シェアハウス
写真家でBBの知り合いの朱浪さんが撮ってくれた私達シェアハウス一同の写真を一通りロビーの談話室の机の上に並べてみる。様々なアングルで撮った写真をこうして眺めてみると皆絵になるなと思ったりカメラ目線で撮られたものもあれば自然な形で撮られたものもあって見ていて楽しかった。今回朱浪さんにこれ程の写真を撮ってもらったのは理由がある。シェアハウス一同のカレンダー作りの為だった。最初はカレンダーはハウス内だけで作って使用しようという提案だったがそんなんじゃ面白くないと外の人達に無料配布する事になった。それでもまだカレンダーの写真選びからの段階でカレンダーのレイアウトデザインは乱数だが元々自分達で使用する物だったので外の人達が見てくれるか分からないが写真の被写体が良いもの尽くしで完成したら賑やかになる事間違いないだろう。
「皆、写真写り宜しいですね」
「左馬刻なんてこれ横顔だけで良い値がつくと思うんだよね」
「人気者の集合体みたいな感じだからなぁ」
朱浪さんは笑いながら写真を一枚手に取って眺めている私と乱数の間に来て乱数の手にある左馬刻の寝顔を撮った写真を見て俺も今回気合入れて緊張しちまったとか言っている。確かにこのアングルで碧棺左馬刻の隠し撮りとは高度過ぎる。乱数は碧棺が気を許すなんて相当疲れてたんだねなんて言っているが思うに碧棺がキレる気にもならなかったようにも思える。
その私達の横でオオサカディビジョンの写真を眺めている白膠木簓が「オオサカディビ多いやん」と枚数に拘ってくる。
「お前が写りたがるからやろ」
「いやぁ、カメラあると何でか自分からレンズの前に出たくなるんや。職業病ってやつかも」
「ホンマふざけてんのばっかやわ。オオサカディビ全体がそうみたく思われるやんか」
「今更やん」
「はあ…これなんかカレンダー向きやないで。酒で酔っ払ってる時なんか誰が撮ったんや」
「俺だが」
「まあ、そうなんやけど…」
笑む朱浪さんに躑躅森盧笙は上手く言葉に出来ないで当時を思い出して顔を赤らめていると簓がその一枚を後方で「ええやん。これにしよ」と不意を取って取り上げる。盧笙はそんな簓から奪い返そうとするが簓は部屋の中を子供みたく駆け回る。
「そんなん外に出さへんで!」
「でも盧笙凄い顔真っ赤赤だしカワイイし、オオサカって感じするよ?」
「オオサカって感じって何や」
急ブレーキして立ち止まってニコニコしている乱数を見下ろして困り果てている盧笙に簓はゲラゲラと笑っている。直ぐに簓から酔っぱらい写真を奪還しようとする盧笙。
すると静かに写真を眺めていた帝統がほぼ隠し撮りの碧棺の写真を見て「あいつにカレンダー作りの為に撮ってる事言ってんのか」と聞いている。駆け回っていた簓と盧笙もピタリと止まって帝統に注目する。
「うーんと…っていうか左馬刻がシェアハウス内にカレンダーがねぇって言うから作ろうと思ったんだよね」
「それを彼自身の写真のカレンダーにしてしまうのはやはり許可がいるのでは」
一度言っておいた方がいいですよと神宮寺寂雷も反応すると乱数はうんと頷いて左馬刻の写真を机の上に置く。そんなタイミング的にいいのか悪いのか風呂から上がった碧棺が入って来ると簓と帝統が反射的に左馬刻の写真を身体で上から覆って隠す。
「ここには何もねぇって!何もねぇからぁ!」
「おい」
「何〜?さまさま」
「俺は一月にしろ」
身体全体で写真を隠している帝統と簓を上から見下ろしたまま低く言い据える左馬刻にしんと静まり返る一同。左馬刻に続いて一郎も長風呂から出て入って来ると左馬刻の隣に立って「いや俺だろ」と何食わぬ顔で言ってしまっている。
「あ?!んでお前が一月なんだよダボ!」
「俺、一郎だし。お前は十一月だろ」
「テメェこそ七月だろ」
「七月は俺だろ!」
碧棺左馬刻と山田一郎のしょうもない喧嘩の中に帝統が何を思ったか急乱入してしまうと二人はドスの利いた声と視線で帝統を牽制する。帝統は尻込みして縮こまった猫のように引き下がる。
そんな空気の中で意外にも寂雷が静かに笑い出す。何がおかしいんだよと碧棺は椅子に座って事を聞いていた寂雷を見やる。
「おかしくはありませんが…。では十一月は私で」
「えー!何か変。寂雷っていえば一月じゃん!」
確かにと声を揃えて言う一同に左馬刻と一郎は少し居心地が悪くなったのか誤魔化すように外方を向いて溜息をつくと「分かったよ俺が十一月だ」とか小さく諦めたように言って譲っている。というより誕生日月でもないのに無理な話である。
「あの思ったのですが」
「何?幻太郎?」
「月毎に一人ではなくてディビジョン毎に分けたらどうですか。月数が足りませんし」
また静まり返る。ああそうか等と少し抜けた声で言う帝統に皆笑い出す。
「そうだよな。考えてみればディビ毎だよな」
「まんざらでもなく1ページに一人とか考えてたのちょっと恥ずかしいかも」
帝統が身体を起こして笑っている隙を見て碧棺はその下にあった自身の写真を一枚手に取る。それを眺めながら怖ず怖ずと反応を伺っている簓達を横に見ている碧棺に乱数は飴を舐めながら「カレンダー作るけどいーい?」と代表して聞くと碧棺は溜息をついて、勝手にしろガキと返事をしていた。
***
皆がいなくなると寂雷が部屋に戻ってきて皆が選んだカレンダー写真を集めているボクの傍に寄って来る。一番最後に風呂に入ったみたいだ。
「何?まだ寝ないの?」
「カレンダーですが、使わなかった写真はどうするのですか」
「んーと、どうしようかな。取り敢えずこの缶ケースにしまっておくよ」
缶の蓋に指先で触れてボクは笑む。寂雷が何を言おうとしているのか大体分かるけど敢えて言わずに笑みだけで返す。寂雷はそれだけ聞いて理解したのか踵を返して「あまり夜更かしし過ぎないように」と言って去って行った。
(26.02.24)
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