シリーズ物
武器使いの期末試験で俺はあるものを狙っていた。それはフロイドとジェイドの双子二丁銃。この二人そっくりで武器化してもどっちがどっちだか分からなくなるくらい細部までよく似ていた。二つで一つなのだ。似ているという事はほぼシンメトリーであってとても武器として使いやすいという事。けれど性格はかなり違っていた。というのもジェイドに一度俺の武器(ウェポン)になってくれないかと聞いたのだがフロイドと一緒じゃなきゃ意味が無いんですと言われた。勿論フロイドにも同じ事を聞こうと思って聞いたが一言で拒まれた。そこまで拒まれる理由はきっとこの双子が自由過ぎてそんじょそこらの使い手じゃ務まらない代物という事なのかもしれなかった。
銃を装填する。俺の使用している武器は人が武器化出来るウェポンとは違って唯の武器なので直ぐに使えなくなって壊れる。無理に撃ちまくっていれば付加が掛かり直ぐにゴミ行きになってしまう。それに比べて双子は無限の銃弾を作り出し放つ事が出来る。まさに銃使いとしては魅力的な他無い。欲しいのに届かない。今、俺と対峙して自分達の性能を見せつけるかのように目前にいるのに。なのに俺のような凡人には見合わないという現実が傍らで笑っている。
試験のフィールド場に試験の為に設けられた隠れるのに丁度良い造り物の壁に隠れて相手の動きを探ってジェイドが今は銃のフロイドを使って銃弾の嵐を降らせていたのがピタリと止まる。油断している今がチャンスだと隠れていた壁から姿を現すと表へ出た瞬間にジェイドが隙を狙っていたのか俺の懐へと迫る如く踏み込んで真っ直ぐに突っ込んでくる。俺は銃を構えようとする。けどジェイドの手にあったフロイドがいつの間にかいなくなっていて必死に探し不意に上空から陰が落ちているのに気付く。此方へジェイドが駆け込んでくる際に銃のフロイドを上空へと投げてその間にフロイドは人型に戻ったのだ。
「な」
俺の上に落ちてきて動物のように飛び掛かって乗り上げてくるフロイド。暴れて抵抗しようとするけど上から降ってきたフロイドに気を取られてフェイクで迫ってきていたジェイドがその隙に今度は武器化していてフロイドの手に収まっており、フロイドの下で藻掻いている俺の顳かみに銃のジェイドの銃口を突きつける。…勝負ありか。
試験が終わりフロイドとジェイドの勝利となり、俺は手に持っていた強く握っていた銃のグリップの力を緩ませるとフロイドは俺の顳かみに当てていたジェイドを人型に戻してギザ歯を見せて口元をつり上げて愉快そうに笑っていた。
***
更衣室で着替えて荷物を取り出し、ロッカーの扉を乱雑に音を立てて閉める。その完全に気が乱れている動作をフロイドに見られてしまいニヤニヤして笑っているのを睨み上げる。でもここまでこいつに当たっても意味ないから深呼吸して自分自身をとにかく落ち着かせる。
試験で勝ったら二人を迎えるという約束を双子と約束していた。なのにまた負けた。振り出しに戻るというやつだ。そんな悔しそうな俺を見てフロイドは心底面白そうに笑っていてでも何か言いたい事があるのか見つめてくる。
「ホントはジェイドじゃなくて俺が欲しいんだろ」
「フロイドとジェイドは二人で一つだと思ってる」
呼吸の間もなく即言葉にして返してやると、フロイドの大きな掌がバンと俺が今、粗雑に当たっていたロッカーの扉を強く叩き付ける。凹んだんじゃないかと振り向こうとするともう片方の手もロッカーについてグッと顔が近づいてくる。笑っていたのが嘘のように何故か怒っている。
「そういうの、ホントいらねぇ」
俺を写すフロイドの金色の瞳が憎らしそうに細められる。それから目が逸らせなくなってこの状況をどうするか考えているとフロイドの両手が離れて身体も視線も離れていく。
「飽きた」
「え」
「つまんねー反応しかしないから飽きた。また今度遊んでやるよ」
更衣室から出て行くフロイド。更衣室内が響くようなまた大きな音を立てて扉が閉められる。ズルズルとロッカーを背にしゃがみ込む。
「俺のこと…分かったくせして」
乾いた言葉は虚しさと惨めさを纏って、外で次の期末試験で盛り上がる生徒の声援でかき消された。
(24.09.19)
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