Chapter.2
夢小説設定
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一部で大いに盛り上がった食事を終え、一行は店を出た。
「おいしかった―――!」
ぷはーっと、モコナが満足げに息を吐いた。
「ほんとだねー」
「教えてくれてありがとう。ほんとにおいしかったです」
「他にもおいしいものおしえて――」
「タコヤキもおいしいですよ」
談笑する彼らを、物陰から窺う影が。
「(……分かってるからってのもあるんだろうけど、結構あからさまだな。なんか気配の主張が強い)」
〝おい、蘭〟
人込み対策に蘭の肩に乗っているタオも不快な視線を感じ彼女に耳打ちする。
「大丈夫。嫌でもそのうち向こうから接触してくるから」
不機嫌に尾を揺らすタオを宥めながら蘭も小声で返し、素知らぬ振りをする。
「さてと。これからどうしよっかー」
「もう少し、この辺を探してみようと思います」
「んー、でもオレ達、この辺分かんないから遠出できないねぇ。空ちゃんとこに帰れなくなっちゃうからね――」
見知らぬ土地で当てもなく歩き回るのは危険極まりない。要らぬトラブルは避けておきたい。
「あ、あの! どこか行かれるんですか⁉」
「はい」
「場所はどこですか?」
「……分からないんです。探してるものがあって……」
すると正義は自分も一緒に探す、と案内を買って出た。
「でも、ご迷惑じゃ……」
「――こっちとしては案内して貰えるのは有難いけど、正義君何か用事とかあったりしないの?」
「全然! 家に電話してきます! ちょっと待ってて下さいねー」
そう言って、正義は嬉しそうに公衆電話へ駆けていった。
「ほんとに、憧れなんだねぇ」
三人のやり取りを見ていたファイがそう口にする。
「小狼はともかく、私なんかに憧れる必要ないのにね」
「……蘭さん?」
一人呟きながら正義を見詰める蘭の瞳には悲しげな、寂し気な色が滲んでいた。
「――そう言えば、話が途中になっちゃったね。夢を見たんだって?」
先程店で途切れた話題をもう一度振ったファイ。
「はい。さっき出てきた、あの炎の獣の夢です」
「そういえば私も、さっきのあの子が夢に出てきたよ」
「妙な獣の夢なら、俺も見たぞ」
「俺も見たなー。なんか話しかけられたよー」
皆揃って獣の夢を見たという。一様に同じような夢を見たとなれば、何かしらの意味があると考えるのは自然な事だろう。
「『シャオラン』と『ラン』ってのは誰だ⁉」
突如騒がしく現れたのは、カラフルなモヒカンヘアに棘の付いたチョーカー、揃いのデザインのアクセサリーに服装の団体。所謂パンク集団というものだろう。
「(うわ、名指しされた。小狼だけでいいじゃん勘弁してよ。恨むぞ、浅黄笙悟)」
ある程度の想定はしていたものの、“この展開”は蘭にとってはあまり望ましいものではない。
「なんか用かなぁ?」
ファイはさり気なく蘭を自分の背後に隠しながら返事をした。
「笙悟が『気に入った』とか言ったのはおまえか⁉」
「だとしたら?」
へにゃっとした笑顔で飄々と答えるファイ。相手の様子から穏やかな要件ではないことを想像するのは容易かった。
「小狼はおれです」
「こんな子供か! ほんとに⁉」
「ほんとっす! まちがいないっす‼」
パンク集団のリーダーらしきとてもふくよかな男はファイの影に隠れた蘭を覗き見た。
「その連れの女の『ラン』ってのはおまえだろ」
「……そうですけど」
蘭はやむなく半歩前に出た。
「う、噂以上の美少女だな……」
「え(怖。何それどんな噂で出回ってるのこんな短時間で。何、美少女って)」
彼女の姿を見てたじろぐ集団に蘭は再び身を引いた。
「おまえら笙悟のチームに入るつもりか!」
持ち直したらしいリーダーは、本来の目的であろう質問を出してきた。
「チーム?」
「笙悟んとこはそれでなくても強いヤツが多いんだ。これ以上増えたら不利なんだよ!」
「(そのチームユニフォームを受け入れてくれるメンバーがそれだけいるんだから充分すごいと思うけど)」
「笙悟が認めたんだ! お前らも相当強い巧断が憑いてるんだろう! もし笙悟のチームに入るつもりなら、容赦しないぞ‼」
リーダーはズイと二人に指を突き付けた。それに対する二人の回答は実にはっきりしたものだった。
「入りません」
「右に同じく」
浮き立つパンク集団。
「だったらうちのチームに入れ! そして『ラン』はそのままおれの彼女になってくれ! 一目惚れしました!」
「入りません」
「ははは。御冗談を。お断りします」
小狼はきっぱりと断り、蘭は口でこそ笑っているが、視線はこの上なく冷ややかだった。
「二人共きっぱりだね――」
「小狼も蘭もかっこいい――」
〝身の程知らずが何を言うか。噛みころ〟
普段の五割増し鋭い目つき、険しい表情でリーダーを睨みつけていたタオの口を蘭がサッと塞いだ。お陰で、タオの物騒な台詞が最後まで発せられることは無かった。
「おれにはやることがあるんです。だから……」
「新しいチームをつくるつもりだな‼」
二人から勧誘を断られたパンク集団はぐぐぐと力みいきり立った。小狼の発言をそのように解釈したらしい。
「いえ、そうじゃなくて」
「今のうちにぶっ潰しとく!」
