間にか、三匹も集まってきた。
「大丈夫だから、ほら」
おずおずと近づいてきたのは、やっぱり猫だった。真っ黒な短毛でシュッとした体つきの猫。全身ずぶ濡れで寒そう。いつから雨に濡れてたんだろう。このまま放っておけば間違いなく風邪を引く。
「ちょっと待ってて。そこにいてね!」
コマツたちには外に出ちゃダメだよと言いつけて、急いでタオルを取りに走った。清潔なタオルを何枚か鷲掴んで床を滑るようにリビングに戻る。居なくなってたらどうしようかと思ったけど、幸いまだそこに居た。闇に溶け込むほどに真黒な猫。触れようと手を伸ばすと小さく身を引いた。……なるほど、触られたくないタイプか。でもね、悪いけどこの程度で引き下がる私ではない。
「ごめんね、ちょっとの間だけ我慢しておくれよ」
「―――っ!」
タオルをかけ、それごと一気に抱き上げる。猫は体を強張らせた。やっぱり触られたくないらしい。でも申し訳ないが今はオール無視。優先事項があるもの。
「嫌だよね、もうちょっと我慢してね」
乾いたらすぐ止めるから。
猫はずっと固まっていた。筋肉が緊張してるのがよく分かる。本当は触ってほしくないっていうのはひしひしと感じる。でも、暴れたりしない……。大人しい……っていうよりは必死に耐えてるって感じ。……なんか、いたたまれないんですけど。
急ぎつつもやさしく丁寧に毛を乾かしていく。短いからすぐに水気は取れた。
「・・・・よし、終わり。もう触らないよ」
黒猫君を床に降ろすと、案の定すぐに距離を取られた。予想してたとはいえやっぱりちょっと悲しいかな。
猫君は私から離れたところで姿勢を正して(猫なのに)ちょこんと座ってこちらを見ている。そして少し首を下げて、
「…………にゃー……」
とだけ鳴いた。
夕食と入浴をすませリビングで寛いでいた時、何気なく窓の方を見た。
「っ⁉」
思わずドキッとした。だって、真っ暗な外に小さくて丸いものが光ってるんだもん。ビックリするなという方が無理な話だ。まだ少しバクバクしている心臓を抑えながらよく見ると、どうも猫の目らしかった。そうだ、暗闇の猫の目ってあんな感じじゃん。トリコが来た時もそうだった。……え、こんな雨の中、庭に猫がいるの?驚きが消えた代わりに今度は心配になってきた。
外にいるらしい相手驚かせないように静かに窓を開けた。雨は思っていたより降っている。
「そこにいるの? こっちにおいで」
暗闇で光る目に呼びかける。いつの間にか、三匹も集まってきた。
「大丈夫だから、ほら」
おずおずと近づいてきたのは、やっぱり猫だった。真っ黒な短毛でシュッとした体つきの猫。全身ずぶ濡れで寒そう。いつから雨に濡れてたんだろう。このまま放っておけば間違いなく風邪を引く。
「ちょっと待ってて。そこにいてね!」
コマツたちには外に出ちゃダメだよと言いつけて、急いでタオルを取りに走った。清潔なタオルを何枚か鷲掴んで床を滑るようにリビングに戻る。居なくなってたらどうしようかと思ったけど、幸いまだそこに居た。闇に溶け込むほどに真黒な猫。触れようと手を伸ばすと小さく身を引いた。……なるほど、触られたくないタイプか。でもね、悪いけどこの程度で引き下がる私ではない。
「ごめんね、ちょっとの間だけ我慢しておくれよ」
「―――っ!」
タオルをかけ、それごと一気に抱き上げる。猫は体を強張らせた。やっぱり触られたくないらしい。でも申し訳ないが今はオール無視。優先事項があるもの。
「嫌だよね、もうちょっと我慢してね」
乾いたらすぐ止めるから。
猫はずっと固まっていた。筋肉が緊張してるのがよく分かる。本当は触ってほしくないっていうのはひしひしと感じる。でも、暴れたりしない……。大人しい……っていうよりは必死に耐えてるって感じ。……なんか、いたたまれないんですけど。
急ぎつつもやさしく丁寧に毛を乾かしていく。短いからすぐに水気は取れた。
「・・・・よし、終わり。もう触らないよ」
黒猫君を床に降ろすと、案の定すぐに距離を取られた。予想してたとはいえやっぱりちょっと悲しいかな。
猫君は私から離れたところで姿勢を正して(猫なのに)ちょこんと座ってこちらを見ている。そして少し首を下げて、
「…………にゃー……」
とだけ鳴いた。