Chapter.2
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「あの、すみません。その子、返していただけませんか?」
できるだけ穏やかに、人当たりよく、笑顔で、と心がける蘭。
「あなたの巧断なの?」
「え? ええ、まぁ、そんなところで……」
「かわいい巧断ね!」
「ああ、どうも……」
「わー! 綺麗なストレート! 触ってもいい?」
「……え?」
「サラサラー。いいなぁ」
「……えっと」
「蘭もモテモテー!」
モコナ同様、囲まれてしまった。軽い気持ちで彼女達に声をかけたことを蘭は後悔した。きゃあきゃあはしゃいでいる少女たちにたじろぐばかりだ。
学生なの? この服もかわいい、どこで買ったの? などと質問攻めされるが、返答に困ってしまう。
「(この国の女子高生ナメてた) タオ」
〝……う〟
蘭はタオに助けを求め手を伸ばすが、巻き込まれたくないのかタオは逃げ腰だ。
「あっこら逃げるな!」
少女達はひとしきり蘭を揉みくちゃにした後、満足したのかモコナと蘭を解放した。きゃっきゃとはしゃぎながら手を振りバイバーイと去っていく少女達にモコナも同様にバイバーイと手を振り返す。それに対して蘭は小さくひらひらと手を振るのが精一杯だった。
蘭は恨めしそうにタオを見た。
「この薄情者。逃げるとは何事か」
〝……す、すまん……。ああいったおなごの集団は苦手だ……。それに我が助けに入ったところで共に巻き込まれるのがオチだろう〟
「だったら一緒に巻き込まれてよ」
〝……勘弁してくれ〟
少女達に撫で回される想像でもしたのか、タオはブルリと身を震わせた。
「モコナはどこにいたの―――?」
「黒鋼の上にいた。そしたら落とされた」
モコナの目元が悲しげに下がる。黒鋼の頭の上に乗っていたところ、彼が動いた反動で転がり落ちたようだ。
「そう! モコナさっき、こんな風になってたのに―――! 誰も気付いてくれなかった――っ」
めきょっとモコナの目が見開かれる。
「(……怖)」
「サクラの羽根が近くにあるのか⁉」
「さっきはあった。でも、今はもう感じない」
「誰が持ってたか分かったか⁉」
先程まで近くにあったのなら、まだそう遠くには行っていないかもしれない。
小狼の問いにモコナは首を横に振った。
「分からなかった」
「……そう……か」
肩を落とす小狼に、モコナもしょんぼりと俯いた。
「うーん、さっきここにいた誰かって条件だと、ちょっと難しいなぁ。多すぎるし」
「でも近くの誰かが持ってるって分かっただけでも良かったです。また何か分かったら教えてくれ」
「おう! モコナがんばる!」
任せとけとばかりにモコナは自分の胸をどんと叩いた。
「黒っちがモコナ落とすから悪いんだよー」
「なんで俺のせいだよ! ってゆーか、その呼び方ヤメろ!」
〝まぁ、落とさねばもっと早くに気付いたであろうし、そうなれば特定もできたかもしれんな〟
あくまで可能性の話だが、それは否めなかった。
「ところで――蘭ちゃん大丈夫ー?」
「え?」
「さっき、顔色が悪かったみたいだから」
「(目聡いな)ありがとう、大丈夫。さっき一瞬だけ、なんか強い力に中てられたみたいで身体が動かなくなっただけだから」
「強い力、かぁ。――それ、サクラちゃんの羽根だったりするのかなぁ?」
「え⁉」
ファイの呟きに小狼が振り向いた。
「――どうだろう、一瞬だったから……。モコナがめきょってなったタイミングと同じかどうかも分からないし」
蘭は困ったように肩をすくめ、首を捻った。
分からないのは本当だ。確証はない。だが、蘭には確信はあった。“答え”が分かっているからこそ、自身に起こったことについて推測ができる。まさかここまで影響が出るとは思わなかったが。誤魔化せなかったことが悔やまれた。
「また同じ感じがしたら教えるね。手掛かりになるかもしれないし」
「ありがとうございます、蘭さん。よろしくお願いします」
小狼に微笑み、蘭は一つ頷いた。
「あの、あの! さっきは本当にありがとうございました!」
先程の少年が小狼と蘭に向けてぺこりと頭を下げた。
「僕、斎藤正義と言います。お、お礼を何かさせてください!」
「いや、おれは何もしてないし」
「私も別にそんな……」
遠慮の姿勢を見せる二人だったが正義と名乗った少年は「でも、でも!」と言って引かなかった。
「お昼ゴハン食べたい! おいしいとこで‼」
「え?」
