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理鶯の野営地にMTC三人で集まり何時もと変わらず今はついてないが焚火場を囲むように椅子に腰掛けてこの後出てくるであろう理鶯の料理を静かに待っていると、鍋を用意していた理鶯が紗良というとあるきっかけでMTCと仲を持った青年がもうすぐ来る筈だと言い俺に迎えに行けと言って来る。それに面倒くも「何で俺様が」と文句を垂れれば銃兎は咳払いして横で小声で何かを話してくる。


「いいからここは紗良を呼んだ方が色々と時間稼ぎになる。良い事尽くめだ」
「あ?よく分からねぇが、呼んでくる」


銃兎の必死な表情と声調に良い事があるってんなら呼んできてやろうと立ち上がりキャンプ場から離れて山道を歩いて行く。ここの道も最初はマジで迷っちまって焦ったが今でも何となく野営地までの道のりは分かるようになってきた。野営地からそれ程遠くない位置に紗良はいて連れて来てキャンプ場に戻って来ると紗良は俺に挨拶するよりも明るく見えてきた理鶯の元に駆け出して行きこんにちはと嬉し気に話し掛けていてそれに合わせるように理鶯も柔らかな笑みを浮かばせている。


「ああ、変わりないな。元気していたか」
「私が軽くスルーされたのですが」
「!そういうんじゃないです、すみません」


銃兎が横で意見し、紗良は慌てて取り繕うとするが俺はそれをフォローするように「此奴は理鶯っ子だからな」と言ってやる。


「来る時も会ったらうるせぇの何のって」
「へへ。…あ、理鶯さん今日は何を作りますか?」
「今日は魚を使った料理をしたいんだが」
「魚ですか。それはもう獲ってあるとかでは無くて今から獲りに行くという事ですか」
「そうなるな」


理鶯は魚を捌く用の包丁を布に包んでいたのを出すとまな板の上に並べて簡易テーブルの下にあるバケツを二つ持ち上げる。


「では小官が今日の魚獲り場である川へと案内しよう」
「はい!左馬刻さんと銃兎さん行きましょう」
「んで俺様が…つか、釣り道具持ってねぇじゃねぇか」
「必要は無い。今日獲りに行く魚は道具が無くても獲れるからな」


理鶯は振り返って説明して前を歩き出す。紗良も前を向いてそれに続く。銃兎が俺の横につくと「時間稼ぎになる」とまた言って理鶯の料理の食べる時間の事を言ってるんだろうが結局食べるんなら何時でも意味がねぇじゃねぇかとツッコミを心の中で入れて先を歩く二人に連いて行った。



***



川について透き通る水の中を見てみるとそういう時期なのか川を下ってきた何の魚か分からないが魚がびっしりと横一列にいて、速度を落としたように川の流れに反して動いていて止まって見えたりとこれなら素手でも獲れるなと理解する。理鶯は先に川に入り魚達の後方から素早く手本で獲ってみせると紗良も真似して獲ろうとするがやはり魚がヌメってて簡単には一発でいかなさそうだった。理鶯は更に横まで来て「狙いを定めて胴体をしっかりと両手で持て」と指示を出す。そうして理鶯の指導もあってか紗良は二回目以降、上手くいってどんどん獲れる魚に収穫はどうやら大量のようだった。紗良は額の汗を拭って深呼吸する。


「よしこれでいいだろう。後は戻ってこの魚を焼いて煮込むぞ」
「焼いて煮込むんですか?時間掛かっちゃいますね」
「それでいいですよ。その方が此方としてはいいんです」
「銃兎、お前なぁ」


俺は魚がいない方で水中に石を投げていたのを止めてニッコリとしている銃兎に少し呆れる。
キャンプ場に戻ってきて俺達に紗良が自分のリュックサックを開けて中から何かタッパーのような物を取り出す。どうやら紗良も何か作ってきたらしい。理鶯の料理の隣に並べるのを二人で歩いてる間に許可してもらったらしく嬉しそうに楽しそうにタッパーの中を見せている。


「時雨煮です」
「食卓に彩りが増えるな」
「理鶯さん誕生日おめでとう御座います。今日は一杯食べてお祝いしましょう!」


やっぱりな。理鶯の誕生日に合わせて来たんだなと紗良の作った時雨煮を見て思う。俺達もその為に来たものだが理鶯は祝いの言葉を聞いてとても満足気な顔をしていた。祝いの言葉を貰った理鶯と送った紗良は早速料理を始めるのか獲ったバケツの中の魚をまた掴んで取り出そうとする。魚はつるりと手の中から逃げて地面へと落ちた。


長い時間を掛けて料理の出来た頃には空は夕焼け空に染まっていた。料理を食べる頃になり銃兎が恐る恐る口に入れると銃兎は「ん?」と意外そうな声を出す。それに俺も同じく。


(理鶯の飯いけるな)
(…ああ。何故こんなにまともなのか)
(紗良、煮物美味しいぞ。また作ってきてくれ)
(はい!)




(25.06.21)



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