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今日一日の萬屋の仕事を終えてこれから帰って夕飯の支度をしなくちゃいけないなと思い出し近くの店で買い物を済ませようと早足で向かって店内に入れば閉店ギリギリで時間も時間で客は少なかった。この時間になると客も少なければ品物も殆ど売れている時間。とにかく何か買って帰んないといけねぇなと出来るだけ安価で購入して得な商品を探してカゴへ。手早くレジで会計を済まして外に出た頃には入店した時に停まっていた車もいなくなりガランとした駐車場に買い物袋持ってる自分が一人いて中の店員さんが片付けの準備を始め出す。


「(帰るか)」


ここでぼうとしていても仕方ないので歩き出そうとするとニャアと鳴き声がして見下ろせば猫が俺の足元に擦り寄っている。可愛いな何処の家の猫かなと思ったがそうでもないらしく猫は俺の持ってる買い物袋に尾を寄せてくる。少しだが犬のような猫だなと思ってしまい何かやるかと袋の中を見てみれば猫にあげる丁度良い鯖缶詰めがあったがこれは自分の好物なので渡したくないのが本音で袋の口を閉じて猫の目線までしゃがもうとしていたのを止めて「駄目だぞ」と一言。


「今日はお前にやる物は無いからな」


ミャアと猫が上向いて目を細めて鳴く。一、二度か猫に餌をやった覚えはあるが今日は手に入った食材も少なくもうこんな時間で帰路につかなければいけないというのに。自分は猫にそれ程甘くないと思っていてもこの甘え様を見てしまっては決心も変に揺らいでしまう。


「よぉ」


声がして振り向くとエコバッグを手に此方に近寄って来る男の人の姿。よく見ると俺の知人の朱浪さんでMCをやっててこの人も何か軽く買い物をしたのか俺の傍まで来ると「夕飯の買い出しか」と言い当ててくる。


「閉店間際までいるの珍しくねぇかい」
「そう、ですね。今日は仕事で遅くなっちゃって」
「何買った?俺はビールと摘みのサキイカだ」


先に中身を公表してくる朱浪さんに俺は袋の中身を見せる。安いものを適当に買ったがそれでも夕飯は何を作るかもう決まってはいた。


「カレーか?」
「当たりです」
「はっは。何のカレーにすんだ」
「えっと、何が良いかな。鯖カレーとか」


いいなと朱浪さんは安かった一つに纏まってる鯖缶がある袋の中から顔を上げて言うと笑みを向けて「じゃあ」と何かを思い付いたように言う。


「俺が作ってやるよ」
「え。今からですか」
「おう。これでもカレー作らせりゃあ一流だぜ」


一流か。朱浪さんがカレー作ってる所見た事無いしカレー作りが得意なんて初耳だなと思っていると朱浪さんはカレールゥは家庭用の一般の物をアレンジして作るのが旨ぇんだと言う。でもどこまでアレンジするかなと今から気になってはみてるものの朱浪さんは事務所と反対方向に行こうとしてる。腕を引いてその歩みを止めさせる。


「そっちじゃないです。此方」
「暗いと方向感覚鈍るぜ」


少しボケてみせる彼に相変わらず少し天然入ってるなと思いながらも二人歩き出すと朱浪さんは隣で「二郎と三郎はいるんだろ」と聞いてくる。


「はい。帰るの待ってるんで。…もう帰らないと」


よいしょと買い物袋を持ち直す。エコバッグを持ち歩かなきゃななんて思って彼の手元を見ている俺に朱浪さんが空いてる片方の手で頭を撫でてくれる。


「今日も一日お疲れさん」


暗くてあまり良くは見えないが彼に頭を撫でられたのは久方振りだった。きっと柔らかな表情をしているんだろうなと俺も同じ言葉を返そうとすると近くなってきた事務所から駆け付けて来た二郎と三郎が見えた。



(25.06.28)



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