小狼が訂正をしようとしても聞く耳を持たない。そして少し泣いているように見える。蘭にバッサリ断られ、少なくないダメージがあったのだろう。
「おいしかった―――!」
ぷはーっと、モコナが満足げに息を吐いた。
「ほんとだねー」
「教えてくれてありがとう。ほんとにおいしかったです」
「他にもおいしいものおしえて――」
「タコヤキもおいしいですよ」
談笑する彼らを、物陰から窺う影が。
「(……分かってるからってのもあるんだろうけど、結構あからさまだな。なんか気配の主張が強い)」
〝おい、蘭〟
人込み対策に蘭の肩に乗っているタオも不快な視線を感じ彼女に耳打ちする。
「大丈夫。嫌でもそのうち向こうから接触してくるから」
不機嫌に尾を揺らすタオを宥めながら蘭も小声で返し、素知らぬ振りをする。
「さてと。これからどうしよっかー」
「もう少し、この辺を探してみようと思います」
「んー、でもオレ達、この辺分かんないから遠出できないねぇ。空ちゃんとこに帰れなくなっちゃうからね――」
見知らぬ土地で当てもなく歩き回るのは危険極まりない。要らぬトラブルは避けておきたい。
「あ、あの! どこか行かれるんですか⁉」
「はい」
「場所はどこですか?」
「……分からないんです。探してるものがあって……」
すると正義は自分も一緒に探す、と案内を買って出た。
「でも、ご迷惑じゃ……」
「――こっちとしては案内して貰えるのは有難いけど、正義君何か用事とかあったりしないの?」
「全然! 家に電話してきます! ちょっと待ってて下さいねー」
そう言って、正義は嬉しそうに公衆電話へ駆けていった。
「ほんとに、憧れなんだねぇ」
三人のやり取りを見ていたファイがそう口にする。
「小狼はともかく、私なんかに憧れる必要ないのにね」
「……蘭さん?」
一人呟きながら正義を見詰める蘭の瞳には悲しげな、寂し気な色が滲んでいた。
「――そう言えば、話が途中になっちゃったね。夢を見たんだって?」
先程店で途切れた話題をもう一度振ったファイ。
「はい。さっき出てきた、あの炎の獣の夢です」
「そういえば私も、さっきのあの子が夢に出てきたよ」
「妙な獣の夢なら、俺も見たぞ」
「俺も見たなー。なんか話しかけられたよー」
皆揃って獣の夢を見たという。一様に同じような夢を見たとなれば、何かしらの意味があると考えるのは自然な事だろう。
「『シャオラン』と『ラン』ってのは誰だ⁉」
突如騒がしく現れたのは、カラフルなモヒカンヘアに棘の付いたチョーカー、揃いのデザインのアクセサリーに服装の団体。所謂パンク集団というものだろう。
「(うわ、名指しされた。小狼だけでいいじゃん勘弁してよ。恨むぞ、浅黄笙悟)」
ある程度の想定はしていたものの、“この展開”は蘭にとってはあまり望ましいものではない。
「なんか用かなぁ?」
ファイはさり気なく蘭を自分の背後に隠しながら返事をした。
「笙悟が『気に入った』とか言ったのはおまえか⁉」
「だとしたら?」
へにゃっとした笑顔で飄々と答えるファイ。相手の様子から穏やかな要件ではないことを想像するのは容易かった。
「小狼はおれです」
「こんな子供か! ほんとに⁉」
「ほんとっす! まちがいないっす‼」
パンク集団のリーダーらしきとてもふくよかな男はファイの影に隠れた蘭を覗き見た。
「その連れの女の『ラン』ってのはおまえだろ」
「……そうですけど」
蘭はやむなく半歩前に出た。
「う、噂以上の美少女だな……」
「え(怖。何それどんな噂で出回ってるのこんな短時間で。何、美少女って)」
彼女の姿を見てたじろぐ集団に蘭は再び身を引いた。
「おまえら笙悟のチームに入るつもりか!」
持ち直したらしいリーダーは、本来の目的であろう質問を出してきた。
「チーム?」
「笙悟んとこはそれでなくても強いヤツが多いんだ。これ以上増えたら不利なんだよ!」
「(そのチームユニフォームを受け入れてくれるメンバーがそれだけいるんだから充分すごいと思うけど)」
「笙悟が認めたんだ! お前らも相当強い巧断が憑いてるんだろう! もし笙悟のチームに入るつもりなら、容赦しないぞ‼」
リーダーはズイと二人に指を突き付けた。それに対する二人の回答は実にはっきりしたものだった。
「入りません」
「右に同じく」
浮き立つパンク集団。
「だったらうちのチームに入れ! そして『ラン』はそのままおれの彼女になってくれ! 一目惚れしました!」
「入りません」
「ははは。御冗談を。お断りします」
小狼はきっぱりと断り、蘭は口でこそ笑っているが、視線はこの上なく冷ややかだった。
「二人共きっぱりだね――」
「小狼も蘭もかっこいい――」
〝身の程知らずが何を言うか。噛みころ〟
普段の五割増し鋭い目つき、険しい表情でリーダーを睨みつけていたタオの口を蘭がサッと塞いだ。お陰で、タオの物騒な台詞が最後まで発せられることは無かった。
「おれにはやることがあるんです。だから……」
「新しいチームをつくるつもりだな‼」
二人から勧誘を断られたパンク集団はぐぐぐと力みいきり立った。小狼の発言をそのように解釈したらしい。
「いえ、そうじゃなくて」
「今のうちにぶっ潰しとく!」
小狼が訂正をしようとしても聞く耳を持たない。そして少し泣いているように見える。蘭にバッサリ断られ、少なくないダメージがあったのだろう。