家に帰ってから、さっそくサニーをブラッシングしてみた。コームで全体をほぐしてからラバーブラシで……。……あれ、毛が抜けない。もっとブラシにくっつくのを想像してたんだけどな。換毛期じゃなくても少しくらい抜けるんじゃないのかな。でも全然付いてない。毛根強いのかな。
「痛くない？」
「……」
　返事は返ってこないけど、じっとしてされるがままになってるってことは嫌じゃないんだよねきっと。サニーが大人しいのをいいことに、全身をくまなくブラッシングしてやったぜ。これでサニーの毛繕い時間が減ればいいんだけどね。
「……ん？」
　ふと窓の外を見ると、なんだか雲行きが怪しくなっている。そういえば天気予報で午後から雨って言ってたっけ。……あれ？　昼ご飯食べてなくね？　ブラッシングに夢中で忘れてた。
「ごめんねサニー。ちょっと降りて」
　ずっと足の上に乗せていたサニーをそっと床に降ろす。洗濯物干したままなんだよ。雨が降ったら面倒だ。降り出す前に取り込んでしまおう。タオル、シャツ、パーカー。思っていたよりも乾いていた洗濯物を次々と家の中へ放り込む。最後の一枚を持って中へ入った時、図ったように雨が降り出した。
「うわセーフ！」
　あと少し気づくの遅かったらアウトだった。
　一難去ったところで昼食にしよう。完全にサニーのエサ入れとなったサラダボウルに適量入れて置いておく。自分のは……どうしようかな。チャーハンでも作ろうかな。よしそうしよう。

　余り物を適当に放り込んだら具材のチョイスに失敗して若干微妙なお味のチャーハン。炒め具合だけはばっちりだった残念なそれを食べながら、コマツとトリコは雨宿りしてるだろうかと心配になった。昼食をとっている間に、雨は勢いを増して本格的に降っていた。むしろ降りすぎなくらい。これはちょっと前巷で騒がれていたゲリラ豪雨ではないか？まるで滝の中にいるような轟音なんですけど。大丈夫かな。
　すごく心配だけど、家を出るのも危険そうなので探しに行くわけにもいかない。でもすごく心配。……とりあえずタオルいっぱい用意しとこ。
夕方まで、サニーを膝に乗せてそわそわと待ち続けた。帰って来るまで安心できるもんか。
　　カリカリ････ッ
「！」
　窓ガラスを引っ掻く音にバッと顔を向けるとずぶ濡れのトリコとコマツがいた。急いで窓を開け、タオルで二匹を包む。
「おかえりぃ！　よかったぁ、大丈夫か⁉」
　二匹の体を同時にわしわし拭いていく。風邪引いたら大変だもんね。粗方の水分が取れたところで、タオルと一緒に用意していたドライヤーで仕上げをした。しっかり乾かしたし、部屋も暖かくしておいたから、体が冷える心配はないと思う。二匹ともしっかりご飯食べてるし。ああ、やっと安心した。
　日も暮れかけてきた頃、雨脚は少し落ち着いていた