「教えて!」
「はいっ」
またもモコナの一声で、一行は正義の案内で昼食に向かうことになった。
できるだけ穏やかに、人当たりよく、笑顔で、と心がける蘭。
「あなたの巧断なの?」
「え? ええ、まぁ、そんなところで……」
「かわいい巧断ね!」
「ああ、どうも……」
「わー! 綺麗なストレート! 触ってもいい?」
「……え?」
「サラサラー。いいなぁ」
「……えっと」
「蘭もモテモテー!」
モコナ同様、囲まれてしまった。軽い気持ちで彼女達に声をかけたことを蘭は後悔した。きゃあきゃあはしゃいでいる少女たちにたじろぐばかりだ。
学生なの? この服もかわいい、どこで買ったの? などと質問攻めされるが、返答に困ってしまう。
「(この国の女子高生ナメてた) タオ」
〝……う〟
蘭はタオに助けを求め手を伸ばすが、巻き込まれたくないのかタオは逃げ腰だ。
「あっこら逃げるな!」
少女達はひとしきり蘭を揉みくちゃにした後、満足したのかモコナと蘭を解放した。きゃっきゃとはしゃぎながら手を振りバイバーイと去っていく少女達にモコナも同様にバイバーイと手を振り返す。それに対して蘭は小さくひらひらと手を振るのが精一杯だった。
蘭は恨めしそうにタオを見た。
「この薄情者。逃げるとは何事か」
〝……す、すまん……。ああいったおなごの集団は苦手だ……。それに我が助けに入ったところで共に巻き込まれるのがオチだろう〟
「だったら一緒に巻き込まれてよ」
〝……勘弁してくれ〟
少女達に撫で回される想像でもしたのか、タオはブルリと身を震わせた。
「モコナはどこにいたの―――?」
「黒鋼の上にいた。そしたら落とされた」
モコナの目元が悲しげに下がる。黒鋼の頭の上に乗っていたところ、彼が動いた反動で転がり落ちたようだ。
「そう! モコナさっき、こんな風になってたのに―――! 誰も気付いてくれなかった――っ」
めきょっとモコナの目が見開かれる。
「(……怖)」
「サクラの羽根が近くにあるのか⁉」
「さっきはあった。でも、今はもう感じない」
「誰が持ってたか分かったか⁉」
先程まで近くにあったのなら、まだそう遠くには行っていないかもしれない。
小狼の問いにモコナは首を横に振った。
「分からなかった」
「……そう……か」
肩を落とす小狼に、モコナもしょんぼりと俯いた。
「うーん、さっきここにいた誰かって条件だと、ちょっと難しいなぁ。多すぎるし」
「でも近くの誰かが持ってるって分かっただけでも良かったです。また何か分かったら教えてくれ」
「おう! モコナがんばる!」
任せとけとばかりにモコナは自分の胸をどんと叩いた。
「黒っちがモコナ落とすから悪いんだよー」
「なんで俺のせいだよ! ってゆーか、その呼び方ヤメろ!」
〝まぁ、落とさねばもっと早くに気付いたであろうし、そうなれば特定もできたかもしれんな〟
あくまで可能性の話だが、それは否めなかった。
「ところで――蘭ちゃん大丈夫ー?」
「え?」
「さっき、顔色が悪かったみたいだから」
「(目聡いな)ありがとう、大丈夫。さっき一瞬だけ、なんか強い力に中てられたみたいで身体が動かなくなっただけだから」
「強い力、かぁ。――それ、サクラちゃんの羽根だったりするのかなぁ?」
「え⁉」
ファイの呟きに小狼が振り向いた。
「――どうだろう、一瞬だったから……。モコナがめきょってなったタイミングと同じかどうかも分からないし」
蘭は困ったように肩をすくめ、首を捻った。
分からないのは本当だ。確証はない。だが、蘭には確信はあった。“答え”が分かっているからこそ、自身に起こったことについて推測ができる。まさかここまで影響が出るとは思わなかったが。誤魔化せなかったことが悔やまれた。
「また同じ感じがしたら教えるね。手掛かりになるかもしれないし」
「ありがとうございます、蘭さん。よろしくお願いします」
小狼に微笑み、蘭は一つ頷いた。
「あの、あの! さっきは本当にありがとうございました!」
先程の少年が小狼と蘭に向けてぺこりと頭を下げた。
「僕、斎藤正義と言います。お、お礼を何かさせてください!」
「いや、おれは何もしてないし」
「私も別にそんな……」
遠慮の姿勢を見せる二人だったが正義と名乗った少年は「でも、でも!」と言って引かなかった。
「お昼ゴハン食べたい! おいしいとこで‼」
「え?」
「教えて!」
「はいっ」
またもモコナの一声で、一行は正義の案内で昼食に向かうことになった。